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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.02.07

キラキラネームがつけられなくなる?戸籍法改正
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【キラキラネームがつけられなくなる?戸籍法改正】

吉田:法務大臣の諮問機関、法制審議会の戸籍法部会が2日、戸籍の氏名に「読みがな」を付ける法改正の要綱案をまとめました。神庭さん、まず今回の戸籍法改正、どのような中身なのかを教えて下さい。


神庭さん:「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」という規定が設けられることになりました。度が過ぎたキラキラネームはNGということですね。また、戸籍にカタカナの読み仮名を入れることも要綱案に盛り込まれました。今までも出生届には読み仮名を書く欄がありましたが、戸籍の方には、これまで読み仮名がなかったんです。今後、行政のデジタル化を進めるにあたって、戸籍にも読み仮名があった方が個人のデータを検索・特定しやすいので、見直すことになったという経緯です。


吉田:俗にキラキラネームと言ったりしますが、どういう例が挙げられているんですか?


神庭さん:毎日新聞は法務省への取材に基づいて、次のような具体例を挙げています。
・反社会的、差別的、淫らで、名前にふさわしくない、著しく不快な読み方
・漢字の意味と反対の読み方 例:高<ひくし>
・別人と誤解される読み方 例:鈴木<さとう>
・漢字の意味や読み方から連想できない読み方 例:太郎<まいける>
・読み違いかはっきりしない読み方 例:太郎<じろう>


ユージ:紛らわしいものや不快なものはダメってわけですね。


神庭さん:そういうことらしいです。ちなみに、昨年5月段階での法制審議会の中間試案を紹介した時事通信の記事には、《法務省の担当者によると、「海」を「マリン」、「光宙」を「ピカチュウ」と読むことは認められる可能性が高い》と書いてあったんです。マリンはともかく、ピカチュウもOKなの? と当時読んでビックリした記憶があります。ピカチュウは反社会的でも淫らでもないですし、みんなから愛される存在。読み方と漢字の意味も何となく一致しているんですが、これでピカチュウでもOKとなると、キラキラネーム規制の意味がなくなってしまいますよね。そういったことも踏まえてなのか分かりませんが、今回の最終の要綱案では、「人の名前として違和感のあるキャラクターの名前」はNGということになりました。なので、ピカチュウは認められない可能性があるのではないかと思います。先ほどのマリンもそうですし、騎士と書いて「ナイト」と読ませる場合などは、漢字の意味からある程度連想できるので、認められる可能性が高そうです。


ユージ:キラキラネームは増えたと言われますが、なぜなんでしょうか?


神庭さん:キラキラネーム自体は、実は日本古来のもの。伊東ひとみさんの『キラキラネームの大研究』という本には、「日本語そのものが無理読みという宿命を背負っている」と書かれています。やまとことばを記録する際に、中国から輸入した漢字を当てたことで、漢字を様々な音訓で読むという複雑な使い方が生まれたということです。鎌倉時代の兼好法師も徒然草で「人の名前に見慣れない文字を使うなんて意味ないよ、珍しいことを求めて異説を好むのは学問の浅い人がやることだ」とディスっているんです。つまり、キラキラネームも、キラキラネーム批判もずっと昔からあったということです。2000年代以降は、ネット掲示板などで「ごく一部の奇妙な例」として批判的に話題にされてきたんですが、ところが最近は一部にとどまらず、名付け本や名付けサイトを通じて、意味より「響き」を重視して個性的な名前をつける人が増えているということなんです。


吉田:ネットニュースでたまに、海外でも子どもにユニークな名前を付けたということが話題になりますよね。海外にもこういった例があるんですか?


神庭さん:町山智浩さんの『アメリカ人もキラキラ☆ネームがお好き』という2016年の本によると、貧困層の女性が子どもに「救世主」を意味する「メサイア」という名前をつけたところ、生活保護の申請を拒否されたケースがあったそうです。この本では、アメリカでは名前が短いほど高所得になるという興味深いデータも紹介されています。本当かなという感じですが、「John」「Ann」など、3~4文字の名前の人が最も収入が多く、1文字増えるごとに3600ドルずつ年収が下がっていくというデータがあるそうです。


吉田:神庭さんはキラキラネームについてどう思いますか?


神庭さん:大前提として、名付けは自由であるべきだし、親が夢や理想をこめて名前に工夫を凝らすことを否定はしません。あくまでも程度問題で、90年代に自分の子どもに「悪魔」と命名した「悪魔ちゃん騒動」がありましたが、名付けも度が過ぎると虐待になってしまいます。僕自身、「神庭(かんば)」というキラキラ苗字なので、正直、偉そうなことは言えませんが、古い人間なので兼好法師と同じ立場です。キラキラネームよりも、誰でも読める古風なシワシワネームの方が好きだなと個人的には思います。最近も「王子様」と名付けられた男性が改名したケースが話題になりました。いま目の前にいるキラキラかわいい赤ちゃんの姿で一生過ごすわけではないので、60歳、70歳でも恥ずかしくない名前にしておいた方がいいですし、子どもの一生を左右する可能性があるということを念頭に置いて、慎重に名付けをしてほしいなと思います。「響き」重視に偏りすぎて、変な意味の漢字を使っていないかも注意していただきたいです。15歳以上であれば裁判所に申請して改名することができるので、変な名前をつけられて辛い思いをしている人は検討していただけたらいいのかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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