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23.05.09

岸田総理がアフリカ歴訪、グローバルサウスとは?
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【岸田総理がアフリカ歴訪、グローバルサウスとは?】

吉田:岸田総理は5日夜、アフリカ4カ国などの歴訪を終え、政府専用機で羽田空港に到着しました。日本のゴールデンウィークの間に岸田総理は、エジプト、ガーナ、ケニア、モザンビークを訪問しましたが、神庭さん、今回のアフリカ歴訪の狙いは何でしょうか?


神庭さん:岸田さんは、現地での記者会見でアフリカ歴訪にあたって3つのテーマがあったと説明しています。1つは、G7広島サミットを見据えて「グローバルサウス」と呼ばれる国々とG7との橋渡しをすること。2つめがアフリカを「共に成長するパートナー」というふうに位置付けて日本のコミットメントしていくこと。そして3つめがスーダンの安定化に向けた連携を確認することだったんですね。


ユージ:きょうは「グローバルサウス」について掘り下げていきたいんですけど、「グローバルサウス」という言葉、あんまり詳しくないんですけど…これ何でしょうか?


神庭さん:明確な定義はないんですけど、アジアやアフリカの新興国や途上国を総称してそういうふうにいいます。北半球に多い先進国と、南半球に多い途上国の格差を「南北格差」とか「南北問題」といいますけど、その「南側」のサウスに由来しています。ロシアによるウクライナ侵略で、国連が非難決議を採択したときも、アフリカの半分ほどの国が棄権したり、不参加を選んだりしました。グローバルサウスの国々は、食料品とか資源のインフレに苦しんでいるんですけど、その原因をウクライナを侵略したロシアではなくて、制裁をかけた西側が悪いんじゃないの、と考えている節があるんですね。そういった誤解を解きほぐしていくことも、今回の歴訪の狙いのひとつです。


ユージ:日本にいると、どちらかと言えば、世界的な意見は「ロシアに非がある」と思ってしまいがちですけど、そうでもないですね?


神庭さん:ロシアに非があるのは間違いないんですが、安全保障や食料とかお付き合い上、味方せざるをえないというか、中間的な対応を取らざるをえないという国々があります。日本にいるとどうしても「国際社会」っていうものを狭く解釈してしまいがちですけど、実際には大国の狭間で中間的に動いているグローバルサウスがあって、そういう中間的な国々をどうやって自陣営に取り込んでいくか、あるいは適宜協力を得ていくかということが課題になってきています。その点、中国はかなり上手にやっていて「一帯一路」という巨大な経済圏構想を通じて関係国に多額のインフラ投資を行って、グローバルサウスへの影響力をどんどん増しています。一方で「債務の罠」も問題化しているんです。


吉田:「債務の罠」、これは何でしょうか?


神庭さん:インフラ投資という飴玉をぶら下げて、途上国を借金漬けにして、頭が上がらない状態にしてしまうことです。スリランカは中国の投資で港を建設したんですけど、借金を返すことができなくなって、中国側に99年間の港の運営権を渡してしまいました。日経新聞が報じたエイドデータ研究所のデータによると、コンゴ共和国、赤道ギニア、ジブチなどのアフリカ諸国では、中国に対する債務が対GDP比で4割を超えています。中国依存が進んでいるという見方もできますし、もうひとつの見方として、「話が違うよ」となっている国に対して、我々はもっと低利で優れたインフラ投資をしますよ、お助けしますよ、という形で接近するチャンスとも捉えることもできますね。


吉田:そういった思惑を背景にアフリカを歴訪した岸田総理ですが、成果はどうだったんでしょうか?


神庭さん:ウクライナのような「力による一方的な現状変更はダメですよ」という考え方を確認して国際的に連携していくことで一致しました。ガーナでの首脳会談では、地域の安定のために3年間でアフリカにおよそ687億円の支援をすると約束。エジプトには地下鉄整備のために、最大1000億円の円借款を供与することになりました。去年のアフリカ開発会議でも、官民合わせて3年間で300億ドル、実におよそ4兆円規模の資金をアフリカに投入すると表明しています。とにかく気前のいい岸田さん、という感じです。


ユージ:中国を牽制する意味もあるのかもしれませんけど、金額を聞いていると外国にそんなにお金を出して大盤振る舞いすぎる、という意見もあるのではないでしょうか?


神庭さん:途上国には大盤振る舞いなのに、国内向けには少子化対策ひとつするにもケチケチしていて、やれ社会保険料を値上げしようとか、経済界から消費税を上げればいいじゃないかみたいな声まで聞こえてきています。岸田総理は、やってることがケチな上司みたいですよね。経費で落とせる取引先との飲み会は高級料亭をセッティングして湯水のようにお金を使うくせに、社内の飲み会は常にチェーンの安い居酒屋で必ず割り勘…そんなイメージをしちゃいますよね。


ユージ:確かにそうですね。かといって、国際社会にコミットしていくために、支援という形も必要になっていくんですよね。


神庭さん:途上国を取り込んで国際的な影響力を拡大しようとしている中国に対して牽制する意図は理解できるんです。国際社会での日本のプレゼンスを上げることも、サミットの成功も、もちろん重要です。ただ、費用対効果はしっかり考えてほしいです。それには、過去に海外にバラまいてきたお金がどの程度、いまの日本の役立っているかをしっかり検証する必要があると思います。中国に対するODA、政府開発援助は有償資金協力(円借款)が累計でおよそ3兆3165億円、無償資金協力がおよそ1576億円、技術協力がおよそ1858億円という莫大な支援金額を投じて、強大な覇権国家をつくり上げることをある意味手助けしてしまったわけです。覇権国家だとしても親日的だったらまだいいですけど、正反対の結果になっていると。じゃあその中国に対抗するために、今度はグローバルサウスにお金をバラまきましょう、という話になっているわけですけど、中国の時と同じ轍を踏むことがならないですかと。そこはやっぱり疑問ですし、同じミスを繰り替えてしてほしくないな、と強く思いますね。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。




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