23.10.24
人的被害は最悪ペース、クマの被害について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「人的被害は最悪ペース、クマの被害について」
吉田:本年度、クマによる人身被害は過去最悪のペースです。神庭さん、具体的に被害の状況を教えて下さい。
神庭さん:本州より南にはツキノワグマ、北海道にはヒグマが生息しているのですが、環境省のデータによると9月末段階での人的被害が109人です。昨年は通年で75人でしたので、すでに大きく上回っています。被害は東北が多く、秋田28人、岩手27人、福島13人、青森7人、山形4人、宮城2人。このほか長野9人、新潟5人、岐阜4人、北海道3人となっています。
吉田:原因は何でしょうか?
神庭さん:クマの個体数が増えていることに加えて、人里に現れるクマが増えています。クマが人間の世界に出てくるようになった背景には過疎化で人が減った、耕作放棄地など人間の管理が行き届かない土地が増えた、狩猟者が減少しているといった要因があります。
ユージ:クマの生息エリアと人間の生活圏の境界が曖昧になっているんですね。
神庭さん:そういうことですね。朝日新聞の記事「全国のクマ被害、過去最悪ペースどうして人里に?」によると、田畑に放置された生ゴミや、柿、栗などの農作物がクマを人里に引き寄せているということらしいです。読売新聞によれば、市街地に出没するクマは「アーバンベア」(都市型クマ)と呼ばれています。本来、クマは臆病な動物なのですが、「アーバンベア」は警戒心が薄く庭先にある柿の実などを食べに来てしまうということです。
ユージ:アーバンベアが出そうな地域の住民の皆さんは、怖いでしょうね。これからさらにクマ被害が増える可能性はありますか?
神庭さん:まさにそこが懸念されています。クマはブナの実などを食べるのですが、東北森林管理局の調査によると、今年は青森、岩手など東北5県でブナが大凶作になる見通しです。エサが減ると、お腹を空かせて人里に降りてきて人と遭遇してしまうリスクもそれだけ高まります。去年は逆にブナやドングリが豊富だったので、子グマが増えたとみられています。数の増えた子グマたちが、親とはぐれたり、エサを探したりして人里に降りてくる可能性もありそうです。
吉田:そんな中、クマを駆除したハンターに抗議の声が上がっているそうですね。
神庭さん:北海道で66頭もの牛を襲った「OSO18」というヒグマがいるのですが、ハンターが仕留めた際に「クマがかわいそう」「なぜ殺したのか」といった批判や抗議の電話が寄せられました。「OSO18」はなかなか尻尾を見せず、次々に乳牛を襲うので酪農関係者に恐れられ、「忍者ヒグマ」「怪物ヒグマ」と呼ばれていました。そんな怪物を仕留めた大金星をあげたのに、ハンターの方が責められてしまうのはあまりに気の毒ですよね。こうした苦情に対し、北海道庁はサイトでこう呼びかけています。「ハンターが非難を受けることは、地域のヒグマ対策の根幹を担う捕獲の担い手確保に重大な支障を及ぼしかねません」「法に基づく捕獲の制度や捕獲従事者の方々の社会的な重要性をご理解いただきますようお願いいたします」と言っています。
ユージ:もちろん、大前提として動物愛護の精神は大切で、「かわいそう」と思う気持ちは、分からなくないですがハンターさんを非難するのはちょっと違うような気がしますが、どうですか?
神庭さん:「かわいそう」という苦情の電話の多くは北海道外からかかってきているそうで、ヒグマの恐ろしさを知らず、「くまのプーさん」や「森のくまさん」感覚で抗議の電話をしているのかもしれませんが、ハンターや猟師の方たちも決して遊びでやっているわけではないです。撃たなければ自分が襲われかねない危険な状況があります。宮沢賢治の「なめとこ山の熊」には猟師のこんなセリフがあります。「熊。おれはてまえを憎くて殺したのでねえんだぞ。おれも商売ならてめえも射たなけぁならねえ」「仕方なしに猟師なんぞしるんだ。てめえも熊に生れたが因果なら、おれもこんな商売が因果だ。やい。この次には熊なんぞに生れなよ」と言っているのですが、ハンターを非難している人は「なめとこ山の熊」を10回くらい読んでほしいなと思います。
吉田:神庭さんはこのクマ問題についてどう考えますか?
神庭さん:少し前にYouTuberが札幌の森の中でピザを食べながら動画撮影をしていたところ、ヒグマの親子が現れるということがありました。YouTuber側はクマと遭遇したのは偶然で、食べ物でおびき出す意図はなかったと主張しているのですが、結果としてクマがピザの味を覚え、餌付けするような形になってしまったとのことです。批判すべきはハンターではなく、アーバンベアを生み出すような軽率な行動の方じゃないかなと思います。
ユージ:もちろん誰もが遭遇したいわけではありませんが、意図しなくてもクマと遭遇してしまうこともあります。基本的な行動を教えて下さい。
神庭さん:死んだふりが有効なのかどうかは諸説ありますが、NPO法人日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長はダイヤモンド・オンラインの記事で「もし手元に何もなければ、地面にうずくまった状態で丸くなり、両手で首をガードしましょう。これが、生き残る確率を最大限に高める死んだふりの方法です」とアドバイスしています。米田さんはクマに9回襲われ、そのたびに生還したという経験の持ち主です。ピッケルやスコップ、リュックサックなどが手元にある場合には、そういった道具を広げて、自分の姿を大きく見せることも有効だそうです。「絶対にやってはいけないのは『クマに背を向けて逃げる』ことです」とも指摘しています。そもそも遭遇しないのが1番ですが、危険なエリアに踏み込む時は、クマよけの鈴や、クマ撃退スプレー、ホイッスルなどを忘れずに持参するようにして欲しいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 24, 2023
「人的被害は最悪ペース、クマの被害について」
クマによる人身被害が過去最悪ということですが、駆除を依頼されたハンターがクマを仕留めた際に「かわいそうだ」などと批判の声が寄せられるそうです。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 24, 2023
動物愛護の観点で言えば、クマの命を奪うという行為は痛ましいことだと僕も思います。しかし、クマが人間の命を奪ったり、より被害が拡大するのを防ぐ意味では仕方のないことだと思いました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 24, 2023
専門家によると、クマは生存する上で冬眠前にどれだけ脂肪を蓄えられるかが重要だそうなので、これから寒くなるにつれて、森から人里に降りてくる可能性が高くなります。また凶暴化してしまう可能性もあるそうなので、ここから先はより気をつけなければいけません。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 24, 2023
私たちにできることは、クマが現れそうなエリアには踏み込まないこと。もしくは、クマ撃退スプレーや鈴を身に付けて行動をすることです。もう一つ、クマは視力が良くないそうなので、20~30m離れた場所で目撃した場合は、死んだふりや木になったつもりで動かずに待つのが有効だそうです。…
#ユジコメ⑤
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 24, 2023
こういったアドバイスを踏まえながら引き続き警戒を行ってほしいです。また、ハンターの方を非難せず理解してほしいと思いました。#ワンモ