network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.09.26

対馬市長が明日、「核のごみ」の調査について態度表明へ
null

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【対馬市長が明日、「核のごみ」の調査について態度表明へ】

横山:長崎県対馬市は、原発から出る「核のゴミ」の最終処分場選定に向けた文献調査について、あした27日水曜日、市長が市議会の議場で態度を表明した後、記者会見すると明らかにしました。


ユージ:基本的なことから伺いますが、「核のゴミ」というのは何でしょうか?


神庭さん:原発から出る「使用済みの核燃料」を再処理してウランやプルトニウムを取り出すと「放射能レベルの高い廃液」が残ります。この廃液をガラスと一緒に溶かして固体化させたものを「高レベル放射性廃棄物」、いわゆる「核のゴミ」と呼びます。どれくらい放射線が強いかというと、人間が近くに立っていたら、たった20秒で死ぬくらい強いと言われています。ただ、物質としては安定していて爆発性はなく、連続して核分裂する「臨界」を起こす恐れもないと政府は説明しています。


横山:物質としては安定しているとは言っても、やはり危険だと思ってしまうのですが、どうやって処分するのでしょうか?


神庭さん:「地層処分」といって、日本の法律では地下300メートルより深い岩盤に閉じ込めて処分することになっています。なぜ地中深くに持っていくのか?というと、資源エネルギー庁のサイトでは、酸素が少なくものが変化しにくい(腐食しにくい)。人間の生活環境から遠く離れているといった理由を挙げています。地上にあると地震や津波、火山の噴火、台風といった自然災害の影響を受けやすく、戦争やテロなど人間の活動に伴うリスクもあります。なので、地下での地層処分が適しているというのが政府の見解です。


ユージ:今話していたとおり、災害があったりだとか地下にあれば本当に安全なの?と思ってしまいます。


神庭さん:地下水に漏れ出したりしないのか?というのが気になるところですが、エネ庁はこんな風に説明しています。「放射能レベルが高い期間は地下水と接触しないように、厚い金属容器に格納し、水を通しにくい粘土で覆った上で、一定の間隔を空けて、安定した岩盤に1本ずつ埋設していきます」と言っています。こうやって「人工的なバリア」と「天然のバリア」を掛け合わせることで、核のゴミを閉じ込めるんだと、安全性を強調しています。原子力発電環境整備機構の資料によれば、核のゴミは長い時間にわたって放射線を出し続け、天然のウラン鉱石と同程度に放射能が低減するまでに、数万年〜10万年かかると言われています。


ユージ:10万年!これは、見届けることは無理ですし10万年と言われると現実的じゃないような気がします。


神庭さん:今から10万年前というと、まだネアンデルタール人が生きていた時代ですから、諸説ありますが現生人類がアフリカから世界各地に散っていったのが20万年前〜10万年前と言われています。そこからこれだけ変化して今に至るので、今から10万年後、何がどうなっているのか正直、誰にも分かりません。それくらい途方もない期間ですが、高レベル放射性廃棄物に関しては、まあ大丈夫でしょう、という前提のもとで処分計画が進められています。


横山:対馬市に最終処分場は置かれることになるのでしょうか?


神庭さん:まだ全然、そういう段階ではありません。というのも、処分地を決めるまでの調査だけで20年もかける想定なんです。第1段階が「文献調査」といって2年ほどかけて論文やデータ、過去の地震のデータなどを調べ上げます。この文献調査を受けるだけで自治体は最大20億円の交付金をもらえます。第2段階が「概要調査」で、現地で地面を掘ってボーリング調査をして、地質などを調べます。これに4年ほどかかります。概要調査まで進むと交付金が最大70億円もらえるんですね。第3段階が「精密調査」で、地下施設をつくって掘削した地質を文字通り精密に調べます。これになんと14年もかかります。


ユージ:調査自体もかなり時間がかかりますよね。なおさら現実的じゃないような気がします。


神庭さん:全部合わせて20年の長大な調査プロセスですから、第1段階から第2段階、段階を渡るごとに住民の意見を聞くことになっています。第3段階の精密調査を終えた後、処分場の選定を始める前の段階で住民の意見を聞かなければいけません。地域の声を無視して先に進めることはないということになっています。今回の対馬は第1段階の文献調査を受け入れるかどうかのフェイズになっています。入り口中の入り口なんですね。ちなみに北海道の寿都町と神恵内村は2020年に第1段階の文献調査を受け入れています。


横山:神庭さんは「核のゴミ」問題、どう考えていますか?


神庭さん:過疎化が進んで、税収が落ち込む地方の自治体にとっては20億円というお金は喉から手が出るほど欲しいお金なんですね。国が札束でほっぺたを叩くようなやり方には違和感を覚えます。10万年先の子孫に関わるかもしれない重大な責任を地方に丸投げして「お金欲しいでしょ?」「やるの?やらないの?」という態度のはどうなのかと思っています。原発は「トイレのないマンション」と言われていて、仮にトイレをつくるのであれば、地方ではなく国が主導して全面的な責任を負って進めるべきだと思います。電力はいち地域の問題ではなく、国全体の将来にかかわってくる話ですから、「対馬の方で何だか騒ぎになっているみたいだね」ではなく、一人ひとりが自分ごと化して考えていく必要があります。原発は安上がりだと言われますが、実際には廃炉費用や核のゴミ処分費用など色々かかってきます。火力はCO2が増え、メガソーラーには土砂災害を懸念する声があります。風力はいい風頼みだし、地熱は時間が経つと蒸気が減って発電量が落ちます。それぞれの発電方法にメリット・デメリットがありますので、それらを全部テーブルに乗せて、タブーなく議論していくべきだと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top