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23.04.04

改正労働基準法が施行、働き方はどう変わるのか?
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。今日は「BuzzFeed Japan」編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


【改正労働基準法が施行、働き方はどう変わるのか?】

吉田:4月1日から、改正労働基準法が施行され、中小企業の労働者の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられました。神庭さん、どんな風に制度が変わったのか、教えて下さい。


神庭さん:労働基準法で、1日8時間を超える部分は、時間外労働といわれているんですが、その際に企業側が労働者に支払う割増賃金は、大企業の場合60時間以下の部分が25%。60時間を超える部分は50%になっています。大企業は2010年からそういうルールでやってきましたが、中小企業は「人繰りも資金繰りも大変でしょう」ということで、60時間超でも25%でいいですよと適用が免除されてきたんです。ところが、その猶予期間が終わって、今月からは中小企業であっても60時間を超えた部分は50%の割増賃金を払ってね、と変わったということです。


ユージ:中小企業にも適用する狙いは何でしょうか?


神庭さん:過労死の温床になるような慢性的な長時間労働を減らして、ホワイトな労働環境を作っていくことです。日本企業の99.7%が中小企業で、従業員数ベースで見ても、7割弱が中小企業に勤めています。国をあげて働き方改革をやっていかなければいけない時に(※ただし、中小企業を除く)みたいなやり方をいつまでも続けていては、絵に描いた餅で終わってしまいますよね。欧米だと割増の残業手当は50%ほどが一般的です。それに比べると、これまで中小企業で許されてきた25%という数字はだいぶ低いです。それだと、経営者としては「追加でもう1人雇うより、たくさん残業させた方が安上がりだな」という考え方になり、ブラックな環境が温存されてしまいます。今回の割増賃金アップは、会社側、経営者側に発想の転換を迫るものだと言えると思います。


吉田:一方で、企業側から見ると、負担が大きくなるように見えるんですが、いかがでしょうか。


神庭さん:それは間違いないです。50%というのはあくまでも時間外労働に関する割増率であって、夜10時から明け方5時の深夜労働に関してはさらに割増が25%つくので、合計75%にもなります。カツカツの自転車操業で物価高や人手不足に悩まされているような企業からするとかなりしんどいと思いますが、やるしかないんですね。法改正に対応する形で、就業規則を変更しないといけないケースもあります。厚労省がモデルとなる就業規則を公開しているので、担当者の方、経営者の方は参考にしてみていただけたらなと思います。


ユージ:実際問題、中小企業は対応できるんでしょうか?


神庭さん:そこは最大の課題です。どうしても難しい場合、割増賃金の代わりに有給休暇(代替休暇)を付与するという手段もあります。ただ、その場合も労使で協定を結ぶ必要があって、そもそも、人手が足りなくて残業時間が60時間を超えているわけなので、有給にしたとしてちゃんと消化できるのかという疑問は残ります。繁忙期の月がめちゃくちゃに忙しくて、その山を越えて来月、再来月には閑散期になる、少し暇になるといったシチュエーションなら代替休暇で対応するというのも一つの選択肢かなと思います。あとは、「働き方改革推進支援助成金」という労働時間の削減に取り組む中小企業への助成金や、生産性アップのために設備投資をして、社内の最低賃金を引き上げた企業に助成金という仕組みもありますから、こういった制度も積極的に活用していただけたらなと思います。


吉田:私たち労働者の側が押さえておくべきポイントは何でしょうか?


神庭さん:「やったー、残業代上がるぜ!」「もっと残業時間増やしちゃおう」みたいなマインドだと今後はどんどんキツくなりますし、労基法の趣旨にも反します。大事なのはいかに効率良く、心身ともに健やかな状態で働くかということだと思います。心配なのは、企業側が「どうせ無理に決まってるから…」と隠蔽工作に走ったり、従業員にウソの勤怠記録をつけさせたりするようなことが起きないかということです。なんだか怪しいな?という動きがある時は、労働者の側でも自己防衛としてどこかに正確な労働時間を控えておくといいと思います。あとで退職して未払いの残業代を請求する際に、そういった記録が長時間労働の証拠としてモノを言うんですね。スマホの位置情報やメールの履歴などが役立つこともあります。会社に未払い残業代の支払いを求める場合の請求書のひな型、テンプレートもネット上にたくさん転がっているので、ぜひ参考にしていただけたらなと思います。


ユージ:この中小企業の残業代引き上げ、神庭さんはどう思いますか?


神庭さん:いろいろ課題を挙げましたが、企業側にとっても悪い話ばかりでもないです。業務を効率化してムダな仕事を見直して、生産性を高めるチャンスでもあると思います。DXを加速させ、選択と集中を進めていく前向きな機会として捉えてもらえたらと思います。労働者の側も、もし上司から「残業前に1回タイムカード切っちゃって」とか「実際の通りに勤怠つけてるんじゃねえ!」みたいことを言われたら、即労基署に通報するか、そんなブラック企業は見限ってどんどん転職した方がいいと思います。そういうブラック企業が淘汰されて、生産性、収益性の高い企業へ人が移動することで産業界の新陳代謝が進み、マクロで見た時の日本経済全体の成長にもつながるのではないかなと思います。


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