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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.08.17

ガソリン価格1リットル200円時代に向けた国の対策
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんにお話を伺いました。
塚越さんが注目した話題はこちらです。


【ガソリン価格1リットル200円時代に向けた国の対策】

吉田:経済産業省は今月9日、レギュラーガソリンの店頭価格に関する調査結果を公表しました。それによると前の週より3.6円値上がりして1リットル180.3円でした。180円を超えるのは2008年8月以来15年ぶり。すでに高速道路のサービスエリアでは1リットル200円を超えるところも出てきているようです。ガソリン価格の問題は毎年のように取り上げていますが、リッター200円時代を前に政府はこの事態にどのような対策を準備しているのか、塚越さんに解説いただきます。


ユージ:そもそもガソリン価格の高騰の背景について、あらためて整理していただけますか?


塚越さん:一言で言えば、円安と原油価格の上昇に加えて、政府が支援しているガソリンの補助金を減らしていることが大きな要因です。政府は昨年1月から、ガソリンの全国平均価格が170円を超えないように補助をしてきました。1リットルあたり170円を超えた場合、政府は石油元売り会社に補助金を上限5円を出して、卸売価格から差し引く仕組みでした。その後すぐにウクライナ侵攻によって原油価格が跳ね上がったため、政府は上限額を25円、35円と段階的に引き上げ、補助期間も延長してきたこともあり、価格は170円以下になっていました。補助金の総額は今年3月までの時点で総額3.1兆円と巨額になっています。お金もかかるし、緊急手段としての補助がいつまでも続くのは問題だということで、政府は今年の1月から上限額や補助額を徐々に下げ、10月にはゼロにする方針です。ですが、最近、一旦は下がった原油価格が再び上昇傾向にあり、円安なので輸入にもお金がかかっている状況です。


吉田:ガソリン価格の高騰によって、どんな影響が考えられますか?


塚越さん:打撃が大きいのはやはり物流業界です。全日本トラック協会によると、燃料が1円上がると業界全体で150億円程度負担が増えるということです。物流業界は、ドライバーの時間外労働の制限や人材不足が問題となる「2024年問題」がすでに課題となっているのに、ここにきて燃料価格の高騰はさらに打撃です。もうひとつは、やはり私たちの生活への打撃です。特に地方では車が当たり前で、車がないと生活できないという人も多く、ただでさえ物価高の中で、燃料の高騰はダメージが大きいです。


ユージ:国は、この事態にどんな対策を準備しているのでしょう?


塚越さん:現状のままだと9月で補助は打ち切りになるので、さらに価格があがる可能性があります。そこで政府・与党内でも補助の延長論があるんです。また、野党からはガソリン税についての指摘もあります。ガソリンは、ガソリン自体の価格に加えて、ガソリン税や石油税があり、そこに消費税も乗っかって「二重課税」とも言われ、これまでも批判が多いです。そこで野党の一部は、ガソリン平均価格が1リットルあたり160円を3ヶ月連続で超えた場合に、ガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」を発動せよ、という指摘をする人もいます。現在のところ東日本大震災の復興財源を確保するためにトリガー条項は凍結されているんですが、発動すればこれだけで25円程度ガソリンが安くなります。国と地方合わせて1年で1兆5700億円分くらいの税金が減ることになりますが、現在も補助金でお金がかかっているわけで、これをどう捉えるかという議論はあります。


吉田:与野党からあがっている声に岸田政権はどう応えそうですか?


塚越さん:与党でも物価高対策の延長論があがっており、ガソリンだけでなく、1月使用分から電気・ガス料金についても補助されていましたが、こちらも9月で打ち切り予定なので、こちらも延長が想定されています。予算としては、トリガー条項でも補正予算の編成ではなく、予備費の活用とみられていて、今月内に延長の是非を判断するとみられています。


ユージ:補正予算の編成ではなく「予備費」を活用するのはなぜですか?


塚越さん:補正予算の編成には時間がかかるというのがまずあります。コロナ以前の予備費の計上上限は、おおむね3500億~5000億円でしたが、2020年度は10兆円に膨らみ、その後も予備費は巨額が計上されています。23年度予算では、一般予備費に5000億円のほか、コロナ対策などに計5兆円が計上されています。予備費は予算編成時には想定できなかった事柄に使うものですが、国会審査を経ることなく政府が使い道を決定できるので、国会の監視が及びにくく、歳出拡大の問題もあります。緊急手段としてはいいですが、お金の使い道をきちんと考えないでバラマキのようになると問題です。補助金にしても大切だとは思いますが、全部ばらまくとなるとどんどん予備費が増えてしまうので、使うにしても「どこに」使うかという議論をもっとする必要があると思います。


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