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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.12.12

一昨日、可決・成立した被害者救済法
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【一昨日、可決・成立した被害者救済法】

吉田:世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題で、悪質な寄付勧誘規制を柱とした被害者救済法が、おととい、参院本会議で可決、成立しました。今朝は、今回成立した「被害者救済法」は実際に効果はあるのか、被害者救済法について神庭さんに解説してもらいます。まずは今回可決、成立した被害者救済法の内容について教えて下さい。


神庭さん:大きく2つあって、法人などが寄付を勧誘する際に配慮すべきことと、禁止することを定めています。
まず配慮義務に関して、
① 寄付の勧誘によって個人の自由な意思を抑圧しない
② 寄付によって、勧誘を受けた人やその配偶者、子どもらの親族の生活が困難にならないようにする
③ 何の法人に対する寄付なのかどんな使い道なのか誤認させないようにする
といった点について、法人側は「十分に配慮」しなければならない、と定めています。政府は違反した法人に対して勧告をすることができ、それでも守られない場合は公表することもできます。


ユージ:もうひとつ、この法案が定めている禁止事項なんですが、具体的にはどんなものがあるんですか?


神庭さん:勧誘を受ける人を「困惑」させてはならない、と規定しているんです。
具体的には、勧誘場所から退去したいと言っているのに退去させない、恋愛感情や好意に乗じて、寄付しないと関係が破綻すると伝えたり、霊感などを理由にして、その人や家族に不利益が生じると不安を煽り、それを避けるために寄付が必要不可欠だと告げる、借金をしたり、家や会社の資産を売ったりして寄付のための資金を調達するように要求する、といったことが禁止行為になっています。こうした禁止規定に違反した場合、政府は勧告や命令をすることができ、命令違反した場合には、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金が科されることになります。


吉田:一度寄付してしまったお金は返ってくるんですか?


神庭さん:先ほど説明したような「困惑」状態で勧誘された場合には、寄付を取り消すことができます。最長で10年間、取り消しを認めることになっていて、本人だけでなく、寄付のために扶養を受けられなくなってしまった子どもや配偶者も返金を求めることができます。これは宗教二世をはじめ家族の救済にも道を開くものになるんじゃないかと思います。


ユージ:気になるのは実際に効果があるのかというところですが、実効性についてはどう見られていますか?


神庭さん:そこが一番の課題です。まず「困惑」という言葉の定義が非常に難しいです。実際には困惑してイヤイヤ寄付するというパターンはそんなに多くないと言われていて、マインドコントロールされて、自ら進んである種の使命感をもって多額のお布施をしてしまうケースについて、「実はあの時、困惑していたんです」と遡って主張できるのかどうかということですよね。岸田総理はマインドコントロールによる寄付も取り消しの対象になると答弁していますが、実務上の判断はかなり難しいのではないかと思います。もう1点は、子どもや配偶者が返金を求められるとは言っても、それはあくまでも扶養の範囲内であって、金額はそう大きくないのではないか、と指摘する専門家もいます。お金がなくて苦しい状況に置かれている宗教二世が、教団相手に裁判闘争をやれるのか?というと、実際問題厳しい部分もあるのではないでしょうか。


ユージ:今回この救済法は審議入りからたった5日間で可決、成立しましたが、これについてはどう思われますか?


神庭さん:岸田総理は「与野党の垣根を越えた、圧倒的多数の合意の下で新法を成立させることができました」と胸を張りました。そもそも自民党と旧統一教会の関係性から出てきた「身から出たサビ」という側面もあるんですけれども、山際大臣をはじめ、辞任ドミノが続いてる中で政権の支持率も低迷しています。岸田さんは野党の批判を交わすためにこれだけは何としてもやらないといけない、お尻に火がついた状態だったんです。立憲と維新は政府に先駆けて独自の救済法案を共同提出しました。政府案にも注文をつけて、修正を引き出しました。ただ単に反対、反対ではなく、対案を出して成果に結びつけたという点で、来年の統一地方選に向けて一定の存在感を示したと言えると思います。与野党双方の利害が一致した結果、わずか2ヶ月で法律をつくる、スピード審議が実現したんじゃないかなと思います。


吉田:最後に、神庭さんは今回の救済法、どんな感想を持たれていますか?


神庭さん:課題が色々あるのは事実ですが、これだけのスピード感で法律をつくったのは、一つの大きな成果と言っていいと思います。国会、仕事したな!という感じがしますね。施行2年をメドに見直しをする規定も盛り込まれているので、不十分でもまずは走らせてみて、現実に合わない部分が出てきたら随時アップデートしていけばいいと思います。宗教って本来は人間の救済や癒し、よりどころであったりするべきものです。それが逆に宗教からの「救済」が必要になっている時点でいびつな事態です。大多数の宗教者の方々は真面目にやっていると思いますが、一部であっても宗教が「おいしい」「儲かる」ビジネスのようになっているとしたら問題ですので、宗教法人への課税強化を含めて考えてもいいのではないかと思います。





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