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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.10.16

花粉症対策 初期集中対応パッケージ
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「花粉症対策 初期集中対応パッケージ」

吉田:国民病とも言われる花粉症による経済損失が、3,800億円を超える可能性があると民間試算で明らかになり、今年5月政府は30年後に花粉発生量の半減を目指すと打ち出しています。


ユージ:3,800億円ってすごい数字ですよね。官民一体での取り組みが求められているってことですよね。


吉田:そうしたなか、政府は先週、花粉症に関する関係閣僚会議を開き、早期に実施すべき対策をまとめた「初期集中対応パッケージ」を策定しました。


神庭さん:この初期集中対応パッケージ、どんな内容かというと、政府の資料によると内容は大きく3つあります。1つ目は発生源対策です。10年後の2033年までにスギ人工林の面積を2割減らし、30年後には花粉の発生量を半減させることを目指しています。重点的に伐採や植替えをするエリアを今年度内に設定し、伐採する面積を現状の年間5万haから7万haにペースアップします。この他にもスギを使った住宅の需要を増やし、大規模で効率のいい工場を整備することや、花粉の少ないスギ苗木の生産を足元の5割から10年後は9割超まで引き上げるといった対策を掲げています。


吉田:発生源、花粉を出すスギの数を減らそうということですが、2つ目の対策は何でしょうか?


神庭さん:飛散対策です。民間がそれぞれ花粉の飛散予測を出していますが、この精度を上げるために政府がより詳細な情報を提供します。3月上旬に花粉の飛散が本格化するのに合わせて花粉の飛散予測に特化した「3次元の気象情報」を提供します。予測にはスーパーコンピューターやAIを活用し、大規模なデータを提供するためにクラウドを整備するということです。


ユージ:AIを活用するんですね。3つ目の対策は何でしょうか?


神庭さん:発症曝露対策です。まず発症に関しては、「舌下免疫療法」の治療薬を2025年に25万人分から50万人分まで倍増させるとしています。舌下免疫療法という言葉を初めて聞いた、という方もいるかもしれませんが、舌下、ベロの下の部分にアレルゲンを含んだ薬を置き、1日1回、数年間にわたって少しずつ計画的にアレルギー物質を取り込むことで、体を慣らしていく治療法です。これは高い効果があると言われています。次に曝露対策です。「バクロ」と言ってもガーシーみたいなスキャンダルの暴露ではなくで、花粉にさらされることをどう防ぐかという話です。経産省の資料によれば、企業が従業員の花粉症治療を補助したり、花粉の飛散が多い日にリモート勤務を推奨するなど、従業員が花粉にさらされにくい働き方を推進するということです。


吉田:改めて、花粉症の広がりはどれくらい深刻な状況ですか?


神庭さん:花粉症の有病率は1998年に19.6%でしたが、10年ごとに10%ずつ増えて2019年には42.5%に達しました。10人中4人が花粉症です。まさしく「国民病」なのですが、そもそも花粉症を生み出したのは国です。どういうことかというと、林野庁によれば戦中戦後の物資不足で森林が過剰に伐採されて、ハゲ山が増えたことで台風などの際に災害が頻発しました。加えて経済成長で住宅用の建材の需要が高まったこともあり、国策として天然林を人工林に置き換える「拡大造林」を推し進めていきました。スギは成長が早く、まっすぐ伸びるので加工しやすいということで結果、スギの人工林が日本の森林面積の18%を占めるまでになってしまいました。


ユージ:冒頭に経済損失が3,800億円という話もありましたが、経済にも悪影響ですか?


神庭さん:第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣さんの試算によると、今年1月~3月に花粉症の影響で人が外出を控えるなどの影響が出ることで、個人消費が平年に比べ3,831億円押し下げられました。また、一条工務店の花粉に関する意識調査でも、花粉症を理由に外出を控えたことがある人は5割以上、花粉症によってパフォーマンスが落ちると感じたことがある人は8割以上です。そのうちの1割が花粉症のパフォーマンス低下で叱責降格減給といった実害が出たと答えています。


ユージ:意外ですね。もう少しいるような気がしますが、1割くらいなんですね。そうしたなか今回、政府が策定した「初期集中対応パッケージ」、神庭さんは、どう見られていますか?


神庭さん:僕自身、花粉症に悩んでいるので、ぜひ実現させて欲しいです。ただ、10年後にスギ人工林の面積を2割減らし、30年後に花粉の発生量を半減させるというタイムスケジュールはずいぶん悠長ですし、生ぬるいなという気がします。国策のせいで国民の4割以上が苦しんでいるのですから、公害の責任をとって国が迅速に対策するのが当たり前の話です。キヤノングローバル戦略研究所、主任研究員の堅田元喜さんは2021年の論考で「通常の公害問題ならば、これだけはっきりした因果関係があれば、排煙処理設備の義務付けや操業の停止など、政府が有無を言わさず厳しい排出規制を行うのが常識である。しかし、花粉に対しては今もこの常識が適用されていない。これは、『行政の不作為』である」と主張しています。僕もこの意見に大賛成です。政府は公害問題だという認識を持って対策に取り組んでいただきたいですし、花粉症というと春のイメージを持つ人もいるかもしれませんが、ブタクサやイネ科の植物による「秋の花粉症」もあります。こちらの対策もぜひやって欲しいなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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