22.10.19
企業と退職者の新たな付き合い方“アルムナイ・ネットワーク”とは何なのか?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
『企業と退職者の新たな付き合い方“アルムナイ・ネットワーク”とは何なのか?』
吉田: 転職が珍しくなくなり、専門的な人材が不足する中、企業が退職した元社員と交流する組織『アルムナイ・ネットワーク』が注目されています。日本でも導入する企業が出始めているということなんですが、塚越さん、この『アルムナイ・ネットワーク』とは何なのか、改めて教えてください。
塚越さん:『アルムナイ・ネットワーク』は英語で『卒業者人脈』を意味する言葉でして、退職した元社員と企業が交流する組織です。英語の『アルムナイ』というのはですね、卒業生や同窓生を意味する言葉なんですけれども、労働分野では、元社員とか退職者という意味でも扱われるということです。アメリカは転職が非常に多くてですね、特にネット業界では、主要企業の9割が『アルムナイ・ネットワーク』、この退職者組織との間に関連制度があるという調査もでているんですね。日本の企業はこれまでですね、退職すると元企業と縁が切れることが多かったんですけれども、これを変えましょうという動きがあります。例えば、重工業を中心とした製造企業の『IHI』がこの夏、退職者の専用サイトを開設すると、技術・開発部門出身の元社員ら20人が登録したということです。企業の情報とか、募集するポストの情報を配信して、これを機会に元社員が副業で関わったり、場合によっては再入社の機会をお互いにうかがっているということですね。さらに言うと、『三井住友海上』とか『日立ソリューションズ』といった企業にも同じような試みがありますし、システム開発企業の『TIS』ではですね、実際に再雇用が生じたという事例もあります。
吉田:この動き、どのような背景があるのでしょう?
塚越さん:背景としては、人材の流動性が高くなって、多くの企業で人材確保が難しくなってきたことが挙げられるんですね。最近は特定の会社に居続けるのではなくて、自分の能力に応じて転職する、企業に不満がなくてもチャレンジのために退職するという人も増えているんですよね。これは番組でもよく取り上げている、能力に応じて報酬が変わる『ジョブ型雇用』の考えで動く労働者が特に若者の中には浸透しつつあるのではないかと考えられます。こうしたことが結果的に離職率の増加につながっているので、企業としては頭が痛い。一方で、退職した人は、別の業界とかでいろいろ経験を積んでいて、かつ、企業のことも知っていますよね。社風とかも理解してくれているので、縁をつないでおくことで、再度『即戦力』になる人材を獲得しようということなんですよね。
ユージ:この『アルムナイ・ネットワーク』、企業が導入するとどういったメリットがありますか?
塚越さん:メリットとしては、例えば、スキルアップとかチャレンジのために退職した人、あるいは、出産などを契機に退職した人が戻ってきやすくなるので、これは企業にも労働者にもメリットかなと思います。特に企業としては、退職者と情報交換をやり取りするので、退職者が企業のファンになってですね、インフルエンサーみたいなかたちでいろんな話をしてくれる。大学などでも、卒業した人が自分の大学が好きで情報発信してくれたりもするので、そういったものもあるかなと思います。一方、デメリットというか課題ですけれども、退職者を再雇用の場合は、人間関係が影響して退職した人の場合、今もいる社員との関係性に配慮しないといけなかったり、あとは、報酬とかですね。再雇用者の待遇についても配慮する必要があります。さらに、同業他社に転職して戻ってくる場合というのは、情報漏洩とか、元いた会社の情報をお互いに気を付けないといけないというところも課題かなと思いますね。
ユージ:そうですよね、そこは、僕も気になるところなんですよね。日本でも『アルムナイ・ネットワーク』を導入する企業が出始めているということなんですけど、塚越さんは、どのようにご覧になっていますか?
塚越さん:さまざまな業界での人材不足が問題となっているので、導入はいいことだと思いますね。政府が『ジョブ型雇用』を進めようとする中で、再雇用の機会が設けられるのもいいかなと思います。今のところ注目されるのは、デジタル技術系の分野の再雇用とか協業とかが多いんですけれども、人事とか事務など、いろんなところにも拡張されていくのかなと思います。ただ、当然なんですけれども、『アルムナイ・ネットワーク』にたくさん頼ってしまうと、企業文化というものが既存のものに固定されたり強化されたりする可能性があるので、風通しをよくするという意味で新たな人材獲得にも目を向ける必要があるかなとも思いますね。一方でですね、コロナによって“働くこと”についてよく考えるようになってですね、アメリカなどでは最近ですね、最低限の仕事しかしない、昇進はしないという人たちが増えているんですよね。こういうのは『静かな退職』と言うんですけれども、企業としては、意欲的に働いてほしいわけですよね、なので、労働者としてはさまざまな仕事にチャレンジしたり、場合によっては古巣に戻ったり、あるいは、正社員であるかそうでないかとか、今回の『アルムナイ・ネットワーク』みたいなかたちでいろいろ動いてまた戻ってこれるみたいなかたちが、制度として充実していると、結局は労働者の意欲向上にもつながるということも考えられますので、こういったさまざな試行錯誤をですね、今、労働市場ではみんなが考えているということで、こうしながらですね、我々働く人も楽しく働ける環境をみんなでつくっていくということが大事なんじゃないかなと思いますね。
ユージ:うん!僕もそう思います!
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 19, 2022
「企業と退職者の新たな付き合い方 “アルムナイ・ネットワーク” とは何なのか?」について
アルムナイ・ネットワークとは、卒業者人脈という意味で、退職した元社員と企業が交流することを意味します。
#ワンモ #ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 19, 2022
これまでのイメージだと、一度辞めた会社とは関係を断たなければいけない、同業他社に転職するには期間をあける、または タブーなどのイメージを僕は持っていました。
#ワンモ #ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 19, 2022
しかし、このアルムナイ・ネットワークでは退職したとしても人脈を保ち続けるので、企業と退職者が関わりを持ったり、交流ができるのは、これまでのシステムを考えると珍しいと思いました。
#ワンモ #ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 19, 2022
これが上手くいくかは、僕はまだ疑問視しています。例えば、会社を辞めたけれど、その会社で学んだことは沢山あります。その学んだ知識を新しい会社に持っていった時に、生かせる部分は良いけど、内部事情が漏れてしまう問題も生まれかねないです。
#ワンモ #ユジコメ⑤
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 19, 2022
辞めた人を暖かく送り出したり、その後も関わりを持つことは、僕は良いと思います!ただ、その課題の部分を今後考えてく必要があるかなと思いました。