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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.02.14

公正取引委員会が指摘したAppleとGoogleの「寡占状態」
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【公正取引委員会が指摘したAppleとGoogleの「寡占状態」】

吉田:公正取引委員会が9日、スマートフォンのOS市場の実態調査の報告書を公表し、AppleとGoogleの寡占状況に懸念を表明しました。神庭さん、公正取引委員会が指摘した「寡占」というのはどういうことでしょうか?


神庭さん:僕たちがスマホでアプリを使う時にどこからダウンロードするかというと、Apple / iPhoneのApp Storeか、Google / AndroidのGoogle Playストアのどちらかであることが多いと思います。事実上の2択ということになっていますよね。日本でのApp Storeの売上は1兆5900億円、Google Playは1兆400億円にもなります。iPhoneユーザーはiOSだとほかのアプリストアは使えませんし、AndroidユーザーもほとんどがGoogle Playを使っています。公取委はこうした状態が「寡占」にあたり、十分な競争が働いていないと指摘しました。「独占」が1社で市場を支配している状態で、「寡占」というのは2社とか3社とか少数の会社で牛耳っている状態のことを言います。


ユージ:なるほど。ただ、やっぱり便利だから結果的にそうなっているわけですよね。どこに問題があると公正取引委員会はみているのでしょうか。


神庭さん:おっしゃる通り、便利ですし、僕もアプリストアを使っています。ただ一般論として、ほかに代わりがきかないくらいまで巨大な存在になると、どんな企業でも調子に乗っちゃうということなんです。競争相手がいないからとどんどん商品を値上げしたり、お金や規模にモノをいわせて新規参入を妨害したり。そうすると、めぐりめぐって消費者が損害を被ります。イノベーションによって企業が成長するのはいいことですが、1社が大きくなりすぎて逆にイノベーションが阻害されてしまうと本末転倒。なので各国、独占禁止法を設けていて、独占や寡占による弊害を防ぐために、当局が適切に規制をしています。


吉田:公正取引委員会は今回、具体的にどんな問題を指摘したのでしょうか?


神庭さん:アプリストアが人気になって規模が大きくなると、「間接ネットワーク効果」といって、惹きつけられるようにして、利用者もアプリもどんどん増えていきます。加えて、あるサービスや商品を使い慣れた人は、面倒だしお金がかかるしで、わざわざ他のサービスに乗り換えようとしなくなるんです。これを「ロックイン効果」と言います。仮にiPhoneが5~10%値上がりしても、別のOSのスマホに乗り換えると言う人は3.4%しかいません。Androidでも5.8%に留まっています。消費者が「便利だし、まいっか」と今のサービスにロックインされることで競争が働かなくなり、商品やサービスが高止まりしてしまう恐れがあるんです。


ユージ:それは確かにそうですね。


神庭さん:「高止まり」でいうとアプリストアの手数料率も問題です。たとえばApp Storeでアプリを販売する場合、事業者はAppleに30%の手数料を払う必要があります(小規模事業者の場合は15%)。これは「Apple税」と呼ばれていて、つい最近もTwitter Blueのアプリが、ウェブサイト経由だと980円で安く契約できるのに、iOS経由だと1380円になってしまうことが話題になりました。YouTube Premiumも通常1180円ですが、iOSからだと1550円になってしまうのでご注意いただきたいと思います。


吉田:海外でも規制の動きはあるのでしょうか?


神庭さん:Apple税に関しては、人気ゲーム『フォートナイト』を販売しているエピックゲームズとの争いが記憶に新しいです。2021年にアメリカの連邦地裁で出た判決では、「App Storeは独占禁止法違反ではない」と認めて、エピック側の主張の多くを退けたものの、外部での課金を禁じたAppleのルールが「反競争的」だとして改善を命じました。また、ブルームバーグの報道によれば、EU圏内では、新たに施行されるデジタル市場法に対応するため、AppleがApp Store以外のアプリストアからアプリをダウンロードできるようにする準備を進めているということです。ヨーロッパ限定の動きとはいえ、Apple税が今後、回避できるようになるかもしれないということだと影響は大きいですよね。ターゲットはAppleだけではなくて、つい最近も、アメリカの司法省がGoogleが反トラスト法(日本でいうところの独禁法)に違反しているとして、ネット広告事業の分割を求めて提訴しました。ITプラットフォーマーへの包囲網は確実に狭まってきていると思います。


ユージ:今後はどういった対応が求められるのでしょうか?


神庭さん:イコールフッティングといって、競争条件を平等、公平にすることが大切なんですね。たとえば、プラットフォーマーが検索結果とかランキング、おすすめ表示などで、サードパーティーアプリに比べて自社サービスを優遇したりしたら大問題になってしまいまる。他社アプリの非公開データを流用して、プラットフォーマーが自社アプリを開発する、なんていうのももちろんNGです。公取委はGoogleやAppleに対して、こうした自社優遇行為をせず、イコールフッティングを確保するように求めています。さらに、自主規制だけでは実効性が伴わない可能性もあるので、必要に応じて法整備を進めることが有効だと指摘しています。ネットは「ウィナー・テイクス・オール」、勝者総取りの世界なんですです。進化のスピードも日進月歩で、規制が追いつけていない部分も多いです。海外の規制当局とも連携しながら、スピード感をもって法整備を進めていくことが大切ではないかと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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