23.05.29
アメリカの債務上限問題

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「アメリカの債務上限問題」
吉田:昨日、ホワイトハウスと野党の共和党は、債務上限の引き上げで基本合意に達したと、複数のアメリカメディアが報じました。これでアメリカ史上初の債務不履行は、回避できる可能性が高まりました。ただ、引き上げには議会両院で法案を可決する必要があり、まだ回避には予断を許さない状況です。そこで今朝は、そもそも債務上限問題とはどういう問題なのか?私たちの生活にどういった影響があるのか、神庭さんに解説して頂きます。まずは、債務上限問題について、教えてください。
神庭さん:アメリカでは、政府が野放図に借金ができないように、法律で政府の債務(借金)の上限額が決められています。上限を引き上げるには新たに法律を通す必要があり、第2次世界大戦以降、100回以上引き上げられてきました。ちなみに現在は31兆ドル以上(4413兆円以上)あります。途方もない金額に思えるのですが、コロナ禍で支出が増加していることもあって、1月時点ですでに上限に達しました。
ユージ:つまり、新たに借金ができないという認識でいいですか?
神庭さん:そういうことです。基金に支払っているお金をストップするなどしてどうにかこうにか当座をやりくりしているのですが、限界が近づいています。やがて今あるお金が底をついたら、デフォルトに陥ってしまいます。「デフォルト」とは、債務不履行といって、対外的な支払いができなくなり、国債の元利も払えなくなってしまう状態のことです。資金が枯渇し、デフォルトになってしまうXデーは、これまで6月1日だとされてきましたが、最新のデータで計算し直したところ、少しだけ猶予ができて6月5日に延びそうです。過去、実際にデフォルトしたり、一部の債務が不履行になる選択的デフォルトに陥った国にはアルゼンチン、ギリシャ、ロシア、エクアドルといった国々がありますが、仮にアメリカのような経済大国がデフォルトしたら前代未聞です。
ユージ:デフォルトになったら、何が起きるのでしょう?
神庭さん:大惨事になります。「政府閉鎖」といって、公務員の給料が支払えなくなり、行政サービスが提供できなくなります。メディケア(高齢者向けの医療保険制度)への支払いがストップしたり、社会保障費の支払いが滞ったりするかもしれません。米国債の信頼が毀損されるので、金利は上昇します。住宅ローンや車のローンも上がり、消費は冷え込みます。すでに陰りが出ている景気も、いっそう悪化するかもしれません。アメリカの大統領経済諮問委員会の試算によると、もしデフォルト状態が長期化した場合…7~9月期のアメリカの株価は45%急落し、800万人もの雇用が失われます。GDPは6.1%下がり、失業率も5ポイント上昇するということです。
吉田:日本に住む私たちへの影響はありますか?
神庭さん:日経平均株価は一時3万1000円を超え、バブル景気の時以来ということで、これが暗転しかねません。海外の投資家たちがリスクを避ける形で円を買い、その結果円高になります。すると、円安で得をしてきた日本の輸出企業にとっては大きなダメージになります。ここ最近の日本株の好調ぶりは海外マネーに支えられてきた側面もありますが、それが一気に引き上げられると、株価もダダ下がりしてしまいます。アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪を引くと言われるなかで、アメリカ経済がくしゃみどころか本格的に風邪で寝込んでしまったら、日本は肺炎で即入院ということだってあり得るかな、と思います。
ユージ:そんな大変な事態になりかねないのに、なぜ早く債務上限を引き上げなかったのでしょうか?
神庭さん:債務上限を引き上げなかった背景には民主党と共和党の根深い対立があります。しかも上院の多数派は民主党で、下院は共和党というねじれ状態になっていた、ということでバイデン大統領が出身の民主党は積極的に財政出動する「大きな政府」のスタンスをとっています。一方の共和党は「小さな政府」を基本としています。極力支出を減らし、税金も下げようという考え方です。「債務上限を引き上げたい民主党」VS「できるだけお金を使わせたくない共和党」という構図があるわけです。昨日、バイデン政権とマッカーシー下院議長が上限引き上げで基本合意に達したという報道がありましたが、民主党内にも共和党内にも「そう簡単に妥協するな!」という強硬派は存在しています。そういう人たちをまとめ上げて、基本合意から正式な法案提出までこぎつけることができるか?ということが次の焦点になります。
ユージ:神庭さんはこの問題をどう考えますか?
神庭さん:債務上限問題はこれまでにも繰り返し浮上してきたのですが、その度に政府と議会がギリギリの交渉をまとめ、デフォルトや政府閉鎖は回避されてきました。ある意味、恒例行事で民主党と共和党のどつき漫才みたいなものになります。散々脅すような話をしてきましたが、過去の経緯を考えれば恐らく今回も十中八九、デフォルトは避けられると思います。ですが、残り1割の「もしも」が起きた時の影響が大きすぎるから、メディアも市場も大騒ぎしています。来年の大統領選を控え、両党ともに存在感を発揮したい思惑もあるのでしょうが、全世界を巻き込んでチキンレースをやるのは勘弁してほしいです。今回収束しそうなので少し安心していますが、余談を許さない部分もありますから、「いい加減にしろ」「どうも、ありがとうございました」でうまいことオチがついて、いい感じに漫才が終えられることを祈りたいと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 29, 2023
今朝のテーマ「アメリカの債務上限問題」
債務とは、お金を借りた人や組織がお金を返す義務のこと。
今回アメリカの債務が上限額に達したことで
新たに借金ができない状況となり、
デフォルトに陥ってしまう可能性が問題となっています。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 29, 2023
やはりアメリカは経済大国ですから、
デフォルトになれば国内だけでなく
日本や世界に与える影響は大きいわけです。
今回も結果的にはなんとかなりそうだという話はありますが、
もしチキンレースのようなことをやっているのだとしたら、
世界を巻き込むのはやめてほしいですね。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 29, 2023
仮に上限引き上げができたとしても、大幅な歳出削減が条件になった場合、
やはり景気にマイナスになるリスクは想定しておく必要があります。
ただ、アメリカの過去の経緯を考えれば
今回もデフォルトは避けられそうだということで、
まずは一安心なのかなと僕は思っています。#ワンモ