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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.11.24

就活のWebテストで替え玉受験
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんにお話を伺いました。
塚越さんが注目した話題はこちらです。


【就活のWebテストで替え玉受験】

吉田:企業の採用試験であるウェブテストを代行し、“替え玉受験”したとして、警視庁サイバー犯罪対策課は21日、「私電磁的記録不正作出・同供用」の疑いで、会社員の男を逮捕しました。採用試験のウェブテストで代行者を立件したのは全国で初めてのことです。


ユージ:塚越さん、改めてこの事件について教えてください。


塚越さん:田中信人容疑者はTwitterで、「京都大大学院卒」「通過率95%以上」などと書き込みをして、替え玉受験の希望者を募集しました。会社員として働く傍ら、IDとパスワードを送らせて、一科目2000円~4000円で請け負って答えを教えるというものです。容疑者は犯行を認めていて、今年1月以降からだけで300人以上のウェブテストを代行し、およそ400万円を稼いだということです。ウェブテストとは、いろいろな種類がありますが、一般的には就活にあたって、受験者の適性を測るために数学や言語などの問題を解かせるものです。SPI等が有名ですね。今回のケースでは、受験者は不正防止のためにパソコンの前でカメラをオンにしなければなりませんでしたが、ワイヤレスイヤホンを髪の毛で隠して、容疑者から答えを教えてもらっていました。どういう経緯で逮捕に至ったのかというと、警視庁がサイバーパトロールで容疑者のTwitterを発見し、夏頃には容疑者の自宅を捜索して捜査を進めていたということなんです。


ユージ:ウェブテスト自体は、どのくらい増えているんですか?


塚越さん:就職情報企業の調査によると、コロナ前の2019年にウェブテストを導入した企業は約30%。その後2020年には55%程に大幅に増加しています。その分、今回のような替え玉受験でなくとも、カメラに映らないところで仲間が協力して受験するといった様々な不正が横行しています。また、先程の就職情報企業が就活生1200人に昨年聞き取り調査したところ、なんらかの不正受験をしたことがあると回答したのは8.4%いたということです。もちろん対策としてウェブカメラをオンにさせたり、顔や目線の動きが不自然でないかをチェックするといった対策はしていますが、それにも限界があるという感じですね。


吉田:今回、「私電磁的記録不正作出・同供用」の疑いで逮捕されたとのことですが、どんな行為がこの法律に触れるのでしょうか。


塚越さん:簡単に言えば、電磁的記録、つまりキャッシュカードの内容だったり、今回で言えばIDやパスワードを不正に利用することで、「事務処理に問題を起こした」という罪です。例えば、アカウントのログインなどの際に、本人確認のために携帯電話のショートメールにコードが送られてくる、というものがありますね。これを自分じゃない他人の携帯を使って認証した場合が該当します。犯罪に使う目的のSNSアカウントを不正に取得できるということで罪になります。ほかにも、他人のクレジットカード番号を利用して使うのもこの罪に該当します。実際に今年6月、宅配サービスに他人のクレジットカードを不正利用し、高級ワインなどを不正に購入したことで犯人が逮捕された事件もありました。


ユージ:替え玉受験については、対策はあるのでしょうか?


塚越さん:一部企業で取り入れられているのは、答えをネット検索などしないために、受験者のパソコンの画面を試験官と共有するというものです。今回の事件はこれでは不正を防げませんし、またカメラの映らないところで別のPCやスマホで検索される可能性もあります。もう一つはAIを使うもの。カメラに他人が映った場合など、AIが自動で識別して、不正の可能性を企業に報告するサービスが一部で導入されています。こちらを導入した企業からは、平均点が下がったとの声も寄せられました。これは、それだけ不正があったということです。また、不正されることを前提に、2度目の対面の時にウェブテストと同じような問題を課し、きちんとできているかを試すといった対策をする企業もあります。


ユージ:ウェブテストの不正、無くすのは難しいとお考えですか?


塚越さん:コロナ後の世界で、テストはすべて対面というのは考えられないんですよね。不正技術には、こちらも技術で対応するしかありません。現状なかなか難しくて、少し高価になりますが、不審な目線や首の動きを検知する「アイトラッキングセンサー」という、ユーザーの目線を追うセンサーもあります。こういうものを使うと不正が分かりやすいんですが、まだまだ装置が高価で一般的な普及はすぐには無理かもしれませんが、こういうことが増えればいずれは不正がなくなるかと思います。とはいえ、技術は不正と不正防止のいたちごっこが続くので、基本的には常に対策を考え続ける粘り強い姿勢が重要だと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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