23.05.23
欧米や中国が積極的なEVへの転換、日本メーカーが消極的な理由

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「欧米や中国が積極的なEVへの転換、日本メーカーが消極的な理由」
吉田:広島サミット直前だった今月18日、日本自動車工業会のトップは、国や地域に応じた多様な技術で脱炭素化を目指していくことを改めて訴えました。地球温暖化に対する懸念が高まる中、欧米や中国の自動車メーカーはEV=電気自動車への転換に積極的、一方、日本のメーカーは出遅れていると指摘されています。神庭さん、世界では今後、EVが増えると予想されているのでしょうか?
神庭さん:「週刊ダイヤモンド」の今週号で紹介している、ある大手サプライヤーの最速シナリオによると、2027年にはヨーロッパ、中国でEVの構成比がほぼ半分になり、アメリカでも35%に達しますが、日韓は19%にとどまります。JETROのデータによると、昨年の中国の自動車の輸出台数は311万台で日本に次ぐ2位になります。そのうち新エネルギー車の割合が増えてきています。2023年1~3月期は、中国が日本を抜いて1位になったと報道されています。
吉田:そんな中で、日本はどうして消極的なのでしょうか?
神庭さん:日本自動車工業会は、G7サミットに合わせてオンラインで記者会見しました。朝日新聞によると、自工会の会長でトヨタ自動車の会長でもある豊田章男さんは「EVは非常に重要な選択肢だが、敵は炭素だ」と発言しました。「そもそもEVを増やしまくることが目的ではなく、温暖化を防ぐために二酸化炭素を減らしていくのが本来の目的ですよね?」ということです。だからこそ、日本はEV一辺倒で電気自動車に全振りするのではなく、「マルチパスウェイ」といって、ハイブリッド車や水素自動車といった選択肢も含めた全方位戦略をとっています。
ユージ:確かにそうですね。でも、日本が世界のEVの波に遅れてしまっていると見えて心配になってしまいます。今の戦略で大丈夫なのでしょうか?
神庭さん:実はヨーロッパも一枚岩ではなく、揺らいでいます。EUはEV移行を促すため、2035年以降はエンジン車の新車販売を全面禁止する方針をぶち上げていたのですが、ドイツ政府が反対して、e-Fuelといって二酸化炭素と水素から作った燃料を使う車は、例外的に認めることにしました。ドイツと同じくイタリアや、東欧の国々にも同調する動きがあったといいます。e-Fuelがどこまで普及するか未知数ですが、ひとつ言えることは「ルールが決まった」とはいえ、それは絶対的に動かないものではなく、状況次第で流動的な部分もあるということなんです。日本のように全方位戦略をとっていれば、規制や法制度の変更があった時にも対応しやすいというメリットはあるかもしれません。
吉田:では、日本のEV戦略について、課題はなんでしょうか?
神庭さん:先ほど全方位戦略のメリットを挙げましたが、それはデメリットにもなり得ます。全部をくまなく追いかければ、その分だけコストはかさみます。ただでさえEVやら自動運転やらで、多額の投資が必要になるなかで、新規参入のテスラなどのように一点突破が出来ないのは足枷です。「死角がない」ことが死角になりかねないということで、トヨタの2024年3月期の連結営業利益は日本企業で初めて3兆円を超える見通しで、足もとの経営は絶好調といっていいと思います。だからこそ「イノベーションのジレンマ」にも注意しないといけません。大手企業が既存のビジネスモデルでうまくいっている場合、わざわざ新たなイノベーションに挑戦するメリットは薄いです。それどころか、EVにシフトするとガソリン車が売れなくなり、社内で共食い状態になるリスクがあります。日本が海外に比べてEVに本気になりきれないのは、そういう背景事情もあります。
ユージ:なるほど。うまくいっている時は動きずらい…そこはジレンマですね。
神庭さん:自動車業界は非常に裾野が広くて、550万人いると言われています。かつて日本のお家芸だった半導体産業が衰退してしまったように、自動車産業まで海外勢にとって取って代わられてしまったら大変なことなので、後から振り返った時に、この5年・10年が大きな岐路になるのかもしれません。もうひとつ重要なのは、日本企業や日本政府がルールメイキングの段階でもっと存在感を発揮すべきだということです。
ユージ:それはどういうことでしょうか?
神庭さん:スポーツでも経済でも、日本が勝ちまくったら、欧米はどんどんルールを変えてハシゴを外してきます。さっきのEUの方針転換の話もそうですが、ルール決めというのは公明正大に見えて、かなり恣意的な部分もあります。「そういうもんだ」「仕方ないよね」ですごすごと引き下がるのではなく、新たに規制ができる段階で「ハイブリッド車でも結果的にCO2減るならいいじゃん」とか「水素はなんでダメなの?」とかガンガンロビイングをかければいいです。EVも別に万能ではなく、生産から廃棄までのライフサイクル全体で温室効果を分析すると、CO2排出量はハイブリッド車と実はあまり変わらないという話もあります。バッテリーの生産過程における環境汚染も問題視されています。日本は「脱炭素にかこつけて非合理なルールを押し付けられてしぶしぶ従う側」になるのではなく、「地球環境をよくして、みんなでwin-winになれるルールを作っていく側」になれると良いのではないかと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 23, 2023
『欧米や中国が積極的な電気自動車への転換、日本のメーカーが消極的な理由』
電気自動車が世界でどんどん普及していて、日本でも多く見かけるようになりました。
とは言え、欧米諸国と比べると日本はいまいち普及が進んでいない印象です。#ワンモ
#ユジコメ②?僕自身、電気自動車を所有していたことがありましたが、まだインフラが整っていないのを実感し手放した経験があります。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 23, 2023
なぜなら、車の充電に8時間ほどかかり、エアコンや音楽を聴くのも電気で賄うため、乗り方によって電費(=電気自動車の燃費)に大きく左右するからです。#ワンモ
#ユジコメ③?さらに、当時は充電スタンドの数がまだまだ少なく困った経験があります。これらの課題が改善されれば電気自動車の普及もどんどん進むと思います。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 23, 2023
ただ、電気自動車は本来CO2削減のために作られたものですが、#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 23, 2023
生産から廃棄までのCO2排出量がガソリン車と比較してもあまり変わらないと言われているので、全体的な観点で見てどちらが良いか考える必要があるのではないでしょうか。いずれにせよ、電気一強ではなくさまざまな選択肢がある中で環境を良くしていくのがベストだと思いました。#ワンモ