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23.04.25

入管法改正案について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。今日は「BuzzFeed Japan」編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


【入管法改正案について】

吉田:自民、公明、立憲民主、日本維新の会の衆院法務委員会所属議員が21日、入管難民法改正案について協議し、立憲民側が修正を求める項目を提示しました。神庭さん、入管法の改正について、まずはどんな風に変わったのか教えてください。


神庭さん:入管法というのは、外国人の出入国や在留資格、難民認定の手続きについて定めた法律です。現行法では何度でも難民申請を繰り返すことができ、申請中は母国に強制送還されないルールになっています。それを改正法では、「送還逃れ」のための申請が相次いでいるとして、同じ理由での申請を2回までに限定して、3回以上申請した場合は強制送還の対象となりますよ、ということにしようとしています。あとは、3年以上の実刑に処された人やテロリストなどは、難民申請の手続きをしていたとしても退去させることができるようにしましょう、という内容になっています。


吉田:ほかに変わるポイントはどこでしょうか?


神庭さん:いまの法律は「全件収容主義」といって、不法残留や犯罪を犯した外国人は、送還する前にほぼ全員、入管施設に収容するのが原則になっているんですが、これを改めます。新たに監理措置制度を創設して、親族や知人などの監理人が監督することを条件に、逃亡を防ぎながら、入管施設の外で過ごす選択肢を用意します。いったん施設に入った人でも、収容が長期化しないように、3ヶ月ごとに見直しの機会を設け、収容の必要性がないと判断すれば監理措置に移行することが想定されています。


ユージ:以前も似たような改正案が出ていましたよね?


神庭さん:2年前の2021年にも国会に改正案が提出されています。この時はスリランカ人女性のウィシュマさんが名古屋入管の収容中に亡くなる問題などが起きて、野党が反発し、国会審議が紛糾した結果、廃案になったんですね。今回出された法案は当時と比べて多少変わっているものの、骨格は維持されているので、野党や難民の権利保護を訴える人たちが「ほとんど変わってないじゃないか!」と反対しているんです。


ユージ:今回の法改正の狙いはなんでしょうか?


神庭さん:入管施設での長期収容を解消することです。入管施設には難民申請中の人やオーバーステイの人、不法入国した人などが収容されますが、長期間にわたる収容は国際法違反だとして、国連の作業部会からも見直しを求められています。入管の収容施設ではネットなど外部との連絡手段が断たれ、相部屋でプライバシーもありません。運動も1日1時間ほどに制限されていて「刑務所よりもひどい」と語る人もいます。いつ出られるかわからない収容生活で心身を病んでしまって自殺未遂をする人やハンガーストライキをする人も出ているんですね。こういった長期収容の問題を解消するために、平たく言えばどんどん強制送還してしまおう、というのが法改正の狙いかなと思います。


吉田:今回の改正案について、問題とされているところはどこでしょうか?


神庭さん:日本も加盟する難民条約には「ノン・ルフールマンの原則」があります。これは、生命や自由が脅かされる恐れのある難民を、出身国に送還したり、追放してはいけないというルールです。反対派の人たちは、入管法の改正案がこの原則に反していると訴えています。一方で出入国在留管理庁は「保護すべき難民は保護している」というスタンス。退去を拒む外国人は2021年末段階で3224人いて、そのうち1133人に前科があったそうです。また、仮放免(一時的に収容を停止すること)を許可した後に逃亡し、当局から手配される人が年々増加していて、昨年末時点で逃亡者が約1400人になったと、同庁は指摘しています。性悪説の政府当局、性善説の反対派、という感じで双方の意見にかなり隔たりがあると感じますね。


吉田:入管法をめぐる問題について、神庭さんはどう思いますか?


神庭さん:「入口」と「出口」の問題をセットで考える必要があると思います。今回の入管法改正は長期収容をどう避けるかという「出口」の話ですが、より根本的には、そもそもどれくらい難民を受け入れられるのか?という「入口」の議論が避けて通れません。NPOのデータによれば、一昨年の日本の難民認定率は0.7%。6割を超えるイギリス、カナダなど欧米諸国に比べると桁違いに少ないんですね。日本は難民条約には加盟しているけど、できるだけ難民は受け入れたくない、という中途半端な立場にいて、これが難民申請を希望する人たちに過大な期待を抱かせ、ミスマッチを生む結果になっていると思います。


ユージ:理想と実態にズレがあるということですね。


神庭さん:街を歩いていて「休憩室」という看板があったので入ってみたら、「イスは1つだけです。帰ってください」と言われたら、何なの?となりますよね。だったら最初から「立ち入り禁止」と書いておいてよと思うと思うんです。「立ち入り禁止」なのか「すみません、もう少し椅子を増やしますね」なのか、はっきりした方がいいかなと思っています。リベラル・左派の人たちは難民の人権に配慮してガンガン受け入れるべきだと主張して、保守・右派の人たちは、社会との摩擦を懸念して、そう簡単に受け入れるべきでないと考えています。そして、大多数の人たちはそもそも難民問題にほとんど関心がないという状況ですよね。「入り口」の議論を避けたまま、「出口」をいじって小手先で辻褄を合わせようとするから、入管法をめぐる議論も堂々巡りでなかなか着地できないと思いますので、入り口のことも含めてしっかり話し合うことが大事なのではないかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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