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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.05.15

75歳以上“医療保険料“引き上げ
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「75歳以上“医療保険料“引き上げ」

吉田:先週金曜日、75歳以上の公的医療保険料を2024年度から段階的に上げる健康保険法などの改正案が、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立しました。子どもを産んだ人に給付する「出産育児一時金」の財源にも充当するということですが、改めて、今回の法改正の概要について教えてください。


神庭さん:先月も解説しましたが、改めて変更点を押さえておきたいと思います。75歳以上の後期高齢者の公的な医療保険料を段階的に増やすのが主な内容です。引き上げの対象となるのは年収が153万円を超える人たちで、75歳以上の約4割、約700万人ほどが該当します。


ユージ:対象者は具体的にどれくらい負担が増えるんでしょうか?


神庭さん:2024年度は年収211万円超に対象を絞るが、2025年度に153万円超へ拡大します。保険料には上限があり、現状は66万円ですが、今後2年かけて80万円まで引き上げます。対象者は具体的にどれくらい負担が増えるのか?ということですが、制度変更による引き上げ分にプラスして、高齢化による社会保険料の自然増も加わります。その辺りも加味して、今年度と2年後のビフォーアフターを朝日新聞がまとめているのですが、それによると…年収200万円の人は年8万2100円から9万700円に、年収400万円なら20万5600円から23万1300円に、年収1100万円なら66万円から80万円に増えることになります。


ユージ:75歳以上の約4割が引き上げの対象になるという話でしたが、現役世代への影響はどうなるのでしょうか?


神庭さん:子どもが生まれた時に支給される「出産育児一時金」が4月に42万円から50万円に増額されました。これまでは財源の多くを現役世代が負担してきましたが、一部を後期高齢者医療費から賄えるようにします。高齢化で医療費がパンパンに膨れ上がり、現役世代の負担は非常に厳しいものになってますから、若い世代から高齢者に一方的に仕送りをするという図式ではなく、双方向的に支え合えるようにしましょうという動きの一環です。日経新聞によると、諸々の見直しで現役世代は合計900億円ほど負担が軽減されます。多いなあと思うかもしれませんが、加入者1人あたりに直すと1000円ちょっと。雀の涙のようなものですけど、世代間格差を是正するための小さな一歩とは言えるかもしれません。


吉田:ほかにはどんな影響が考えられますか?


神庭さん:65~74歳の前期高齢者の医療費負担には現役世代の支援金が使われていますが、収入に応じて負担を増やします。具体的には大企業の健康保険組合や公務員の共済組合は負担がさらに増えて、中小企業の社員が加入する協会けんぽは負担が軽くなります。現役世代の間でも、能力に応じた負担、応能負担を強化します。言い方を変えれば、取れるところから取れるだけ取ろう、ということ。せっかく賃上げをしても、健康保険料にどんどん吸い込まれていってしまうとなると、不満の声も出てくるかもしれません。


ユージ:確かに、それはつらいですよね。


神庭さん: 社会保険と税による公費負担の境目が曖昧になっているのも問題です。社会保険というのはあくまでも保険なので、払ったぶんだけ給付を受けるというのが前提。一方で税金は再分配のためのものだから、支払い能力に応じて負担を求め、逆に支払い能力がない人にもしっかり分配するというのが基本です。大和総研執行役員 リサーチ担当の鈴木準さんは、リスクを加入者でシェアする「共助」としての社会保険と、「公助」にあたる税による再分配の境界が曖昧になっているということで、ダイヤモンド・オンラインへの寄稿でこんな風に指摘しています。《負担能力のある受益者にどこまでの自己負担を求めるのか、また応能負担の原則を社会保険にどの程度埋め込むことが妥当なのか、といった基本的な点について国民的な議論を深める必要がある》ということなんです。社会保険が事実上の税のようになりつつあるんですけど、そこの区別はしっかりしてほしいなというところです。


ユージ:今回の見直しについて神庭さんはどう見ていますか?


神庭さん:後期高齢者の医療費は、1割が75歳以上の後期高齢者自身の保険料で、4割が現役世代の支援金。残りの5割を国や自治体からの公費負担で賄っています。1:4:5という負担割合が妥当なのかどうか?ということについては大いに考える余地があるなと思っています。医療費の自己負担の割合は69歳までが3割、70~74歳が2割、75歳以上が3割になるわけですが、健康寿命も長くなっているなかで年齢による区切り、区別についても議論が必要ではないかと思います。何かの制度を考える時は、制度の内側だけでなく外側も目を向けないといけないと思うんです。


ユージ:どういうことでしょうか?


神庭さん:現役世代に多くの負担を求めて、保険料をたくさん払ってもらえば、「内側」の健康保険の財政は改善しますけど、その「外側」で現役世代の収入が減って、経済がますますシュリンクしていきます。個人や企業の所得に対する、税金や社会保障の比率を示す国民負担率は今年度46.8%になるとみられています。これから10年、20年で一体どこまで上がっていくのか政府として見通しを示してほしいです。高齢者と現役世代でパイを奪い合うだけだと不毛ですから、医療費を根本的に減らしていくということを考えていかないといけないと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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