23.04.24
中途採用の比率が過去最高に

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。今日は「BuzzFeed Japan」編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
【中途採用の比率が過去最高に】
吉田:日本経済新聞社が先週まとめた採用計画調査によると、2023年度の採用計画に占める中途採用の比率は、過去最高の37.6%となり、2016年度から7年で2倍に上昇しました。
ユージ:転職する人が増えていると聞いていましたが、こんなに中途採用が増えているんですね。日本特有の新卒一括採用や年功序列のシステムがどうなっていくのか気になりますよね。
吉田:神庭さん、なぜ中途採用が増えているんでしょうか?
神庭さん:背景には構造的、慢性的な人手不足があります。帝国データバンクの1月の調査によると、人手不足を感じている企業の割合は正社員で51.7%。5カ月連続で5割を超えています。コロナ禍からの経済再開でインバウンド需要が活発化している、DX化が求められるなかでデジタル人材の需要が増しているといった個別事情ももちろんあるんですが、前提として少子高齢化で生産年齢人口が減っていることが非常に大きいんですね。
吉田:生産年齢人口が減っているとは聞きますが、どれくらい深刻なんでしょうか?
神庭さん:内閣府の高齢社会白書によれば、15~64歳の生産年齢人口は1995年にピークの8700万人に達したんですが、2020年には7500万人まで減ってしまいました。これからさらに2050年には5300万人弱まで激減してしまうと言われています。社会の担い手、働き手となる人たちが今の水準から3割近くも落ち込んでしまうんですね。大量に移民を受け入れるとかなら話は別ですが、摩擦が出てしまうとなかなか難しいですよね。ChatGPTに代表されるようなAIツールだとか、自動運転技術が出てくることによって、少ない人手でもどうにか社会が回っていくという一発逆転シナリオもあり得ないことはないですが、それを脇に置くなら、今後も長期的に人手不足が続いていく可能性が高いですし、中途採用もいま以上に当たり前のものになっていくのではないかなと思います。
ユージ:日本特有の新卒一括採用や年功序列への影響はどうでしょうか?
神庭さん:当然、見直しを迫られることになるのではないかと思います。いまの22歳の人口が126万人。少し前に出生数の80万人割れが話題になりましたが、22年後には22歳の人口が70万人台まで落ち込むということです。これは当たり前の話で、覆せない未来ですから、そうなると新卒だけでは人手を補えないので、いかにして中途採用で補っていくかという話になっていくと思います。
吉田:中途採用が増えることで、なにか懸念されることや課題というのはあるのでしょうか?
神庭さん:中途採用というと「即戦力」とよく言われますが、都合がいい言葉として便利使いされているようにも感じます。即戦力の人材は、いきなり即戦力になったわけではなく、どこかの企業なり団体なりで育てられて、やっと戦力になるまでに成長したわけで、そこの過程をすっ飛ばして、みんなが即戦力を求め出したら、じゃあ誰が育てるの?という話になってしまいますよね。新卒からじっくり時間をかけて、オールラウンドなゼネラリストを育成するというのは、日本型雇用のある意味いい部分でもあったわけですが、そういうやり方が通じなくなってきているとすると、訓練や教育の部分をどう代替していくのかが課題になってくるのかなと思います。
ユージ:企業の側がとれる対策はなにかありますか?
神庭さん:先月も少し話しましたが、退職した元社員をネットワーク化して、戻ってきた時に再度採用する「アルムナイ採用」の仕組みを用意する企業も増えてきました。「リファラル採用」といって、社員の推薦・紹介で入社が決まったら、仲介してくれた社員に10万円とかの報酬を出す会社もあるんですね。ベンチャーなどでは当たり前の制度ですが、最近は大企業にも広がりつつあります。こういう制度を上手に使って、入社後のミスマッチを防ぎながら、優秀な人材を取り込めるといいのではないかなと思います。社外にばかり目を向けていると、見切りをつけた優秀な社員が逆に流出してしまうことにもなりかねません。中途採用市場が活性化しているということは、自社の人材が引き抜かれるリスクもあるわけで、引き留め、リテンション対策はこれまで以上に大事になってくるのではないかと思います。
吉田:社員の側に求められる心構えはありますか?
神庭さん:会社が全部のレールを敷いて、お膳立てをしてくれて…ということではなく、自分のキャリアは自分でつくるというキャリアのオーナーシップを持ってやっていくことが大事なのではないかと思います。よく言われる都市伝説的な話で、転職の面接で「どんな仕事が得意ですか」と聞かれて「部長ができます」「課長ができます」なんて答えたら100%落ちちゃいますから、自分の特技は何で、どんな市場価値がありそうなのか、近々で転職の予定がないとしても、定期的に職務経歴書を書いたりして、客観的にキャリアを見つめ直す機会を持ってみるのもいいのではないかと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 24, 2023
今朝のテーマ「中途採用の比率が過去最高に」
2023年度の採用計画に占める中途採用の比率は
過去最高の37.6%となり、2016年度から7年で2倍に上昇しました。
中途採用自体僕は良いことだと思うのですが、
新入社員が入らなくなることで問題もあります。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 24, 2023
例えば、違う会社で就業経験がある即戦力の人材であっても
それは過去の会社で即戦力になるまで成長したわけで、
中途採用で新しく入った会社では新入社員です。
みんなが即戦力を求め出したら、
新しい会社で即戦力になるまでの過程を教えて育てる人はいなくなってしまいます。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 24, 2023
ただ、やはり経験値があることは1つの武器で、
その武器を新しい会社でどう変えていくか、
それが中途採用のやりがいでもあると僕は思います。
人口が減少するなか新入社員の比率を上げるのは難しいですが、
まずは入った会社に長くいたいと思う環境が生まれることを期待します。#ワンモ