23.06.13
スシロー、迷惑動画で少年を提訴し6700万円の損害賠償

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「スシロー、迷惑動画で少年を提訴し6700万円の損害賠償」
吉田:回転ずしチェーン「スシロー」店舗で客の少年がしょうゆ差しの注ぎ口をなめる動画が拡散した問題で、スシロー側は少年に対し、およそ6700万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したことがわかりました。神庭さん、問題の動画はどんなものなのでしょうか?
神庭さん:岐阜市内の店舗で今年1月に撮影された動画なのですが、友人と来店したとおぼしき少年が醤油ボトルの注ぎ口をなめたり、レーンの上にあった未使用の湯呑みをなめ回して元の場所に戻したり、指にツバをつけてお寿司になすりつけたりしていました。バイトテロならぬ客テロです。僕も回転寿司大好きでよく行くので、勘弁してくれよ!という気持ちになりました。
ユージ:同感します。一方で、6700万円という損害賠償の額、どう思いますか?
神庭さん:ネットなどでは高いという声もありますが、スシロー側は店のイメージが悪化して実際に客が減ってしまいました。いたずら防止の対応も迫られ、設備代などもかかっています。共同通信によると、親会社の株価にも影響が出ていて、1月30~31日の間に時価総額が160億円以上下落したということです。こういった損害や、本来なら得られるはずだった逸失利益を考えると、6700万円でも高すぎるとは言えないのではないかな、と思います。また、厳しい姿勢を示すことで一罰百戒を狙い、模倣犯を防ぐ意味合いもあるのではないでしょうか。今、回転寿司業界も含め、飲食業界全体が人手不足になっています。機械化できるところを機械化して、人件費をセーブすることでどうにか安い値段を実現しています。反面、人を減らしたぶんだけ監視の目も弱まっていますから、客テロをどう防ぐかは頭の痛い問題になっています。
ユージ:イタチごっこみたいなことになる可能性もありますからね。
神庭さん:一方で、実は客足の減少自体は今回のペロペロ騒動の前から起きてはいました。理由は、原材料や輸送費の高騰です。そのためスシローは去年10月に、最も安いお皿の料金を110円から120円に引き上げています。さらに、去年6月には、おとり広告問題で消費者庁から措置命令も受けていまして、元々そういった問題があって客足が落ち込んでいたところに客テロまで起きて、ダメ押しになってしまったということです。色々絡まり合っているので、どこからどこまでが少年の影響なのかきちんと切り分ける必要はありますけど、ここで訴えなければ、逆にスシロー自体が株主から訴えられてしまうこともあり得ます。スシローとしては「大目に見ましょう」と甘い態度をとる選択肢がなかったと思います。
吉田:神庭さんは今回の客テロ問題について、何か感じましたか?
神庭さん:被害を受けたスシローが厳しい姿勢でのぞむのは当然のことだと思います。ただ、SNSでいきすぎたネットリンチが広がることにはまた別の危険も感じます。外野が少年の名前を特定して拡散したり、YouTuberが高校に行って押しかけたりといったことも起きています。これは明らかにやり過ぎだと思います。店員や客も含めて、飲食店での悪ふざけ・イタズラは、おそらく昔からずっとありました。それがSNSで可視化されたと思うのですが、今の時代は何かやらかしたら一発で即アウトになります。即追放して、再起不能になるまで徹底的に追い込め!という風潮は、そこまでいくとどうなのかな…と思います。
ユージ:確かに、そこは根深い問題ですね…。
神庭さん:僕は「怒りの日替わり定食」と呼んでいるのですが、毎日毎日、「さあどうぞお怒りください」とばかりに炎上ネタがタイムラインに流れてきます。自分を絶対正義のポジションにおいて怒りの声をあげるのはとっても気持ちいいわけです。だからこそ、注意が必要だと思っていまして、つい先日も駅の線路に立ち入って石を投げている男性の動画がTwitterで拡散されました。主旨としては電車が遅れて迷惑だという怒りの声の一方で、母親とみられる女性が駆け寄り、男性を必死に抱きしめてなだめる様子に、「胸がしめつけられた」「動画を晒すのはどうなの?」という声も出ました。現実は複雑だし、人間の感情も複雑だと思います。簡単に喜怒哀楽に切り分けられないグラデーションがあると思いますから「おいおい迷惑だろ」「ふざけんなよ」という気持ちと「なんか大変そうだな」「仕方ないか」という気持ちが1人の人間の中に同居していても別におかしくないと思います。SNSもメディアも注目を集めてナンボのアテンション・エコノミーの世界なので、見る人の関心を掻き立てるために、怒りなら怒りという感情の鋳型にわかりやすく押し込めようとしてくるわけです。その波に押し流されないために自分自身の感情の解像度を上げていくのも大事で、今「怒りレベル4」「悲しみレベル2」「同情レベル3」くらいだな、という感じで、センセーショナルな情報に接した時ほど、一拍置いて背景事情にまで思い巡らせてみてもいいのではないか、と思います。
ユージ:頭ごなしに目に入ってきた情報だけを見て「何やってんだ!」となる前に一旦その背景には何かあったのか、考えるべきですね。もちろん最終的に怒ることもありますが、一回引いてみるというのは大事です。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①?『スシロー、迷惑動画で少年を提訴し6700万円の損害賠償』??6700万円という額は、一個人に求める賠償金としては誰もが高額だと思うはずです。しかし、企業が被った被害額というのはそれどころではなく、企業からすれば少額に過ぎません。#ワンモ
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 13, 2023
#ユジコメ②?少年相手にいかがなものか!という声がありますが、僕は致し方ないことだと思います。なぜなら例えばこれから裁判が行われたとして、少年がどれだけ社会的制裁を受けたかや、現実的に払える金額で賠償額が判断されるため金額が下がる可能性があるからです。#ワンモ
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 13, 2023
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 13, 2023
やはりスシローとしては相当な被害があったわけですから、少年であろうと大人であろうと穀然とした態度で対応することが重要です。また、株主に対してもビジネス上しっかりとした姿勢を見せることも重要だと思いました。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 13, 2023
少年が犯したことはもちろん許せないことですが、個人の感情は切り離さなければいけません。今後同様の問題を起こさないために強い姿勢を見せる必要があると思うので、今回の損害賠償は必要な措置だと思いました。#ワンモ