23.02.06
人口の東京一極集中、再加速

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【人口の東京一極集中、再加速】
吉田:総務省が先週公表した2022年の人口移動報告によると、東京都の転入超過数が3万8023人となり、新型コロナウイルス禍で過去最少だった21年の5433人から3万人以上増えました。増加は3年ぶりで、再び一極集中の傾向が強まったということですが、神庭さんいかがですか?
神庭さん:コロナでリモートワークなどが増えると、地価や家賃の高い都心から郊外・地方へどんどん人が流出していくのでは?という見方もありましたが、結果から見ると、一過性の流れに終わって定着しなかったということなんです。日本生産性本部の調査によると、テレワーク実施率は17.2%。最も高かった2020年5月が31.5%だったので、大きく減らしていることになります。行動制限がなくなり、コロナに関する警戒心が薄れたことでリアル出社の頻度も上がっていますから、そうなるとやはり地方や郊外よりも東京が便利だね、という話になってきているのかなと思います。
ユージ:逆に減っているエリアはあるんですか?
神庭さん:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉、大阪、福岡など11都府県は「転入超過」で人が増えています。人が流出する「転出超過」の方に目を向けると、広島県が9207人で最も多く、愛知県(7910人)、福島県(6733人)と続きます。36道府県が転出超過となっているんですね。都市圏別に見ると東京圏は9万9519人の転入超過。前年に比べて1万7820人増えています。一方で名古屋圏は1万3700人あまりの転出超過になっていて、大阪圏も3600人あまりの転出超過。ともに10年連続の転出超過となっています。
吉田:地方から人が減っている理由はどういったことなんでしょうか?
神庭さん:一番は仕事がないからですね。若い人が大学進学などを機に上京し、そのまま東京の企業に就職してしまう。国土交通省が東京一極集中の背景を分析したレポートによると、かつては地方の製造業が雇用の受け皿となり、大都市圏への人口流出を抑制してきたんですが、海外での現地生産の比率が高まり、雇用を吸収する力が弱まっているということなんです。必然的に、ITや金融も含めたサービス業が集積されている東京への流入が加速していく構図があるわけです。地方の大都市は東京への流出を防ぐ「ダム機能」があると言われてきていたんですが、最近ではそのダム機能が弱まってきています。たとえば名古屋では、昨年初めての転出超過に陥ったんですが、名古屋といえば自動車産業、製造業が強いですが、日経新聞によると、大学進学や就職を機に東京圏へ移る若年層が多く、特に女性の流出が懸念されているということなんです。
ユージ:どんな対策をしたらいいんでしょうか?
神庭さん:地域発で新たな産業を生み出せれば理想的ですが、なかなか難しいので、よそから企業を誘致するということが行われているんです。福岡市はその辺りを非常に上手にやっていて、9年連続で50社以上を誘致しています。しかもただ数を増やせばいい、ではなくIT系・クリエイティブ系など成長産業を数多く呼び込むことに成功しています。LINEやメルカリも拠点を構えています。ほかの自治体ですと、パソナグループを淡路島に誘致した兵庫県淡路市のケースなども話題になりました。もう一つ、若い人や子育て世帯が「住みたい」と思える街づくりを進めることも、ひとつの有効な手段だと思います。千葉県の流山市は『母になるなら、流山市。父になるなら、流山市。』というキャッチフレーズを打ち出し、6年連続で人口増加率全国1位を実現しました。子育て支援に力を入れる兵庫県明石市も、9年連続で人口を増やしています。
ユージ:この東京一極集中、神庭さんはどう思いますか?
神庭さん:「東京一極集中」という言葉自体に、良くないこととして批判するようなマイナスな響きを感じるんですが、仕事のあるところ、お金のあるところに人が移動すること自体は当たり前で、咎め立てするようなことではないんですね。大事なのは地方に産業を生み出し、育てていくことで、補助金頼みで地方にお金をばら撒いて、いらない箱物を作ったり、良くわからないモニュメントを立てたりすることではありません。政府は、東京から地方へ移住する世帯への支援金を増額する方針で、子どもが2人いる4人家族なら最大300万円もらえるということですが、目の前にニンジンをぶら下げて無理やり引越しをさせても、その土地に働き口がなければ、いずれ離れてしまいます。もともと移住やリモートワークを検討していた人が支援をおいしく活用するだけで終わってしまいます。そんなふうにピントのズレた対策が多いんですね。地方の大学が定員割れしているから、東京に学生が流れないように、都内の大学の定員を厳格化しようという政策もその一つ。人が集まらない大学は本来、淘汰されるのが自然なのに、延命のために不自然なドーピングをしてしまっています。「東京一極集中でずるい。東京の足を引っ張ってやろう」という発想ではなくて、それだと国全体が沈んでしまいますから、東京に負けない魅力を地方が発信していくことが重要です。本来の意味での地方創生を進めてほしいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 6, 2023
テーマは「人口の東京一極集中、再加速」について
総務省が先週公表した2022年の人口移動報告によると、
東京都の転入超過数が3万を超えました。
これは新型コロナウイルス禍で過去最少だった
2021年の5433人から3万人以上も増えています。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 6, 2023
逆に、僕も毎週通っている名古屋などは
人が流出する「転出超過」です。
リモートワークなどで都市部を離れた人が多くいたなかで
再び東京への「転入超過」が増えるということは、
やはり利便性などの理由が、住む場所として選ばれるのだと改めて思いました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 6, 2023
しかしそれで各地の過疎化が進んでしまうのもよくありません。
たくさんある地方の魅力も、
それを観光的なものだけで終わらせてしまうのではなく、
自治体、育児、娯楽など…それぞれのメリットを
“住みたいと思える魅力”として、今後もっと発信していく必要があるでしょう。#ワンモ