24.01.24
増える海外永住者 その背景は?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「増える海外永住者 その背景は?」
吉田:日本人の海外永住が増え続けています。生活拠点を海外に移した永住者の数は、去年10月1日時点で57万4,727人。ここ20年ほど、増え続けているということです。塚越さん、まずは海外に永住する日本人の増加傾向が続いている状況について、教えてください。
塚越さん:まずデータから説明します。外務省が去年10月に発表した「海外在留邦人数調査統計」によれば、海外に住んでいる日本人全体は、2019年と比較して減っています。例えば、海外に3ヶ月以上滞在して、いずれ日本に戻るつもりの「長期滞在者」は、2019年にはおよそ90万人。それからコロナがあって減り続け、去年10月の段階ではおよそ72万人となっています。他方で今回注目されているのは、滞在国の永住権を取得するといった「永住者」で、この人たちは増加傾向にあります。2019年におよそ52万人だったのが、去年10月は57万4,000人と前年比3%の増加であり、過去最高とのことです。つまり、滞在者は減っていますが、永住する人は増えている日本っていいところだな」と思うんだよね!ことです。留学を含むような長期滞在者は減っているのですが、永住者は増えているということです。「永住者」が移り住む先として多い地域は北米で48.7%。次が西欧で16.9%と欧米が多いです。
吉田:日本を出て海外に永住する人は、いつ頃から増え始めましたか?
塚越さん:永住者が特に増えるのは2000年頃からとのことで、日本国内は経済的に低迷していたり、あるいは日系企業の海外進出が進み、若い人は国内で正規雇用になりづらくなったので、少しずつ海外に出ていくようになりました。また、永住はすぐにできるものではなく、現地で職を探したりと数年以上はかかるので、この現象はそれなりに長いスパンで起きているということです。
ユージ:日本を出て海外に永住する人が増え続けている背景は、何でしょうか?
塚越さん:日経新聞の記事で紹介されています、メルボルン大学の大石奈々准教授がコロナ前に実施した移住者へのインタビューでは、9割以上が長期的な経済的不安を理由に挙げていたということです。医療や年金を考えると日本に住み続けるのはリスクだから海外へ、という理由が多いということです。また永住者の62%が女性ということで、女性が多いのも特徴です。海外で国際結婚する日本人も、7割が女性。海外の方が女性であることの制約が少なかったりする(要するにジェンダー平等)ので、キャリア形成のために移住する独身女性も多く、また子どもをどこでも働くことのできるグローバル人材にすべく、海外で教育するために移住する「子育て世代」も(全体の数でいえば少ない)ちょっとずつ増えているということです。要するに、日本よりも北米や西欧の方が、賃金や労働環境、社会の多様性といった面で日本より魅力的と感じる人が多くなっていると感じる人が増えています。
ユージ:海外に永住する人、今後も増加傾向は続くと思いますか?
塚越さん:これについては不確定要素が多いと言われています。というのも、これまで永住者が増えていたのは、海外駐在員といった永住への足がかりが得やすい長期滞在者が増えたことが背景にありました。ですが、コロナもあって駐在員を海外に派遣する企業は減っているという調査データもあります。円安が進む中で、ますます大学生が留学に行く、という選択肢を取れる人も少なくなるわけです。そういう意味では、永住者が増えたといっても、これまでにある程度余裕のあった人達が移住している、という面もあります。そもそも、日本は厳しいから海外へ!と思った人がいたとしても、この円安で行きたいと思っても経済的に躊躇する人もいるかなと思います。とはいえ、さらに日本経済が落ち込めば「もう無理、行くしかない」と腹を決めて出ていく人もいるかなと思います。そういう意味でも、永住者の数は今後の経済状況に左右されると思われます。
ユージ:海外に永住する人が増え続けている状況、塚越さんはどうご覧になっていますか?
塚越さん:増えているといってもそこまで多くはありませんが、今後も増えるなら、ますます人口減少が進み、人材流出という課題もあるのかなと思います。加えていえば、日本では新NISAなど、政府も投資を呼びかけていますが、安定した株というとアメリカ株などに多く、そうなれば日本の資産が海外にますます流出することになります。これはキャピタルフライト(資本逃避)と呼ばれる現象で、投資で成長という目標があるとはいえ、政府は考慮すべき点です。一方、永住者が増えることは必ずしも悪いことではなく、色々あった時に世界を知って日本のために活躍してくれる人も出てくれるかもしれません。人口減少があって国力が落ちていることがあるかもしれませんが、それを受け入れたうえで海外に行く人達にどういったメッセージを国として送ることができるかそういった人がまた日本のためを思ってくれるという視点も入れて中長期的な視野で戦略を考えるべきじゃないかなというところも私は強く思います。
ユージ:僕は海外で生まれて海外も知っているのですが、日本の魅力もよく分かっていて、「日本っていいところだな」と思うんですよね!
塚越さん:海外に行った人がまた戻ることを考えてくれるということがあったりするかなという点もありますよね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) January 24, 2024
「増える海外永住者 その背景は?」について…
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) January 24, 2024
物価も高いため、懐に入るお金など厳しいこともあると思います。また、スポーツ選手をはじめ、海外で活躍する日本人の方が増えて、日本人の評価は 大きく変わり始めていますが、多様性という部分では海外と比較して「日本はまだまだ遅れているな」と感じる部分はたくさんあります。…
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) January 24, 2024
個人的には、アメリカで生まれて、アメリカで暮らしていた経験もあるため、「日本は良いところだな」と思っています。海外へ移住したい方が増えて、現地での生活を経験することで、日本の魅力に改めて気づく人も増えると思います。#ワンモ