23.04.11
神宮外苑の再開発をめぐる議論

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。今日は「BuzzFeed Japan」編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
【神宮外苑の再開発をめぐる議論】
吉田:永岡文部科学大臣は5日、衆議院文科委員会で、イチョウ並木への悪影響が指摘されている東京・明治神宮外苑の再開発について、「見直しを求める考えはない」との認識を示しました。神庭さん、「明治神宮外苑」と聞いて、パッとイメージできない方もいらっしゃるかもしれません。外苑について教えてください。
神庭さん:明治神宮外苑は、明治天皇と昭憲皇太后の功績をたたえて、1926年に完成しました。内苑が国費でつくられたのに対し、外苑は渋沢栄一らが中心となって民間から寄付を募って造営されました。日本大百科全書(ニッポニカ)によると、東京都港区の北西端から新宿区、渋谷区にまたがる緑地で、面積は約30万平方メートルにもなります。国立競技場、神宮球場、秩父宮ラグビー場、東京体育館などのスポーツ施設や、日本青年館、明治記念館といった文化施設が集結しています。イチョウ並木が有名で、ニッポニカには「東京におけるもっとも美しい街路樹の一つ」と記載されています。
ユージ:神宮外苑が再開発をめぐって揺れているわけですが、具体的には外苑のどこを再開発するのでしょうか?
神庭さん:まず、どこがやっている事業かというと、三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の4者が事業主体となるプロジェクトです。老朽化した神宮球場や秩父宮ラグビー場の場所を変えて建て替え、野球場にはホテルが併設されるということです。ほかにも、40階建185メートルのビルや、38階建190メートルのビルが建設されるなど、かなり大規模な計画なんですね。東京都は2月に再開発計画を認可し、3月下旬からは神宮第2球場の解体工事が始まっています。再開発が完了するのは2036年ごろになる見通しで、総事業費はおよそ3490億円という巨額が見込まれています。
ユージ:反対の声も聞こえてくるんですが、その方々は何を心配されているのでしょうか?
神庭さん:反対派のオンライン署名運動が広がっていて、昨日までの段階で17万8000人集まっているんですけれども、こんな問題点が指摘されています。
①1000本近い樹木が伐採される
②「世界に誇れるスポーツクラスター」を目的に掲げておきながら、軟式野球場、ゴルフ練習所、フットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる施設が廃止されるのは矛盾している
③都知事は「象徴的なイチョウ並木は保全する」と強調しているが、建設される巨大な野球場はイチョウ並木ギリギリまで迫り、根を傷つけると危惧されている
反対派の人たちは、こういった点を問題視しているということです。
ユージ:先日亡くなった坂本龍一さんも、計画に反対されていましたよね。
神庭さん:亡くなる1ヶ月ほど前に、小池百合子都知事宛に手紙を送っていました。朝日新聞によると、こんな風に書かれていたそうです。
《率直に言って、目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません。これらの樹々はどんな人にも恩恵をもたらしますが、開発によって恩恵を得るのは一握りの富裕層にしか過ぎません。この樹々は一度失ったら二度と取り戻すことができない自然です》
これに対して、小池都知事は記者会見で、《ぜひ事業者である明治神宮にも手紙を送られた方がいいんじゃないでしょうか。事業者からは、次の100年に向けて献木による植樹なども行うということで、緑の量を増やすというふうに聞いております》…このように反論したんですね。
坂本さんは、同じ手紙を永岡文部科学大臣にも送っていたそうです。それに対する返事は、先ほどのように計画見直しの考えはないという話だったということです。
吉田:この神宮外苑の再開発をめぐる議論、神庭さんはどう見ていますか?
神庭さん:今泉宜子さんの『明治神宮―「伝統」を創った大プロジェクト―』という本によると、明治神宮の造営にあたって、「献木」といって民間から樹木を献上する動きがあり、献木の総数は10万本にも達したそうなんです。これは主に内苑の話かなと思うんですが、神宮外苑の公式サイトにも、寄付金だけでなく全国からの献木があったと書かれています。それだけ明治天皇や、昭憲皇太后が当時の国民から慕われていた証だと思いますし、木の一本一本にも思いが込められているわけです。神宮外苑の再開発をめぐるネット上の議論を見ていると、リベラル左派の人たちを中心に反対論が盛り上がっていますが、それ以外の多くの人たちからすると「よくわからないけど、何だかモメているね」みたいな感じで、ちょっと引いてしまう部分があります。別に保守派、民族派の人たちが「神宮外苑の木々を守れ」と声をあげてもいいし、リベラル派の人たちが「いや、スポーツ振興のためにも再開発は必要じゃないの?」と訴えてもいいと思うんですね。イデオロギーや党派性にとらわれるのではなく自由で柔軟に議論していくことが大事だと思います。「一本たりとも木を切るな」というのも「何本切り倒したっていいだろ」も両極端なので、中間のちょうどいい落とし所が見つかるといいなと思いますし、100年前の人たちが私たちに素晴らしい遺産を残してくれたように、私たちも100年後の人たちに恥じない、誇れるような決着がつくことを期待したいと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 11, 2023
『神宮外苑の再開発をめぐる議論』
僕自身、家族やプライベートで神宮外苑に訪れる機会が頻繁にあります。
その中でもよく利用していたゴルフ練習場が閉鎖されてしまった時、再開発の動きが進んでいるんだと痛感しました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 11, 2023
イチョウ並木が歴史的に貴重であるのも分かるのですが、再開発によって神宮外苑という場所が全くの別物になるわけではありません。現在はスポーツ施設が多いことで親しまれており、その辺を強化していくという意味では前向きな開発として捉えても良いのではないでしょうか。#ワンモ
#ユジコメ③?もしもイチョウの木が伐採されたとしても、100年前の人たちが僕らに残してくれたように、僕らも100年後の人たちに誇れるようなものを作れれば良いなと思います。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 11, 2023
寂しい気持ちもありますが、良くなることもきっとあると思うので今回の再開発はプラスにとらえています。#ワンモ