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23.09.05

中国の全面停止。政府が水産支援に200億円
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「中国の全面停止。政府が水産支援に200億円」

吉田:日本の水産物の輸入を中国が全面停止したことを受け、水産事業者への支援策として、政府が200億円程度を充てる方向で調整していることが、分かりました。神庭さん、具体的にはどのような支援策が考えられているのでしょうか?


神庭さん:共同通信によると、岸田総理は関係閣僚に対して5本柱の支援策を支持しました。1つ目は、国内消費拡大・生産持続対策をすること。2つ目が、風評影響に対する内外での対応をすること。3つ目が、輸出先の転換対策を取ること。4つ目が、国内加工体制の強化をすること。5つ目が、迅速かつ丁寧な賠償をすることです。すでに風評被害対策や漁業継続支援のために合計800億円の基金を設置しているのですが、そこに上乗せして200億円の支援策を追加するということです。具体的には「国内でもホタテを加工できるように殻むき機を導入する」「そのための人員確保を支援する」「新たな海外市場への販売・流通の支援」といったことを考えているそうです。


吉田:中国が全面停止したタイミングで神庭さんに解説していただきましたが、改めてこれまでの経緯をお願いします。


神庭さん:中国はもともと福島や東京など10都県の食品を輸入停止にしていたのですが、日本の処理水放出の方針に反発して7月に10都県「以外」の日本の水産物に関しても、輸入規制を強化しました。放射線検査を厳格化して水産物を長期間、税関に留め置くなど実質的な禁輸措置を取り始めました。そして日本が8月24日に処理水の放出を始めたことを受けて、改めて全面禁輸を宣言しました。足並みを揃える形で、香港とマカオも10都県の水産物の輸入禁止を発表したという経緯です。


ユージ:ここで心配なのが水産業の影響です。どのぐらい出ると予想されていますか?


神庭さん:農林水産物輸出入概況によると、昨年の中国向けの水産物の輸出額は871億円、香港向けは754億円。この2カ国向けだけで全体の4割以上を占めます。これらが激減するとなると、影響は大きいですよね。朝日新聞の記事《ホタテ、ブリ輸出できず「億単位の損失」も》では、中国向けの輸出がゼロになり、前年比で数億円のマイナスになったという、水産物専門商社の苦境を伝えています。中国に輸出できないとなると、水揚げされたホタテがどんどんダブついていきますよね。国内で売りさばこうにも、一気に供給が増えたら値崩れしてしまいます。また、この商社ではヨーロッパや東南アジアにも販路を拡大しようと頑張っているのですが、「どの国の業者も日本産ホタテが余っていることを知っており、足元を見て買い叩こうとする」という状況が起きていて、非常に辛い立場ですよね。


ユージ:これは相当、厳しい状況ですよね。損害は救済してくれるのでしょうか?


神庭さん:東京電力が賠償することになっていまして、10月2日から被害の申告を受け付け始め、11月20日から請求の受け付けを始めるということですが、手続きを待っている間に潰れてしまう事業者が出てこないか非常に心配なところです。主に漁業・農業・水産・観光関連が業種として想定されているのですが、それ以外でも因果関係を確認して対応するということです。水産物を運ぶ運送業や、倉庫業などにも影響が出てくる可能性が高いですから、その辺りもしっかり補償して欲しいところですよね。あまりに巨額になった場合に東電の経営に影響が出たり、電気料金の値上げという形で跳ね返ってこないか?という点も懸念されるところです。


吉田:以前、神庭さんに解説していただきましたが、明らかな嫌がらせレベルの措置と取れます。どうして中国はここまでしてしまうのでしょうか?


神庭さん:ゼロコロナ政策の失敗やIT企業への締め付けなどで中国経済は傾いてきています。若年層の失業率は6月に過去最高の21.3%に達しました。あまりの惨状に、一時的に若者の失業率の公表をやめたほどです。さらに、不動産バブルが崩壊して中国恒大集団が破産申請するなど、「中国版リーマンショック」の可能性も囁かれています。当然、国民の間にもマグマのように不満が高まっていて、こういう時は海外に「敵」をつくってそちらに注意を逸らす、ガス抜きするというのが定石ですが、その格好のターゲットになったのが処理水問題です。中国のSNSではデマも含めて、日本への憎しみや日本産食品への不安を煽るような記事と動画が山ほど投稿されています。中国から日本に嫌がらせの電話がかかってくるとか、現地の日本人学校に石が投げられるなど、2012年の反日デモを思い出させるような動きが高まっているのですが、背景には中国経済の低迷と世論誘導があるのではないでしょうか。


ユージ:こういう時は、政府が国際社会にしっかり講義や説明をして欲しいなと思いますが、どうでしょうか?


神庭さん:中国の原発では100兆ベクレルを超えるトリチウムが排出されているのですが、福島第一原発に比べても何倍も多いです。科学的には利がありません。根拠のない「風評加害」で無理筋の禁輸措置を取っているわけなので、即刻WTO、世界貿易機関に訴えるべきだと思います。一義的に東電が賠償するとしても、最終的な損害賠償は中国に対して求めていく必要があります。中国との対立が決定的になることを避けたいという理由で、政府内にはWTO提訴への慎重論もあるようですが、おかしなことはおかしいときちんと訴えていくということですよね。中国の姿勢が変わらないとしても、国際社会に対して「中国が無茶なことをやっているぞ」というアピールをしていくことが重要です。しっかりと言うべきことは言うという対応をしていくことが大切だと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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