23.05.16
政府によるAI戦略会議、議題となるAIの懸念点

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「政府によるAI戦略会議、議題となるAIの懸念点」
吉田:政府は11日、AIの利活用に関するルール作りなどを議論する「AI戦略会議」の初会合を首相官邸で開きました。神庭さん、この戦略会議では、どんなことが話し合われているのでしょうか?
神庭さん:AIの利活用や開発で日本は遅れているのではないか?どこをどうやって強化していくべきなのか?民間企業や教育、公的分野でどのような点に注意しながら利用していくか?といったメリットをどうやって最大化していく前向きな方向の議論がまず1つあります。もう1つは、懸念点やリスクをいかに防ぎ、最小化していくか、という部分です。AI戦略会議に出席した岸田総理は「AIには経済社会を前向きに変えるポテンシャルとリスクがあり、両者に適切に対応していくことが必要です」と発言しました。会議での議論は6月に取りまとめる政府の「骨太の方針」だったり、国際的なルールづくりにも反映されていく見通しです。
吉田:リスク面に関しては、具体的に何が懸念されているのでしょうか?
神庭さん:大きく3つありまして、「1つ目は様々な権利との衝突」です。生成AIはプラットフォーマーと呼ばれる巨大なIT企業が大量のデータをかき集めてAIに学習させることで、飛躍的に性能を向上させてきました。データのなかには、個人情報であったり、組み合わせ次第で個人の内心が類推できるような情報も多く含まれています。最近では、脳内で考えていたことを解読するAIというものまで出てきていまして、脳内の思考って究極のプライバシーですから、AIが学習するデータの対象として、どこまで許容するのか。プライバシーや、自己情報コントロール権との兼ね合いで問題になってきます。
ユージ:やばい。色々変なこと考えているから知られちゃうの怖い!
神庭さん:アートやエンタメの領域だと、コピペではないが、よく似た作風のデザインやキャラクターを労せずして大量生産することができてしまいまして、AIを使って文章や、画像、音楽などを無限に生成して、先に権利を押さえちゃえ、といった抜け道を塞いでおかないと、オリジナルの作者が知的財産権を侵害されたり、逆にパクリ扱いされてしまう、みたいなことが起きかねません。そういったところを整備していく必要があります。ほかにも一部のビッグテックが情報を独占して新規参入が阻害されるようなことがあれば、独占禁止法の観点からも懸念が生じてきます。
吉田:2つ目の懸念点はなんでしょうか?
神庭さん:「フェイク情報拡散の懸念」です。先日、岸田総理とAIに関する若手リーダーとの対話の席が設けられた際、出席したエンジニアの安野貴博さんがボイスチェンジャーを使って、自分の声をリアルタイムで岸田総理の声に変換するデモンストレーションを披露しました。よく似ていて、岸田さんも驚いている様子だったんですが、こういったディープフェイク技術がこれまで以上にリアルに進化していく可能性があります。数年前までは「チープフェイク」といって、見る人が見ればすぐわかるようなチャチなフェイク画像、動画が多かったんですが、ChatGPTの動画版みたいなものが広がっていくと、ちょっとやそっとでは見抜くことができないうえに、真のディープフェイクがネット上に氾濫してしまうリスクがあります。最近も、バイデン大統領が「ウクライナに米軍を派遣する」とスピーチするディープフェイク動画が数百万回再生されるということがあったばかりで、こういうものを放置すれば選挙や国際政治、果ては戦争にまで発展しかねません。フェイク動画や画像をどうやって検知し、規制するかは、大きな課題になってきそうです。
ユージ:これは大問題ですよね。3つ目の懸念点はなんでしょうか?
神庭さん:すばり、雇用への影響です。生成AI、対話型AIは非常に便利で、有望な技術です。だからこそ、それによって省力化されて、人間が必要なくなる分野が出てくるかもしれません。ゴールドマン・サックスが発表したレポートによると、3億人分のフルタイムの仕事が生成AIによって自動化される可能性があります。レポートによると、事務職や法律に関する仕事などホワイトカラー労働者はAIによる自動化の影響が大きく、土木建設や修理、清掃など肉体労働は影響を受けにくいです。ペンシルベニア大学などのレポートでも同様の傾向が示されていて、Forbesによると、年収8万ドル(約1060万円)以下の一部の高学歴ホワイトカラーが、最もAIの影響にさらされやすいということです。とりわけプログラミングや文章執筆などのスキルは、AIによる自動化の影響を受けやすいです。社会全体としては生産性が上がって経済が上向くメリットもありますけど、労働者ごとのミクロで見た時の失業などのリスクについてもしっかり検討し、リスキリングや転職などの筋道をつくっていかないと労働市場が大混乱する恐れがあります。
吉田:懸念点はたくさんありますが、AIの進化についてはどう思われますか?
神庭さん:いろいろと課題や懸念点を挙げましたけれども、非常に可能性のある技術であることは間違いないです。先月末のG7デジタル・技術大臣会合では「責任あるAI」を実現する閣僚宣言を採択されました。その考え方に沿って、法整備や倫理いってほしいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①⁰『政府によるAI戦略会議、議題となるAIの懸念点』について
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 16, 2023
ChatGPTなどのAI技術がどんどん進歩して、利用者も増えてきていると思います。
一方で、AIにどこまで任せて良いのか、その範囲が明確に定められていないという懸念点があります。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 16, 2023
また、AIというのは使えば使うほどデータを学習して精度を高めるものなので、そのデータの中に個人情報が含まれている可能性も懸念されています。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 16, 2023
映画の見過ぎかもしれませんが個人的には、AIに感情をコントロールされる可能性や、AIが感情を持ち出す可能性など、AIに対する恐怖を感じます。
しかしChatGPTによると、AIは人間によってプログラミングされているため、人間のような感情を持つことはないとされているようです。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 16, 2023
まだまだ課題や懸念点はありますが、AIはうまく活用すれば非常に便利なものなので、AIをどのようなポイントで活用するのかという境界線を明確にしなければならないのがこれからのステージなのかなと思いました。#ワンモ