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22.10.17

ジョブ型雇用は定着するのか?
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【ジョブ型雇用は定着するのか?】

吉田:岸田総理は先月、ニューヨーク証券取引所で講演し、「年功序列的な職能給をジョブ型の職務給中心に見直す」と発言、職務給中心の給与体系への移行を促す指針を来年春までに官民で策定することを明らかにしています。そこで今日は、ジョブ型雇用は日本で定着するのか、神庭さんに解説してもらいます。まずは、「ジョブ型雇用」とはどういうものなのか教えてください。


神庭さん:仕事の内容や賃金、勤務地、労働時間などを定めた「職務記述書」(ジョブ・ディスクリプション)を定めて契約する働き方のことで、欧米では一般的です。「ジョブ型」に対して、従来の日本型の働き方は「メンバーシップ型」雇用と言われ、新卒一括採用と年功賃金、定年制を前提としてきました。人、社員に値札がつくのがメンバーシップ型で、仕事、職務に値札がつくのがジョブ型。「就社」のメンバーシップ型に対して「就職」のジョブ型ということもできると思います。


ユージ:やはり、ジョブ型の方がいいんですか?


神庭さん:一律にどっちがいい悪いという話でもなく、一長一短があります。日本の高度経済成長期やバブルで成長を謳歌していた時代には、日本型の安定した雇用こそが奇跡の成長、ジャパン・アズ・ナンバーワンを実現したんだと言われていました。キャリア的にまだ白紙の新卒を大量に採用してきて、いろんな部署で経験をさせて、オールラウンダーに育て上げる。愛社精神あふれるモーレツ社員が24時間戦って会社に尽くす。残業代だって青天井!という時代もあったわけです。ただ、日本経済全体が右肩上がりの成長が望めなくなって、企業側も「終身雇用で一生面倒見ます」とは、おいそれと約束できなくなってしまいました。そうした中で、ジョブ型を模索する動きが広がっているということです。


吉田:改めて、ジョブ型のメリット・デメリットについて教えてください。


神庭さん:メリットで言うと、労働者の側から見た場合、仕事の内容が可視化されることは安心感につながりますよね。職務記述書にない仕事を振られた時に、「そんなこと書いてないじゃないですか!」と防御する盾になります。ジョブ・ディスクリプションにない配置転換や、転勤、単身赴任なども断れます。『ドクターX』の大門未知子ではないですが「転勤・異動、致しません」と言えるわけです。一方でデメリットとしては、「仕事」そのものが会社から消滅してしまった時、部署ごとリストラになってしまった時など、そのまま解雇になってしまう、ということも起こり得ます。メンバーシップ型であれば、「別の部署で頑張ってね」と救済されたケースでも、そのまま「さようなら」となってしまうリスクはあります。これは企業側から見るとメリットで、不景気になった時などに、クビを切りやすくなる面はあるということです。一方で高度なIT・DX人材含め、適材適所で優秀な人材を採りたい、という時にもジョブ型は最適なのではないかと思います。


ユージ:本題ですが、今後、日本で「ジョブ型雇用」は定着すると思いますか?


神庭さん:すでに日立や富士通、NTTといった大企業が導入してますから、今後も広がっていくのではないかと思います。日経新聞によると、厚生労働省は労働基準法の省令を改正し、企業に対して、将来の勤務地や仕事の内容を従業員に明示するように求めることを検討しています。実現すれば、法制面でもジョブ型が後押しされることになります。厚労省はまず職員の職務記述書に「国会議員の答弁作成のための深夜残業は致しません」と書き込んだ方がいい気がしますが…、それはそれとして、そういった動きもあるということです。


ユージ:ジョブ型雇用、神庭さんはどう思いますか?


神庭さん:政府や経団連はこぞってジョブ型雇用を推し進めようとしていますが、突き詰めると、本音は「解雇しやすくして人材の流動性を高めたい」という点にあると思うんですね。そこを隠すべきでないし、ジョブ型にしたらバラ色の未来が待っているかのように、メリットばかりを喧伝するのは違うかなと思います。日本型のメンバーシップ雇用と比べて、長所短所をフラットに比較するところから議論を出発させないといけません。本気でやるなら、新卒一括採用や終身雇用制、定年制といった雇用の「入口・出口」の問題から手をつける必要があります。それには反対する人も多いですし、当然、支持率にも影響してくると思います。岸田さんがどこまで本気でやる気があるのかというのは少し疑問です。


吉田:他にも、なにか課題ありますか?


神庭さん:ジョブ型の「仕事の内容が限られている」「不本意な転勤や残業がない」という特徴は現在の非正規雇用やパートタイマーの特徴にも当てはまります。これまで、「正社員は転勤や残業もあるから、非正規よりも給料が高いんだよ」という形で賃金格差がある意味で正当化されてきたわけです。そうした線引きがなくなって「同一労働・同一賃金」の原則が徹底された場合、正社員の待遇を悪化させる口実のように使われてしまうんじゃないか?というのは懸念点の一つです。あとはセーフティネットも必要です。ジョブ型の普及にあわせて解雇規制を緩和するのであれば、解雇の際に十分な金銭補償をするなど、金銭解決の仕組みも用意する必要があると思います。
誰の仕事でもないけど、誰かがやらないといけない雑用だったり、調整ごとというのはどんな会社にも存在します。社員全員がジョブ型で「大門未知子」化して、「致しません」が横行したら、回らなくなる職場も出てくるのではないかと思います。そこは社内副業制度だったり、社内通貨をやりとりできるようなお小遣いシステムなんかを作ったら面白いかなと思います。


ユージ:確かに、システムをしっかり作るのは大事かもしれませんね。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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