23.05.03
画像生成AIに脅かされる権利 法整備は必要か?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学 助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「画像生成AIに脅かされる権利 法整備は必要か?」
吉田:文章で指示するだけで自動的に画像を生み出す“画像生成AI”の不適切な使用によって、クリエイターの創作活動や権利が脅かされているなどとして、イラストレーターや漫画家などで作る団体「クリエイターとAIの未来を考える会」が先週木曜、記者会見を行い、画像生成AIの適切な使用や法整備などを求める提言を発表しました。塚越さん、まずは「画像生成AI」によって、日本のクリエイターの権利が脅かされている現状について、教えてください。
塚越さん:イラストレーターなどのクリエイターは、自分の作品に非常によく似たコピー作品が大量に生成され、無料でネットに公開されています。実際、ある女性のイラストレーターは、自分が作成した人物のイラストをネットに公開した数日後に、ポーズはそのままにその人物の髪の色や服などを改変した作品を発見しました。おそらく生成AIによって画像を取り込んで、再び生成したもので、別の作品として発表されています。権利者に何の連絡もなく、つまり無断でこうした改変が行われるので、クリエイターは怒りや悲しみを抱えるとともに、金銭的にも問題が生じることになります。例えば、限りなくジブリのキャラクターにそっくりで、ジブリっぽい世界観の画像をいくらでも作れてしまうということになります。
吉田:「クリエイターとAIの未来を考える会」の提言は、どのような内容なのでしょうか?
塚越さん:主に3つあります。1つ目は「生成AIを使う場合は著者に連絡をすること」。2つ目は「画像生成AIの画像は、AIを使ったことや元の著作物について、はっきり明示することを義務づけること」。3つ目は「著作権者に一定の著作権料を支払う」といった提言を行いました。
ユージ:「画像生成AI」に関して、海外ではどんな対策をしているんですか?
塚越さん:海外ではアメリカでもEUでも議論が進んでいます。EUでは2019年に、学術目的の場合は著作物の使用を可能にする一方、それ以外の分野では、希望すれば自分が著作権を持っている画像等をAIに学習させることを拒む「オプトアウト」という制度を設けるように指示しています。アメリカでは、著作物に関しては「フェアユース(公正な使用)」と呼ばれる規定があり、その都度、著作権の問題があるかないかを議論します。すでにアメリカのアーティストがAI開発企業を訴えており、訴訟の行方を含めて議論が続いています。
ユージ:一方で、日本では対策が進んでいないということですか?
塚越さん:実は、EUやアメリカと比較しても、日本はAIが著作物を使用することに対して規制がかなり緩いです。日本は2018年に著作権法を改正し、著作権法30条の4というものを定めました。その内容は、AIが画像や文章を権利者に連絡することなく、自由に学習し、営利・非営利を問わず利用できるというものです。つまり、イラストレーターが拒もうとも、現状ではAIがネット上の文章であれ、画像であれ、学習するのは法律的には「合法」です。また、「著作権者の利益を不当に害する場合」は、AIが学習できないという規定はありますが、現状では例外的な事例にしか適応されないです。さらに、先程述べた「オプトアウト」という、著作物をAIに学習させたくない場合に除外させるという規定もないです。つまり、日本ではAIがいくらでもデータを学習できるので、AI企業にとってはデータ天国になっています。「ChatGPT」の開発元のCEOが日本に来たのも、日本であれば、EUやアメリカと比べてもデータを自由に学習させられるから、という意味もあったかもしれないです。日本政府としても遅れている、「IT分野で勝ちたい」という気持ちもあったかもしれないです。また、先日行われたG7のデジタル技術に関する会合でも、日本は欧米に比べると積極的にデータを使うという姿勢がみえました。とはいえ、やはりクリエイターや著作権者にとっては非常に大きな問題であり、社会全体としての議論ももっとあった方が良いと思います。
ユージ:塚越さんは、この問題をどのようにご覧になっていますか?
塚越さん:いろいろな問題はありますが、一応著作権を守る方法もあります。データが学習することは「合法」ですが、今は生成する時に人間が「プロンプト=指示」をして、それが「創作寄与」になります。創作に人間が関わったことで、著作権法で訴えることはできるのでは?という議論もあります。更に問題は、著作権は「似ている」ということで、これが「パクリ」かどうかはそもそもかなり判断が難しいです。生成AIを使用して「パクリ」「オマージュ」「インスピレーション」を受けているかどうか、これって日本では同人の作品、二次創作とかいろいろあり、文化的にも広がっています。これをどう考えていくか、っていうことを何重にも輪をかけて複雑な問題になっていて、難しいところではあるんですけど、皆さん注目して頂きたいと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 3, 2023
「画像生成AIに脅かされる権利 法整備は必要か?」について
法整備は必要だと思います。自分の画像として生成しているけれど、そのソース元が既に誰かの著作物になっている可能性があるためです。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 3, 2023
例えば、過去に流行った有名な音楽を部分的にアレンジして、自分のものとして使用する”サンプリング”という音楽の手法があります。誰かの著作物からヒントを得て、自分のものにしている点が似ているなと感じました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 3, 2023
他の国が進めているから急速に進化させるのではなく、一人一人の著作権をしっかり守るルール作りを慎重に進めていく必要があるなと思いました。#ワンモ