22.12.13
原発が運転延長へ、日本のエネルギー政策の今後

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【原発が運転延長へ、日本のエネルギー政策の今後】
吉田:経済産業省は8日の総合資源エネルギー調査会 原子力小委員会で、原発活用に向けた行動指針を示し、大筋で了承されました。廃炉が決まった原発の次世代型原発への建て替えや、60年を超える運転延長が盛り込まれています。神庭さん、原発活用の政府案、どういった内容なのでしょうか?
神庭さん:一言で言えば原発回帰です。東日本大震災と原発事故を受けて、日本はゆるやかな脱原発にシフトしたんですが、これからはどんどん原発を活用していきましょうという内容ですね。日本の電力政策を大きく転換するものだと言っていいと思います。原発の運転期間は原則40年、1度だけ20年延長できる「40年ルール」があります。最長でも60年までしか運転できないルールですが、これを見直し、60年以上の運転にも道を開こうとしています。具体的には、東日本大震災の後の規制強化で運転を停止していた期間や、裁判所の命令で運転を停めていた期間は「40年」から除外することが想定されています。運転停止期間が10年なら、合計で70年運転できることになります。
ユージ:単純に疑問に思ってしまうのが、これまで「40年」だったものが「60年」に延長されて大丈夫なんですか?ということなんですが…。
神庭さん:経産省は「40年ルール」について、1つの目安であって、科学的根拠はないと主張しています。ただ、過去の資料には原発の「耐用年数」「寿命」を40年とするものもあり、その部分での整合性が問われそうです。毎日新聞によると、経産省は「アメリカでは原発92基のうち、40年以上の運転が50基あり、80年の運転を認めたものも6基ある」と説明しています。アメリカもやっているなら安心ですね、となるのかどうかですが、日本は地震大国なので、欧米とまったく同列には論じられないのではないかと思います。一般論として、どんな構造物であれ長く使えば老朽化します。まして原発は中性子にさらされることで原子炉の強度が落ちたり、熱や蒸気で配管が傷んだりということもあります。こうしたリスクについても、しっかりと検討していくことが必要だと思います。
吉田:そういった心配があるにも関わらず、なぜ運転期間を延長したいのでしょうか?
神庭さん:日本は2050年のカーボンニュートラル、温室効果ガスを実質的にゼロにするという目標を掲げています。ですが、報道によれば40年ルールを厳格に適用した場合、2050年の段階で運転できる原発はたった3基。すべて60年まで延長したとしても23基ほどしか残らないそうです。政府は脱炭素推進の切り札として、原発の運転期間延長や新増設、建て替えを進めたい考えです。加えて昨今の資源高もあり、エネルギー安全保障の観点からも原発にシフトしたい、という思惑があるんですね。
ユージ:延長だけではなく、建て替えや新しく作るという考えなんですか?
神庭さん:そうなんです。次世代革新炉を開発・建設していくことを打ち出しています。廃炉が決まった原子炉を炉次世代革新炉に建て替えていくことなどを検討しているそうなんですが、次世代型原発には革新軽水炉、小型モジュール炉、高温ガス炉、高速炉、核融合炉など、様々な種類があります。従来の原発よりも安全性や効率性が高いという触れ込みですが、まだ研究・開発段階で商業利用に至っていないものも少なくありません。耐久性の点では、騙し騙し古い原発を使い続けるよりはマシかもしれないですが、まだ未知の部分も多いので、コスト面、安全面含め慎重に考えていく必要があるのではないかと思います。
吉田:地震大国の日本は、アメリカなどの状況と単純に比較できないということですが、今後、日本のエネルギー政策はますます難しくなっていくんでしょうか。
神庭さん:1番の課題は場当たり的で一貫性がないことです。震災が起きた!→原発やめよう。脱炭素だ!ウクライナで戦争も起きた!→やっぱり原発動かそう、みたいな感じです。よく教育は国家百年の計だと言いますが、エネルギー安保も同じで、国家の屋台骨を支えるものです。それなのに、あっちへフラフラ、こっちへフラフラと定まらない。最近のブルームバーグの記事によると、スズキの鈴木俊宏社長が講演した際にこんな風に言ったそうです。「日本のEVを動かすための電力政策で国家としてどういう風にやっていくのか、という話がまだまだ出てきていない」「節電しろって言っているのに、EVを普及させるってどういうことなのか」と疑問を呈したんですが、これは本当に正論だと僕も思います。
ユージ:今回の政府の原発回帰、神庭さんはどうお考えですか?
神庭さん:原発推進をグリーントランスフォーメーション、GXの文脈で語ること自体が欺瞞ではないかと思います。原発は本当にグリーンなのかというところと、東日本大震災から11年、喉元過ぎれば熱さ忘れるでいいのかという視点は忘れてはいけないと思います。原発という国論を二分する問題について、「なんとなく」「なし崩し」でズルズルと変えようとしているのも気になるところです。資源高だから、電気代が高くなっているから…といいますが、原発もいったん大きな事故が起きたら人的にも経済的にも莫大な損失ですし、廃炉の費用や放射性廃棄物の処分に関しても決して小さくないコストがかかります。良いことばかりではなく、マイナス面も含めてきちんと議論しないといけないと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 13, 2022
「原発が運転延長へ、日本のエネルギー政策の今後」について
原発の運転期間は原則40年、1度だけ20年延長できる「40年ルール」があり、最長でも60年までしか運転できないルールでしたが、これを見直し、60年を超える運転延長が了承されました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 13, 2022
しかし具体的には、東日本大震災後の規制強化や、裁判所の仮処分命令などで運転を停止していた期間を「40年」から除外することが想定されているため、実質の運用期間は長くなります。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 13, 2022
米国でも40年以上の運転が50基あり、80年の運転を認めたものもあります。
しかし、このように60年以上の長期的な運転が認められるのは、あくまで“何事もなければ”の話であって、日本は地震大国であり、今の世界情勢を見て不安に思う人は非常に多いのではないでしょうか。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 13, 2022
とは言え、代替案がなかなか出てこないのが現状です。
資源高を受けて電気代が値上がりしていますが、原発で一度大きな事故が起きたら人的にも経済的にも損失は莫大なので、この課題は改めて60年後考えるのではなく、今すぐにでも先を見据えた議論する必要があると思いました。#ワンモ