23.09.27
岸田総理が表明した『資産運用特区』の創設 その狙いは?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
【岸田総理が表明した『資産運用特区』の創設 その狙いは?】
中川:岸田総理は、日本時間の先週金曜アメリカニューヨークで講演し、日本の資産運用業への海外勢の参入を促すため、「資産運用特区」を創設すると表明しました。塚越さん、この「資産運用特区」とは、何でしょうか?
塚越さん:簡単に言えば、海外の「資産運用企業」を日本に参入しやすくさせるものです。資産運用会社とは、顧客から預かった資金を運用したり投資信託といった金融商品を開発しています。岸田総理は以前から「貯蓄から投資へ」の流れを促進しようとしており、この分野の構造改革を行い、海外企業を呼び込み業界の活性化を目指しています。そこで打ち出したのが「資産運用特区」で、この特区では海外から日本で資産運用業をはじめるときに、行政手続きがすべて英語でできるようにすると総理は述べており、「規制改革を行う」と言っています。運用担当者のファンドマネージャーが来日した時の住環境や、インターナショナルスクールといった子供の教育環境のような「生活環境の整備」にも触れているということです。
中川:「資産運用特区」の創設には、どのような狙いがありますか?
塚越さん:一言で言えば、資産運用業界を活性化させて、国民を投資に触れやすくさせて、結果的に国民所得を増やすのが狙いです。本当にできるかはまた別ですが。前提として、日本の家計の金融資産はおよそ2100兆円で、そのうち現金預金(預貯金)は1100兆円程度と全体の半分を占めています。一方で、株式は大幅に増加していますが、それでもおよそ270兆円です。投資信託も100兆円程度となっています。逆にアメリカでは現金預金が全体の1割、ヨーロッパも3割程度ということで、日本は大幅な金融緩和政策で金利が低いにもかかわらず、現金預金率が突出して多いことになります。こうした習慣を変えるために、特区をつくることで、海外勢も含めて業界を活性化させたいということです。さらに来年1月からは新しいNISA(少額投資非課税制度)も始まります。制度はいろいろと細かくありますが、重要なポイントは、非課税でできる投資上限額がこれまでよりも増えるということです。もともと岸田総理は去年9月にニューヨークの講演で「NISA改革」を訴えていました。これに今年の「資産運用特区」発言を加えると、NISAで個人が投資をしやすくしつつ、資産運用会社側の規制改革も行おうということです。日本にある1100兆円の預貯金を投資に向けさせることが目的だということです。
ユージ:「資産運用特区」の創設。塚越さんは、どうご覧になりましたか?
塚越さん:日本は資産運用の点で遅れているのは間違いないのかな、と思います。日本の投資信託企業の多くは銀行や証券会社の子会社で、人材不足やノウハウ不足が指摘されていますし、日本の投資信託の慣行は非効率なものが多いという指摘もあります。銀行の金利も低いので、投資や投資信託による資産運用を、政府としては普及させたいということです。一方、今回のように海外企業の呼び込みで業界は活性化=競争を激しくさせるということですが、淘汰される日本企業が出てくる、という懸念がありまして、これを単純に良いとみるかは人によるかなと思います。また海外勢が勢いづいても、それが本当に「日本にとって良いこと」になるかどうかは、政策を進める中で注意しなければならないと思います。より重要な点は、私も含め、資産運用は大人になってから色々知りますよね。急に行ってつまずく人も多いということで、当然リスクもあります。岸田政権は「資産所得倍増プラン」を去年11月に打ち出しており、そこには金融教育の拡充も盛り込まれています。「投資はよく分からない」だけでなく、「何か怖い」と感じている人に対する丁寧な知識を共有する、お客様教育をしなくてはいけません。そうでもしないと、たくさん投資して失敗すると業界として困るので、このあたりのさじ加減が重要かなと思います。
ユージ:子供の時から教育として、そういうところもどんどん進めていくことが必要ですよね。投資先だけ増えてもね。
塚越さん:あと、もう1つ言うと、日本の個人金融資産のうち6割以上は60代以上が保有するというデータもあります。その多くは老後の生活資金になっているので、どこまで投資に回せるのかということです。投資がなかなかできないという人もいます。そうすると富裕層が投資するということになるので国民全体の資産は増えたとしても、実際は格差社会が進むことになります。そこらへんも懸念点としてありますので、舵取りが難しいですが上手いことバランスを取って我々も金融を見ていかないといけないかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 27, 2023
『岸田総理が表明した『資産運用特区』の創設 その狙いは? 』について
日本の家計の金融資産はおよそ 2100 兆円で、その内の現金・預金は 1100 兆円程度と全体の半分を占めていて、ものすごい金額になっているそうです。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 27, 2023
物価の値上がりなどで、国民の皆さんの財布の紐が固くなっていますが、この動いていないお金を投資に運用して、もっと経済を回すために資産運用特区を創設し、海外からの参入を促したり、投資先を増やすための努力を政府はしています。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 27, 2023
その中で、投資の具体的な方法や、それに伴うリスクがどれくらいあるかなど、もっと学校の授業の中で 金融について学ぶ機会を増やしていくことが、未来の子供達への投資という意味でも大切だと思います。#ワンモ