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23.10.23

岸田総理の所信表明演説
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「岸田総理の所信表明演説」

吉田:先週金曜日から臨時国会が始まっていますが、今日、岸田総理は所信表明演説を行います。その演説のなかでも注目されているのが「税」の問題です。


ユージ:「所得税減税」という言葉、最近よく耳にしますよね。このあたり神庭さん、いかがですか?


神庭さん:岸田総理は先週金曜日に自民党と公明党の幹部に対して、所得税の減税を含めた還元策を検討するように指示しました。2022年度一般会計決算によると、税収は71兆円超で前年度を6%上回り、3年連続で過去最高を記録しました。だからこそ、「還元しろよ」という話になっているわけですが、所得税というのは法人税や消費税と並んで、国の税収を支える3本柱、基幹税の1つです。給与など個人の所得にかかる税金で、累進課税といって収入が多い人ほど税率も上がる仕組みになっています。税率は5%から最高45%まで7段階あります。給与所得の場合、給与所得控除と基礎控除があるので課税所得103万円までは所得税がかからないという仕組みになっています。


ユージ:その所得税を下げるとなると、どういったパターンが想定されますか?


神庭さん:決まった額を所得税から差し引く「定額減税」と、収入に関係なく一定の率を差し引く「定率減税」の2パターンが考えられます。日経新聞によれば、自民党の宮沢税調会長は定率減税について「高額所得者に有利になる制度で、なかなか難しい」と述べる一方、定額減税には「みなさん均等に減税の効果がある」と前向きな言い方をしています。また所得減税の期間に関しても、宮沢税調会長は「1年が極めて常識的だろう」と話しています。少しでも減税額を抑えて、期間も短くしようというケチケチぶりが伝わってくるような話ですが、仮に短期限定にしたとしても電気ガスの補助金のように元に戻すタイミングを見失ったり、戻す時に今度は「増税だ!」と叩かれる可能性もあります。


吉田:これまでに所得税が減税されたことはありますか?


神庭さん:1998年の橋本内閣は、所得税の定「額」減税で年間3万8,000円差し引きました。その次の小渕内閣は1999年、定「率」減税に切り替えて、上限を25万円として所得税を20%下げました。「恒久減税」と銘打っていたのですが、小泉政権時代に見直しが進み2006年に控除額が10%に半減。2007年に無くなってしまったそうです。


ユージ:所得減税に関して、課題や批判もあるのでしょうか?


神庭さん:自民党内にも慎重意見はあります。1つ目は、すでに打ち出している防衛増税との矛盾です。防衛費を賄うため、法人税、所得税、たばこ税を2024年以降の適切な時期に引き上げるという話になっていました。防衛増税で恒久的に所得税を上げるけど、期間限定で下げます、だとあべこべな政策になってしまいます。報道によると、自民党の萩生田光一政調会長は「これから減税策を考えるのに、来年から防衛増税もやるのは国民に全く分かりづらい話だ」と述べ、来年の防衛増税を否定する考えを示しました。もう1つの懸念点は、物価高対策としての実効性です。減税にはお金をバラまくのと同じ効果があるので、景気を過熱させます。減税によって、かえってインフレが加速するのではないか?と懸念もあります。あとは、財政規律が緩むことを不安視する声もありますね。


ユージ:そういった慎重意見や反対意見がありつつも岸田総理が所得減税を打ち出したのはなぜでしょうか?


神庭さん:ハッキリ言えば選挙対策です。SNS上で「増税メガネ」と叩かれていることを、岸田さんは思いのほか気にしているらしく、だったらレーシックにしたらいいのか!と怒ったという報道も出ているくらいなのですが、年内の解散総選挙を控えるなかで、少しでもそのイメージを払拭したいのではないかと思います。これまでにも給付金やクーポンなど色々ありましたが、所得制限があったり住民税非課税世帯にしか給付されなかったりと偏りも指摘されてきました。Yahoo!ニュース個人の島澤諭さんの記事によると、住民税非課税世帯の63%を65歳以上の高齢者世帯が占めています。従来はあまり恩恵を受けられなかった現役世代にも配慮した結果が、今回の所得減税案です。中間層以上に所得減税で目配せしつつ、減税のメリットが薄い低所得世帯には給付金の形で還元することで、全方位に配慮してます!というところですかね。


ユージ:最後に今回の臨時国会、神庭さんの注目ポイントはどういうところでしょうか?


神庭さん:ライドシェアの導入検討について所信表明で打ち出すとみられ、これは非常に注目しています。これまで「白タク」とされてきた、一般人による自家用車での送迎がOKになるのかどうかというところです。個人タクシーの運転手さんの年齢の上限を80歳に引き上げようとか、特定技能に外国人ドライバーも加えようとか、ピントのズレた対策ばかり打ち出してきました。ここで、安全性や既存のタクシー業界とどう共存するのかに関しても踏み込んで話し合って欲しいと思います。ただ、最大のテーマは減税かなと思います。祖父母世代に比べて孫世代が1億円損をするという世代間格差の存在が広く知られるようになっています。選挙対策のためのバラマキみたいな小手先な発想ではなく、税と社会保険料の世代間の公平な負担のあり方を問い直すような、骨太な議論をしてほしいです。例えば、所得税をいじるのであれば、今のサラリーマンは源泉徴収でいつの間にかお金を持ってかれています。そうではなくて、確定申告にしてどれだけ税金が取られているか皆さんにしっかり分かるようにして話し合って欲しいなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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