23.04.12
異次元の少子化対策 財源の議論スタート

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の城西大学 助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「異次元の少子化対策 財源の議論スタート」
吉田:異次元の少子化対策の実現に向けて、政府は先週金曜、「こども未来戦略会議」の初めての会合を開き、財源の議論がスタートしました。塚越さん、異次元の少子化対策の財源は「社会保険料を引き上げる案」が有力とみられていますよね?
塚越さん:政府内では年金や医療、介護、雇用といった各種社会保険料の月額料金を上乗せすることで財源とする案が有力視されています。会社員の場合は労使、つまり会社と労働者で保険料を納めるため、労使ともに負担が増えます。また、子どものいない人や子育てを終えた人の負担も、当然のことながら増えます。日本社会全体のことなので、どの程度、国民全体を納得させられるかが問われます。また、財源確保の方法としては他に、消費税の増税と国債の発行があります。政府、与党としては、消費税増税は負担が増えたことを感じやすく反発がありますが、給料から天引きされる社会保険料は負担を感じにくいことから、保険料の引き上げを選んだといった思惑があると日経新聞は伝えています。
吉田:社会保険料を引き上げる案について、「こども未来戦略会議」の会合ではどのような意見が出たのでしょうか?
塚越さん:会議には経済界からの出席者もいますが、健康保険や厚生年金は労使で折半、つまり企業にも負担がかかるので慎重論が出ています。他にも、社会保険は将来のリスクに備えるもので、少子化問題を社会保険で使うのは本来の使いみちとは異なるという指摘もあります。子供は将来の税負担の担い手なので、日本全体の未来を考えれば、国家全体で考えるべき問題とも思えますが、要するに「それは社会保険で対策する問題なのか?」という指摘です。さらに、社会保険料は現役世代に負担が偏っているという指摘や、企業としても負担が増えれば賃上げに響くので、それなら全員平等の消費税を検討すべき、という指摘もあります。これだけでも課題がたくさんあることが分かりますが、さらに保険料の引き上げだけでは負担を賄えないという問題もあります。上乗せ額が月額数百円として計算すると、増える財源は1兆円程度です。政府が先月に出した、たたき台の中の支給対象年齢引き上げといった児童手当の拡充策だけでも、必要経費は年2兆5000億円を超える可能性もあり、すべての施策を実行するなら最大で8兆円が必要という指摘もあります。全部を社会保険料にすると相当な負担なので、これをどう調整するかも課題になります。
ユージ:消費税の増税や国債の発行で、財源を賄う可能性はあるのでしょうか?
塚越さん:総理は、消費税は「10年程度は上げるとは考えない」と否定しています。この他の財源の候補としては「国債の新規発行」があり、与党内には国債の活用を求める声もありますが、鈴木財務大臣は「負担の先送りだ」と慎重です。すでに10年前にアベノミクスを打ち出したこともあり、日本の国債発行残高が一気に増えており、先進国の中でもとりわけ多いです。なので、これ以上増やすのは厳しいということです。国債発行は打ち出の小槌ではないので。こう考えると、社会保険料の上乗せ案は、他が難しいから「消去法」で残ったと、朝日新聞は伝えています。
ユージ:異次元の少子化対策の財源。塚越さんは、どのような方法で賄えばよいと思われますか?
塚越さん:「社会保険料か消費税増税か」という議論は、まだまだ様々な観点から詰める必要のある問題です。少子化は国家の一大事なので対策は必要ですが、要するに政府にとっては「いかに反発が少ないか」の議論をしているように見えます。財源を確保するなら、社会保険だけでなく、消費税増税等もセットで上げていく方がバランスが取れるので、少子化対策を本気で考えるなら増税も含めて、国民を納得させる方が国民としても問題を直視できます。ただし、社会保険と増税のセットだと様々なルール変更が生じることで、さらなる手間がかかるというデメリットもあります。どこまでバランスよく財源を確保できるかが問われています。一方で、税や社会保険料等の国民負担率が5割近くになっている日本で、これ以上の上乗せはいずれ限界が来ます。でも、子供は将来の税の担い手なので、子どもが減るとさらに国民負担が増えるというジレンマもあります。難しい問題なのでどうしていくのか。産業構造全般を変えて、生産性を高くする課題もありますが、今のところ財源を引っ張ってこようとすると、このあたりのジレンマを抱えながら、どう調整していくのか本当に難しい課題ですが、我々全員で考えていかないといけないと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 12, 2023
『異次元の少子化対策、財源の議論スタート』について
個人的には財源も重要ですが、その目的である少子化対策が一番重要です。異次元という言葉を使う以上は、本当に異次元であるべきだと考えます。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 12, 2023
例えば、「子供1人生まれるたびに100万円渡します」というのは聞こえは良いですが、正直100万円で子供は育てられません。真剣に考えて、1000万クラスの補助があってもいいと僕は思っています。 これは異次元と呼んで良い金額だと思います。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 12, 2023
他にも、18歳まで子供を育てるのに、国が全て負担するなど、そういうレベルの異次元を考える必要があり、そこまで考えてくれるのであれば、財源の確保も納得いく方が多くなると思います。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 12, 2023
子供たちの命が、将来の経済を動かしていくため、そこに向けた投資が必要になってきます。財源も重要ですが、異次元の少子化対策の中身を納得させることから始めていくことが大切だと思います。#ワンモ