23.12.26
ダイハツの不正問題について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「ダイハツの不正問題について」
吉田:斉藤鉄夫国土交通大臣は22日の記者会見で、ダイハツ工業の不正問題について「厳正に対処する」と語りました。神庭さん、この問題は相当、大規模になっていますよね。
神庭さん:非常に大規模。現在生産・開発しているすべての車種で不正が確認され、すでに生産終了したものも含めると、64車種で合計174の不正が行われていました。このうち22車種は親会社であるトヨタのブランドで販売されており、マツダやSUBARUに供給した車でも不正が見つかっています。期間も長期間にわたり、最も古い不正行為は1989年からありました。
吉田:具体的には、どんな不正が行われていたのでしょうか?
神庭さん:具体例を挙げると、衝突試験の際に本来は自力で着火しないといけないエアバッグをタイマーで作動させていた。助手席の試験結果しかないのに、大差ないと考えて運転席のデータとして虚偽の数値を記載した。衝突速度を改ざんした。タイヤの空気圧を偽って認証申請した。立会試験ではなく、事前のリハーサルでとったデータに差し替えて試験結果を提出した。といった不正が横行していました。
ユージ:どれも1つや2つではなく、しかも意図的に分かるものがいくつかあるということですね。気になるのは、長期間に渡ってなぜこんな大規模な不正が行われ、 表に出てこなかったのかということですが。
神庭さん:第三者委員会の報告書によれば【過度にタイトで硬直的な開発スケジュールによる極度のプレッシャー】があった。ギリギリの開発スケジュールのなかで、最終工程の認証試験にしわ寄せがいく実情があり、「不合格は許されない」というプレッシャーを生んでいたといいます。アンケートには従業員のこんな切実な声が寄せられています。《綱渡り日程でミスが許されない。なんとか力業で乗り切った日程が実績となり、無茶苦茶な日程が標準となる。縦割りで、問題が起これば責任部署がつるし上げられる風土》この辺は「うちの会社のことかな?」と思う人もいるかもしれません。
ユージ:正直ギクっとする感じで、他人事ではないですよね。
神庭さん:報告書で指摘されたもう1つの問題点が、【現場任せで管理職が関与しない態勢】です。
ユージ・吉田:ギクっ!!!
神庭さん:スケジュールがキツくて実現不可能だったら、本来は上司に相談して見直しを求めるべきです。ところが、管理職が試験内容に精通していないこともあり、結局現場で抱え込むことになってしまいました。ヒアリング調査では、上司は表向き「何でも相談して」と言うものの、実際相談すると「で?」と言われるだけで相談する意味がないと。問題点を伝えても「何でそんな失敗したの」「間に合うのか」と詰問するだけ。といった意見もありました。アンケート調査ではこんな回答もあったそうです。《日程や工数不足の情報自体は上位職や経営陣に伝わっているが、「で、どうするの?」という風潮から、開発スケジュールを長くすることや積極的な人員補充という解が最初から排除されているため、必然的に「今ある工数でどうにかする」というパワープレイになり、無理が蓄積している》SNS上では、報告書の内容に「ブラック企業あるある」「身に覚えがありすぎる」「弊社やんけ」と共感の声が広がっています。
吉田:どの組織でもありえることばかりですが、その他にどんな問題が指摘されていますか?
神庭さん:親会社トヨタの監督責任を問う声も大きいです。ダイハツの不正は2014年以降に特に増加しているのですが、朝日新聞によるとこの頃から、トヨタは小型車を中心にダイハツへの委託を増やしています。第三者委員会の調査報告書にも、2016年の完全子会社化を機にトヨタの海外事業に関わることが増えて「トヨタの遠心力」としての役割を期待されるようになり、短期開発がますます促進されたと記載されています。アンケートでも、《トヨタの期待に応えるためにダイハツの身の丈に合わない開発リスクを考えずに推し進めたことが大きな要因だと思います》との社員の声が寄せられています。トヨタグループでは去年、日野自動車で排ガス不正が発覚して、今年に入ってからも豊田自動織機のエンジンの耐久試験に関する不正が明らかになりました。グループ全体でのガナバンス強化が求められているのかなと思います。
ユージ:神庭さんは、今回のダイハツの不正問題について、どう思いましたか?
神庭さん:調査報告書の最後はこんな言葉で結ばれています。「前途は多難であるものの、当委員会は、ダイハツの将来を悲観してはいない。調査の過程で当委員会が接した従業員は総じて真面目であり、改善の方向性さえ間違えなければ必ず信頼を回復することができる」基本的には僕も同じ気持ちで頑張って欲しいなと思います。一方で「真面目にコツコツ仕事をこなす」というのは本来いいことですが、間違った方向に発揮されてしまうとノルマ必達が至上命令になって、今回のような不正や隠蔽につながってしまうこともあるわけです。そういう意味では、「真面目」の怖さを伝える不祥事でもあったなと思います。現状を疑い、無茶な要求に対して「いや無理です」「できません」と弱音を吐くことも含めて「真面目さ」の意味を再定義する必要があるかなと思います。来年の1月末まで国内の全工場を停止するということで非常に影響が大きいですから膿を出しきって頑張って欲しいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 26, 2023
『ダイハツの不正問題について』
長期にわたって不正が行われ、それも1個や2個ではなく、明らかに意図的だとわかるような不正が多くありました。これに対して斉藤鉄夫国土交通大臣は「厳正に対処する」と述べています。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 26, 2023
このような事が起きてしまった根本的な理由は、組織の構造に問題があったからなのではないでしょうか。会社の中でのルールやタイトなスケジュール、条件を満たさなければいけないというプレッシャーなど、大きな組織になればなるほどそういったものが生まれてくると思います。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 26, 2023
もちろんそれは言い訳になりません。どんなに大きな組織であろうと管理は徹底しなければならないし、ましてや、車は人の命を預けるものですから絶対に不正はあってはいけません。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 26, 2023
今回見直すべき点は、不正があったことはもちろん、不正を生んでしまった環境にあると思いました。車の会社に限らず、自身の会社が不正を生みかねない内部状況になっていないか、見直す機会になったのではないかと思いました。#ワンモ