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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.06.12

止まらないマイナトラブル
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「止まらないマイナトラブル」

吉田:別人の情報が登録されるミスなどが次々と明らかになっているマイナンバーカード。直近では、他人の年金情報を閲覧できるトラブルがあったことも新たに分かっています。


神庭さん:大袈裟ではなく、毎日のようにトラブルが発生しています。主なものを振り返ってみると4つあります。1つ目は、マイナンバーカードと保険証を一体化したマイナ保険証に別人の情報が登録されるケースが、これまでに7300件以上、確認されています。本人がマイナ保険証を希望していないのに、なぜか登録されてしまうケースも起きています。2つ目は、コンビニで住民票など他人の証明書を発行してしまうこと。3つ目は、 マイナポイントが別人に付与されてしまうトラブルが、疑い例も含めて173件発生すること。4つ目は、給付金などの公金受取口座に、別人のマイナンバーをひも付けてしまうケースで、このうち親の口座に子供のマイナンバーを登録するなど、家族で同じ口座を登録したケースが13万件、家族ではなく他人を誤登録してしまったとみられるケースが748件あります。そして今回の、他人の年金情報が閲覧できてしまうトラブルも出ています。


吉田:いろんなトラブルが起こっていますが、原因は何でしょうか?


神庭さん:それぞれに異なる原因がありまして、マイナ保険証のトラブルでは、健康保険組合の方で同姓同名の人を誤入力するミスなどがあったと報じられています。コンビニのケースだと、富士通Japanが提供するシステムに不具合があったとして、富士通の社長が謝罪しています。公金受取口座に関しては、銀行口座を持っていない子供の代わりに親が自分の口座を登録するケースが相次ぎました。公式のQ&Aでは本人の口座しか登録できないと書かれてはいましたが、システム上防ぐ手立てがなく、気づかず登録してしまう人が多発しました。自治体の窓口にある共有端末で、前の人が登録作業をした後にログアウトしておらず、その後に誤登録されてしまったケースもありました。


ユージさん:気になるのは、トラブルに対する政府の対応ですが、こちらについてはどうなのでしょうか?


神庭さん:政府は加入者のデータの一斉点検を進めています。健保組合などに対しても、登録の際に正しいフローでデータのひも付け作業をするように改めて要請しています。不備がないか調べて、7月末までに結果を報告するように求めています。河野太郎デジタル大臣は国会で、責任をとって自分自身を処分する意向を表明しました。「責任は大臣たる私でございますので、何らかの形で私に対する処分をやらなければいかんだろうと思います」と話しています。


吉田:神庭さんは、マイナンバーをめぐる一連のトラブル、どう思いますか?


神庭さん:メリットがわかりづらいと思います。


吉田:メリットを具体的に教えてください。


神庭さん:政府のサイトに3つの目的が書かれています。1つ目が、国民の利便性の向上することです。社会保障や税関連の申請時に面倒な手続が簡単になります。2つ目が行政効率化ができて、色んな事務コスト時間や労力が大幅に削減され、手続が正確でスムーズになります。そして3つ目が、税や社会保障の負担を不当に免れる不正受給を防ぐ、あるいは本当に困っている方へ支援するという様に公平な社会が実現できることを売り文句にしています。あとは、健康保険証と統合することで、医療のデジタル化も目指しています。ただ、言ったようなメリットがわかりづらい、伝わりづらいというのがポイントで、そのせいでマイナポイントの"バラマキ"を続けて半ば強制に利用者を増やしてきました。任意、任意と言いつつ、来年秋に保険証を廃止するなど、事実上強制するような形は問題かな、と思います。人口の77%以上の9700万人が申請するところまできたのですが、そのぶんの歪みも出て、トラブルが続出してしまったという部分があります。僕は河野さんの突破力、実行力は高く評価していますけど、マイナンバーに関しては、残念ながらちょっと裏目に出てしまった部分もあるのかな、と思っています。リベラル寄りの朝日新聞や毎日新聞がマイナンバーの失態を批判するのはある意味通常営業ですが、保守寄りの立場で普段は政権に親和的なスタンスの読売新聞も《保険証の廃止 見直しは今からでも遅くない》という社説を出したことが話題を呼んでいます。産経新聞も《マイナカード混乱 「普及優先」を見直す時だ》と社説で注文をつけています。解散風を強まっているなか、こうした声を無視して突き進むと、「消えた年金」問題の時のように岸田政権のアキレス腱になりかねないのではないか、と思います。


ユージ:神庭さんは、どうしたらいいと思いますか?


神庭さん:1億人規模のシステムでノーミスは不可能なんです。だからこそ、起こり得るミスにどう備えるかが大事です。特に健康保険証に別人の情報が登録されるようなケースは、下手をすると命にかかわってきます。通院歴や投薬歴のデータが誤っていたら、間違ってアレルギーのある薬や飲み合わせの悪い薬を処方してしまうリスクがあるわけです。こういうものは一刻も早く改善しないといけません。結局、人力入力頼みでやっているからこういうことが起こります。政府はことあるごとに人為的なミスだ、ヒューマンエラーだと言っているのですが、「じゃあ仕方ないね」という話ではなく、システムというのは機械、ハードの話だけでなく、それをどう運用するかもひっくるめてのシステムです。今後、運転免許証や母子手帳もマイナカードと一体化させていく予定ですけど、ヒューマンエラーが起きにくいように「人力」に委ねる部分を減らしていかないと、同じことの繰り返しになるのではないかと心配です。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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