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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.08.21

「オーバーツーリズム」について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【「オーバーツーリズム」について】

吉田:観光地にお客さんが集中して、渋滞や騒音など、住民生活に支障が出ることを「オーバーツーリズム(観光公害)」といいますが、さっそく現状について神庭さん教えてください。


神庭さん:先週は舞妓パパラッチなど京都の事例をお話ししたので、今日は京都以外のエリアの実情を紹介します。まずは、神奈川の鎌倉です。江ノ島電鉄の「鎌倉高校前1号踏切」に、主にアジアからの観光客が殺到しています。人気漫画「スラムダンク」のアニメ版が1990年代に放送された時に、オープニングに登場したことでファンの間で聖地になりました。コロナで一時落ち着いたものの最近、劇場版が中国・韓国・台湾で大ヒットしたことで踏切を訪れる人も再び増えてきています。


ユージ:そこで、どんなトラブルが起きているのでしょうか?


神庭さん:産経新聞によれば、民家に無断で入ってくる、車道での撮影、ゴミのポイ捨てなどが相次いでいるとのことです。警察署への通報、相談も急増しているそうです。NNNの報道では、「観光客が朝5時からいて道路を占領している」「線路にバンバン入って車道で車を止めて撮影している」といった、地元住民の苦々しい声を紹介しています。車道にはみ出したら、そこで試合終了ですから厳しく取り締まっていただきたいと思います。


吉田:あと、富士山の登山も問題になっているみたいですよね。


神庭さん:外国人観光客による富士山の弾丸登山も問題化しています。弾丸登山は、山小屋に泊まらず夜に登り始めて、ご来光を見て下山するというものです。高山病や低体温症になるリスクも高く危険です。Tシャツ短パンのような軽装で富士登山を試みる外国人客も多く、山を甘く見ていると思います。それに加え、ルール違反もあって、FNNによると禁止エリアにテントを張る、山頂でドローンを飛ばすといった禁止行為が横行しています。ANNは、寝袋で野宿して登山道を塞いだり、プレハブの休憩所の床下に入り込んで火を使ったりといった危険行為があったと報じています。


ユージ:それは絶対にやめていただきたいです。


神庭さん:火の扱いで火事になったりしたら、他の登山客にまで被害が出てしまいます。ルール違反が横行するようであれば、事前の講習や日本人ガイドの帯同を義務付けるなど、対策強化が必要になってくると思います。


ユージ:他に何か気になる動きはありますか?


神庭さん:ダイヤモンド・プリンセス号の一件があってから、コロナ禍でクルーズ船による観光は下火になっていたのですが、経済再開にともなって、また増え始めました。ただ、クルーズ船の観光客がどれだけ地域振興につながっているのかは、今一度しっかり精査する必要があると思います。コロナ前の2019年の記事ですが、神戸国際大学経済学部の中村智彦教授によるYahoo!ニュース個人の解説記事「豪華客船にお金持ちは乗って来なかった~クルーズ船寄港地の憂鬱」が非常に興味深いです。クルーズ船というと、大金持ちや富豪の人たちがのんびり船旅を楽しんで、滞在先でも湯水のようにお金を使うといったイメージを持っている人もいるかもしれませんが、この記事によると実態はかなり違うそうです。


吉田:確かにそういうイメージがありますが、実際違うのですか?


神庭さん:あくまで2019年段階の情報ですが、記事によると東南アジアや中国発着の低価格なクルーズツアーが多く発売されていて、家族で旅行する場合、航空機代とホテル代を払うよりもずっと安上がりらしいです。冷静に考えると、クルーズ船は至れり尽くせりで、ディナーや宿泊は基本的に船内で済みます。その部分のお金は寄港地に落ちません。そのうえ大型バスに乗って免税店に直行して「そこで買い物してくださいね」という話になると、地元への波及効果はかなり限定的になってきます。しかも、その免税店が中国系や韓国系だったりすることもあり、この中村教授の記事でも「百害あって一利なしだ」といった地元関係者の厳しい見方を伝えています。


ユージ:どういった対策が必要ですか?


神庭さん:とにかく数さえ増やせばいいんだという発想から脱却して、客単価の方を上げていかないといけません。クルーズ船であれば、そこだけでしかできない体験、アクティビティーを提供して「コト消費」を促すなど今以上にお金を落としてもらう努力が必要になってきます。オランダのアムステルダムは、観光公害や環境汚染を理由にクルーズ船の寄港を禁止しました。あまりに費用対効果が割に合わない場合には、そういった厳格な対策も視野に入ってくるかもしれません。また先週も話しましたが、イタリアのヴェネツィアやスペインのバルセロナなど海外の事例も参考に、外国人観光客に対する観光税・宿泊税強化も考えた方がいいのかもしれません。


ユージ:他には、何かありますか?


神庭さん:海外の観光客に加えて、日本人客まで集中すると輪をかけて大変なことになります。星野リゾート代表の星野佳路さんは、JNNのインタビューで「日本の国内全体を、2500万人ずつの人口の地域に分けて、その1~5番目の地域が、1週間ずつずらしてゴールデンウィーク、シルバーウィークを取っていく」というローテーション制の大胆なアイデアを提言しています。何で外国人観光客に合わせて日本人がやり方を変えなきゃいけないの?と思う人もいるかもしれませんが、休みが分散して混雑が減るのは日本人にとっても悪い話ではありません。検討の余地はあるのではないかと思いました。


ユージ:僕もこれは検討の余地があるなと思いましたね。


神庭さん:子供の学校が1番ネックになると思います。そこが解消されるといいですね。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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