22.12.26
神庭さんが選ぶ重大ニュース

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
【神庭さんが選ぶ重大ニュース】
吉田:今週は今年最後の週ということで、神庭さんと一緒に今年の重大ニュースを振り返ります。まずは今年を振り返って、神庭さんいかがですか?
神庭さん:世界や日本を揺るがすニュース、のちのち教科書に載るようなニュースが多発した1年だったと思います。早速ですが重大ニュースの1つ目は、ロシアのウクライナ侵攻です。ロシアは2月24日、「特別軍事作戦」と銘打ってウクライナに対する侵略戦争に踏み切りました。2月20日に北京五輪が閉幕してすぐ、3月のパラリンピックが始まる前のタイミング。オリンピックの休戦決議を破っての侵攻でした。
ユージ:事前に、侵攻するかもという報道もありましたが、まさか、本当に侵攻するとは思っていませんでしたよね…。
神庭さん:改めて、なぜロシアはウクライナに侵攻したのかということなんですが、歴史を振り返ると、冷戦時代、ウクライナとロシアはソビエト連邦という同じ国だったんですね。そのソ連が1991年に崩壊し、ウクライナが独立しました。2014年にはウクライナの親ロシア派政権が市民のデモで倒れ、アメリカやヨーロッパに近づく路線に切り替えたんです。一方のプーチン政権は「ウクライナはロシアの弟分。欧米に接近するのは裏切りだ」という勝手な思いを募らせ、この年にクリミア半島を一方的に併合してしまいました。
吉田:2014年の段階ですでに紛争になっていたんですね。
神庭さん:そうなんです。プーチン大統領の視点からから見ると、NATO(北大西洋条約機構)に対する警戒感も大きかったんです。冷戦期に西側の資本主義国はNATO、東側の社会主義国はWTO(ワルシャワ条約機構)という軍事同盟をつくったんですが、WTOは冷戦終結とともに解散しました。一方のNATOは冷戦後も拡大を続け、ポーランドやバルト三国、ルーマニアなど中東欧諸国が次々に加盟。ウクライナ侵攻前の段階で加盟国は30カ国に達していました。さらにウクライナがここに加わるかもしれない…というのはプーチン大統領からすると脅威に映りました。自国と隣り合う国は、できれば同盟国、それが無理でも中立国にしておきたいという思惑があったわけですね。
ユージ:そういう背景があったんですね。
神庭さん:もちろん、これはロシア側の勝手な理屈にすぎません。ウクライナには主権があるわけで、実力行使で考えを変えさせようとするのは大きな間違いです。結果として、ロシアを刺激しないように伝統的に中立政策をとってきたスウェーデンとフィンランドの北欧2カ国まで、新たにNATOに加盟することを表明しました。プーチン大統領の意図とはまったく逆の、皮肉な結果になったわけです。北風と太陽のたとえで言えば、強い北風を吹かせたロシアに対して、周辺国がNATOというコートを羽織ることを選んだかたちになりました。戦争は長期化し、ロシア、ウクライナ両軍の死傷者数はあわせて20万人にもなるとBBCが報じています。民間人にも甚大な被害を受けており、ウクライナ国外への避難を余儀なくされた人は1400万人以上。国内避難民も600万人以上と推計されています。
ユージ:いつ終わるのかということも気になります。来年も引き続き、注目しないといけないニュースだと思います。
吉田:では、神庭さんが選んだ次の重大ニュースはなんでしょうか?
神庭さん:安倍元総理の銃撃事件です。心理的なショックとしてはウクライナ以上だったかもしれません。7月8日、奈良市内で参院選の応援演説中に山上徹也容疑者に銃撃され、亡くなってしまいました。この事件の後、3つの大きな流れが生まれました。
① 警備体制の強化 警備計画に不備があったということで、警察庁長官や県警本部長が引責辞任し、要人警護を都道府県警任せにせず、警察庁が責任を持つ形で「警護要則」を28年ぶりに改正されました。
銃撃事件後の大きな流れ、2つ目は
② 国葬問題
安倍元総理の国葬が9月27日に日本武道館で執り行われ、国内外から4000人超が参列しました。2万5千人以上が一般献花に訪れました。一方、実施費用が当初見込みより膨らんだことや、法的根拠をめぐって与野党が激しく対立して、残念ながら「静かに送り出す」という状況にはなりませんでした。1ヶ月後の10月25日には、かつてのライバルで立憲民主党の野田佳彦元総理が国会で追悼演説し「勝ちっ放しはないでしょう、安倍さん」と呼びかけたスピーチは名演説として話題になりました。
銃撃事件後の大きな流れ、3つ目は
③ 宗教2世問題
山上容疑者の母親が旧統一教会の信者で、多額の献金をしていたことが明らかになり、宗教2世問題にフォーカスが当たりました。そして被害者救済法が今月10日に成立しました。実効性の部分など課題は多々ありますがこれだけの早さで法律をつくったのは、一つの大きな成果と言っていいのではないかと思います。
ユージ:改めて、神庭さんは安倍元総理の銃撃事件、どんな感想を持たれていますか?
神庭さん:どんな理由であれ、言論に対する暴力は許されません。先月末にも社会学者で東京都立大教授の宮台真司さんが刃物で襲われる事件が起きました。まだ背景がわからないので慎重に考えないといけませんが、宮台さんは政治や社会に関して活発に発言していました。言論には言論で対抗するのが、民主主義国家の当たり前の原則です。安倍元総理の事件以降、その「当たり前」が揺らぎ始めているように見えるのが非常に気がかりです。テロリズムのような「肉体言語」が横行すると、五・一五事件や二・二六事件のような時代に逆戻りしてしまいますから、言論の大切さについては左右の立場を超えて共有していくことが大切だと改めて感じました。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 26, 2022
テーマ「神庭さんが選ぶ重大ニュース」
2022年最後の週ということで、
1年を振り返って神庭さんが今朝取り上げたニュースは、
「ロシアのウクライナ侵攻」と「安倍元総理の銃撃事件」。
今日のAuDee JUDGEでも、多くの方がこの2つに投票していました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 26, 2022
この2つのニュースは忘れられないことですし、
まだまだ向き合っていかなければならない問題です。
一方で、僕個人的な重大ニュースというと、
「サッカーワールドカップ」。勇気を与えてくれました。
同じスポーツでいえば、
野球の村上宗隆選手、大谷翔平選手もそうです。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 26, 2022
暗いニュースがある一方で、
びっくりするような記録を塗り替えていくスポーツ選手たちの活躍は、
来年以降へ楽しみを引き継いでくれる明るいニュースです。
2022年は、そんなポジティブなニュースもいっぱいあった、
ということが僕の重大ニュースとして印象に残っています。#ワンモ