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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.11.22

FTX破綻。改めて考える『仮想通貨』
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

BuzzFeed Japan 編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『FTX破綻。改めて考える「仮想通貨」』


吉田:経営破綻した仮想通貨、大手の『FTXトレーディング』の広告塔になっていたとして、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手らが提訴され、スポーツ界に激震が走りました。
神庭さん、まずは、『FTX』というのはどんな会社で、これはどんなニュースなのか教えてください。


神庭さん:『FTX』というのは、仮想通貨・暗号資産の大手交換所のことなんですよね。今月に入って報道などで、“会社の財務に対する健全性は大丈夫ですか?”ということで疑問が広がりました。FTXは交換所なんですけれども、自らも『トークン』と呼ばれる電子資産を発行していて、仮想通貨業界 最大手の『バイナンス』のCEOが、このFTXのトークンを売却すると表明したんですね。そこでさらに、大丈夫なのかな?と不安が広がって、顧客たちが引き出しに殺到して、ある種、取り付け騒ぎのようになってしまったと。朝日新聞によると、FTXからの顧客の引き出し額は3日間で8500億円を超えて、およそ1.1兆円の資金不足に陥ってしまい、11日にFTXは、破産法の適用を申請しまして、債権者は10万人以上、負債総額は最大7兆円になるかもしれないという非常に規模の大きいことになっているんですね。


ユージ:額の規模がケタ違いなんですけど、日本でも利用者がいるんですよね?どうなんでしょうか?


神庭さん:日本にも利用者はいまして、ただ実はですね、日本法人の『FTXジャパン』の経営状態は非常に良くて、今月10日時点で196億円の現預金があって、自己資本も約100億円あると報じられています。資産の方が負債より多いんですね。日本では、2018年に『コインチェック』が不正アクセスを受けて、580億円分の暗号資産が流出する事件があったのをご記憶の方も多いと思うんですけれども、これを受けて、法規制が強化されてきたんですね。ネットにつながっていない『コールドウォレット』に暗号資産を保管するとか、顧客の資産と交換業者の資産をわけて『分別管理』をするといったルールが徹底されてきました。それに比べると海外の規制は緩かったので、今回のような騒ぎが起きてしまったんですよね。これまで日本は、「規制でがんじがらめだから海外勢におくれをとってしまうんだ!」という批判もあったんですけれども、皮肉なことに、厳しい法規制とか金融庁の指導のおかげで日本の利用者は守られることになったと。逆に、今後、海外も日本のように厳しいルールを導入していくことになるかもしれません。


ユージ:そういう背景があったんですね。今回のFTXの破綻で損害を受けた投資家が、大谷翔平選手とか大坂なおみ選手を訴える動きもあったというふうにも聞いています。


神庭さん:こういうトラブルがあると、当然、広告塔になった有名人にも批判が向かいます。過去に日本の暗号資産の取引所で不祥事があった際も、やはりCMに出ていたタレントさんが非難されたんですね。厳しいようですけれども、最悪、本当に多くの人の人生を狂わせてしまうことだってあり得るわけで、儲かっている業界ですからギャラはいいかもしれないんですけれども、有名人の側も、自分自身の信頼まで傷つけられるリスクもあるということをよく考えたうえで仕事を受けた方がいいんじゃないかなと思いますね。


吉田:今回のFTXの破綻が世界経済に与える影響はあるのでしょうか?


神庭さん:日本経済新聞に《仮想通貨業者「FTX」破綻、リーマン型かエンロン型か》という記事が出ていて、これがとても参考になります。損失の非常に大きいことで今回の一件というのは、「仮想通貨界のリーマンショック」というふうにも言われているんですね。ですけれども、実はリーマンのように次々に信用不安が連鎖する危機というよりは、エンロン事件という2001年に起きた巨額の不正会計事件に近いんじゃないの?という専門家も多いんですね。というのも、FTXは社内のガバナンスが本当にガバガバだったんですよね。日経によるとですね、“会社の資金の私的流用が疑われるようなことがあった”と。あとは、“経費申請をチャットの絵文字で承認していた”。OK!みたいな感じですかね…。さらに、“多くのグループ企業で取締役会が一度も開いていなかった”と。これはどういうこと?って感じですよね。そして、“CEOが時間が経つとメッセージが消えるアプリを使っていた”という本当にメチャクチャな状況で、何か後ろめたいことがあったのかわかりませんが、FTX自体の問題がかなり大きいんですよね。なので、「FTX、ちょっとヤバイよね…」という話で終わるのか、「仮想通貨・暗号資産、全体がヤバイよね…」という業界全体の話にまで波及するかどうかで危機の大きさも変わってくるのかなと思います。


吉田:私たちが注意すべきことは何でしょうか?


神庭さん:ブロックチェーン技術にはすごく可能性がありますし、「一切触るな!ゼッタイ買うな!!」とは言いません。ただし、名前も聞いたことがない、よくわからないような『草コイン』と呼ばれるモノを買い集めて「ちょっと一儲けしてやろう!」みたいなのは、やめた方がいいんじゃないかなと思います。株でもなんでもそうですけど、なんで儲かるのか仕組みもよくわからないまま、「とにかく儲かるらしいよ」と、「今は下がっているから逆にチャンスじゃね?」みたいな感じで、雰囲気に浮かされて投機に走るとやっぱり痛い目に遭うんですよね。あとは、暗号資産の『レバレッジ取引』、『信用取引』もビギナーにはオススメしません。『レバレッジ取引』というのは、一定の証拠金を預けて、それを担保にして、2倍、3倍の額の投資をすることなんですけれども、価格が上がればすごく儲かるんですが、場合によっては大きな負債を背負うこともあります。非常にハイリスク・ハイリターンの世界なんですね。なので、暗号通貨に投資するなら、「最悪返ってこなくてもいいや!」と思えるくらい、自由になるお金の5%までとかですね、範囲を決めてやるのがいいんじゃないかなと思います。



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