23.09.04
概算要求総額、過去最高に

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「概算要求総額、過去最高に」
吉田:国の2024年度一般会計の予算編成で、各省庁が財務省に提出する概算要求の総額が2022年度の111兆6559億円を上回り、過去最大に達する見通しになったことが分かりました。そこで今朝は、今回の概算要求のポイントとその影響について神庭さんに解説してもらいます。
神庭さん:概算要求というのは、来年度の予算を組むにあたって、各省庁が「こういうことをやりたいので、これだけ予算をください」と財務省に要求することです。財務省が本当に必要かどうかを検討したうえで、年末に来年度予算案がつくられます。予算のたたき台のようなものなのですが、その概算要求が総額111兆円超で過去最高の見通しとなっています。何が増えているかというと、まず防衛費です。7兆7385億円と過去最高で、今年度当初予算から1兆円近く増えました。敵国のミサイルを迎撃する「イージス・システム搭載艦」が2隻で計3797億円。時事通信によれば、関連経費やこれまでに取得した大型レーダー、武器システムなどの費用も合わせると、導入コストは約9000億円に膨らむそうです。円安や資材価格の高騰などの影響もあり、昨年12月に策定した防衛力整備計画と比べても約2000億円増えているということです。
ユージ:円安やインフレの影響も出ているのですね。
神庭さん:防衛費に限らないのですが、円安やインフレの影響は各所に出ています。中国、ロシア、北朝鮮などの動向を考えれば、防衛費の増額自体はやむを得ないことだと思います。ただ、金額ありきで「とにかく増やすんだ!」という姿勢ではなく、サイバー防衛や、台湾有事も視野に入れた離島防衛、古くなった兵器や設備のメンテ・刷新も含めて、安保に資する分野に重点的に投じて欲しいなと思います。朝日新聞の藤田直央編集委員はデジタル版のコメントプラスで、自衛隊幹部の「何でも買えそうだけど何を買えばいいのか」という言葉を紹介しています。お年玉を握りしめた小学生ではないのだから、しっかり優先順位をつけて、防衛力を強化していただきたいなと思います。
吉田:その他に概算要求で増えている項目はありますか?
神庭さん:厚生労働省は33兆7275億円。今年度当初予算に比べて5800億円以上増えました。これは高齢化に伴って社会保障費が増えたことが影響しています。高齢化しているから医療費や介護費が増えるのは仕方ない、「自然増」なんだとよく言われるのですが、現役世代の社会保険料負担は限界に達しつつあります。今年度の国民負担率の見通しは46.8%です。国民の所得に対する、税や社会保障負担の割合が半分近くになっています。自然増だ、増えるのが当たり前だという前提ではなく、削れるところを探したり、現役世代と高齢者の負担割合を見直したり、聖域なく切り込んでいってもらいたいなと思います。
ユージ:神庭さんが概算要求で注目したポイントは何ですか?
神庭さん:文部科学省は今年度に比べて6000億円以上多い5兆9216億円を要求しています。学校現場のブラックぶりが広く知れ渡って、教員の成り手が減ってきていることから、「教員業務支援員」を増やすとか、教員になった人に奨学金の返済額を減免する、35人学級化を推進する、といった対策を打ち出しています。いずれもやらないよりやった方がいいのですが、根本的な問題が手付かずになっています。何かというと学校の先生は、教員給与特別措置法(給特法)という法律によって、公立学校の先生には残業代を払わず、代わりに「教職調整額」として基本給の4%を支給しています。この4%という数字は、月の残業時間を8時間ほどと見積もって導き出されたものですが、実際には皆さん数十時間残業していて、まったく実態に見合っていません。先生方が「定額働かせ放題」になっている実態をまず改善しないと、小手先でちょこちょこ制度をいじっても、教員不足は解消できないと思います。
吉田:他に気になったポイントはありますか?
神庭さん:経済産業省が来年度から、AIなどの先端分野の研究を支援するために「懸賞金型」の補助金制度を始めると日経新聞が報じています。あらかじめ目標を設定して、達成できた場合のみ報酬を支払う制度らしいのですが、SNSでは非常に評判が悪くて「宝くじが当たった時だけお金を払うようなもの」「懸賞金目当てに不正が横行するのでは」「ノーリスクですごい成果だけ欲しいというメッセージ」と批判が飛び交っています。成功した研究はさらにお金を出さなくても勝手に伸びますし、民間からもお金が集まります。うまくいくかどうかわからない段階で基礎研究にしっかりお金を投じるのが国家の役割だと思うので、「私、失敗したくないので」でいいのかなと思います。
ユージ:最後に、今回の概算要求全般について神庭さんはどう思いますか?
神庭さん:ここ数年、コロナ対策で予算が膨らんでいました。5類に移行した以上は、予算規模も徐々に平時に戻していかないとまずいと思います。物価高対策でガソリンや電気代などの補助金をズルズルと延長していますが、いつまで続けるのか出口戦略をきちんと描いておくことも大切だと思います。財政インフレといって、物価高の時に政府が巨額の財政出動をすると、さらにインフレが加速するリスクもあり、バランスが求められるところかなと思います。岸田政権の支持率が低迷する一方で、解散総選挙はいつなのかとささやかれていますが、選挙を意識して人気取りに走ってまたクーポンや商品券など、タガが外れた大盤振る舞いにならないように、注視していく必要があるかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 4, 2023
テーマは『概算要求総額、過去最高に』
各省庁が財務省に提出する概算要求の総額が
かなり大きくなりました、ということですが…
僕はその中でも文部科学省の対策として、
まずは教員の給与を今よりもっと上げるべきだと思っています。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 4, 2023
ただ、人数不足やブラック寄りの業務形態等から
先生になりたいと思う人が少ない。
なりたくても、現実的ではないと諦める人もいるかもしれません。
それはすごく残念なことです。
将来の日本をつくっていく子どもたちにとって、
学校の先生から学ぶことはたくさんあります。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 4, 2023
先生たちの給与が上がっていい暮らしができるようになれば、
学びや考え方も余裕をもって教えることができます。
そんな先生に憧れる子どもたちも出てくれば
どちらにもメリットがあって、教育の質も上がるでしょう。
僕は教員のための予算アップは、未来への投資だと考えます。#ワンモ