23.10.11
『物流2024年問題』の緊急対策、負担軽減につながるか?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「『物流2024年問題』の緊急対策 負担軽減につながるか?」
吉田:政府は先週金曜、トラック運転手の人手不足が懸念される物流業界の「2024年問題」に関する関係閣僚会議を開き、緊急対策をまとめました。塚越さん、まずは「物流の2024年問題」どのような問題なのか、改めて教えてください。
塚越さん:働き方改革関連法が来年4月からトラック運転手にも適用されることに伴う問題です。これまでトラック運転業界での残業規制は、一気に変えると影響が大きくなるため他業種よりも時間的に猶予がありました。ですが、来年4月からは猶予期間が終わり、トラック運転手の残業労働上限が年960時間に制限されます。対策を講じなければ、2024年度の輸送力は14%不足し、2030年度には34%の不足になると政府は推計しています。
吉田:緊急対策には、どのような対策が盛り込まれたのでしょうか?
塚越さん:運転手の負担が大きいとされる宅配の再配達を減らすことを「緊急的な取り組み」と位置づけて、自宅の玄関等に置く「置き配」やコンビニでの受け取りを選ぶ消費者にポイント還元を行うことです。具体的な仕組みは今後詰めます。なるべく早く実証実験を行い、現状12%の再配達率を来年度は6%へと半減させることを目指すということです。また「事業者(運送業者)」に対しては、これまでトラックで運んでいた荷物を、一度により多く運べる鉄道や船舶(貨物船)に代替する「モーダルシフト」も進め、今後10年程度で鉄道や船舶の輸送量を今の倍にするのを目標としました。政府も、陸上と海上をつなぎやすい施設や道路整備に力を入れると話しています。さらに「一定以上の規模の荷主(荷物の送り手)」に対しても、運転手が積み降ろしの順番を待ついわゆる「荷待ち」といった待機時間の短縮等、効率化のための計画策定を義務付けることになりました。これに十分に取り組んでいない場合は指導や命令を行う方針です。政府は運転手の賃上げや、下請けに不利がないように契約書を電子データで保存することを求めるということです。こういったことも重要だと思いますが、トラック事業者の大部分は中小企業なので、この負担をどうするかも考える必要があると思います。いずれにしても、待遇改善に向けた関連法の改正を年明けの通常国会で考えており、具体的な対策は10月下旬に政府がまとめる予定の経済対策に盛り込む方針です。
ユージ:対策の1つである「置き配やコンビニ受け取りを選ぶと、ポイントがもらえる制度」、これで再配達が減ると思いますか?
塚越さん:減る・減らないでいえば、ある程度、減ることは間違いないです。社会的にも物流問題は意識されていますし、運転手さんが大変なのも多くの人々が理解しています。実際、東京の八王子市では、鍵付きのバッグを無料配布する取り組みを開始しています。宅配業者の方が、玄関のドアにぶらさげたバッグに鍵を付けて品物をつめるというもので、毎日1000件を超す応募が来てるそうです。一方で、ある宅配ドライバーの方はテレビ朝日の取材に対して、「置き配は嬉しいですが、荷物がなくなったといったクレームが来るとやはり大変。今回のようなポイント制度は嬉しいですが、ドライバーが不安になっている点は理解して欲しい」と述べられています。写真を撮ったりしても、なくなった場合はクレームになりますので、先程のような鍵付きバッグに需要があると思います。
ユージ:政府がまとめた緊急対策、トラックドライバーさんの負担軽減につながると思いますか?
塚越さん:なると思います。ですが、個人向けの宅配個数はどんどん増えているので、置き配へのポイント制度などは必要かもしれません。個人的にはもっと重要な問題があるだろうと思います。フリーライターで、ご自身も元トラックドライバーの橋本愛喜さんが今年の4月に書かれた記事「Yahoo個人」によると、個人宅配の一方で「企業間輸送(企業同士のやりとり)」はもっと重要だと述べています。トラックには一般貨物自動車運送事業というものがあり、その中の一形態に、いわゆる個人向けの宅配便である「特別積合せ貨物運送事業」があります。この宅配便の事業者は、「全日本トラック協会」の2022年の資料によれば企業向けの一般貨物自動車運送とくらべて圧倒的に少ないということです。従業員数十人レベルの運送業者の大部分は企業間輸送を行う業者です。橋本さんによれば、個人宅配よりも企業間輸送の方が圧倒的に量が多く、政府が緊急の取り組みという個人配達の再配達を半分にしても、どこまで効果があるのか?と疑問を述べています。考えてみれば、個人宅配が増えても多いのは企業間輸送です。企業間輸送で物を作成しているので、ここが何とかしないと私たちの物も少なくなりますし、売れるものも少なくなります。置き配も大事ですが、こういった観点からも政府はどういうことをやるのか、船舶輸送を使用するなど注目しなければいけません。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 11, 2023
『「物流2024年問題」の緊急対策 負担軽減につながるか?』について
2024年問題は大きな課題として向き合っていくことが沢山あり、人手不足だったり、お金の問題だったり、多くの課題があるため、置き配が全てを解決できるものではありません。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 11, 2023
ポイントを付与するなど、置き配について考えている姿勢を政府がみせようとすればするほど、国民の皆さんが「物流の人手不足は置き配が進めば解決するんだ!」という誤った方向に向かうことを危惧しています。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 11, 2023
ドライバーさんや、配達員さんの給料を上げたり、再配達に手数料がかかるようにするなど届ける側にメリットがある制度を作る必要があります。物流に関わる全ての方へ、広く全体的に解決に繋がる策を実施していく必要があるなと思いました。#ワンモ