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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.10.11

拡大された厚生年金や健康保険のメリットとデメリット
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

BuzzFeed Japan 編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『拡大された厚生年金や健康保険のメリットとデメリット』


吉田:今月からパートやアルバイトで働く人が入る社会保険の制度が見直され、“『厚生年金』や『健康保険』の対象者が拡大”されました。
神庭さん、まずはどう変わったのか教えてください。


神庭さん:まず、ビフォー&アフターの『ビフォー』から説明しますね。先月まで、厚生年金と健康保険の加入対象になる人は5つの条件を満たす必要がありました。
①従業員数が501人以上の企業で働いていること
②雇用期間が1年以上の見込みであること
③週の所定労働時間が20時間以上であること
④月額の賃金が8万8千円以上、年収換算で106万円以上であること
⑤学生ではないこと
で、これがビフォーなんですけれども、10月の変更で、①の勤務先の従業員数が“501人以上から101人以上”の中小企業にまで広がりました。さらに②で“1年以上”とされてきた雇用期間も“2ヶ月超”まで短縮されて、より短期の労働者も社会保険の加入対象に含まれるようになったんですね。


吉田:会社の規模を下げて、雇用期間も短くする、このメリットはどこにあるんですか?


神庭さん:働く人からすると『厚生年金は2階建て』というふうに言われていて、1階にあたる『基礎年金』部分に加えて、報酬比例で年金が上乗せされるんですね。『障害年金』とか『遺族年金』も保障が充実します。そして、『健康保険(健保)』に加入すると、病気とかケガの療養で会社を休んでも、最長1年半にわたって給与の3分の2の『傷病手当金』というのを受け取れるんですね。『出産手当金』というのもありまして、“出産前42日、産後56日の間”、給与の3分の2をもらえるなどですね、手厚い保障が受けられるのがメリットとなっています。


ユージ:なるほど!一方で考えられるデメリットもありますよね?


神庭さん:そうなんです。働き手の側から見ると、保険料の負担が増えることで、目先の手取り収入がダウンしてしまう恐れがあるんですね。『106万円の壁』というふうに言われますけれども、夫や妻などパートナーの扶養に入ってパートやアルバイトで働く人は、“働き損で手取り収入が下がらないように労働時間を抑えよう”という心理が働きがちなんですよね。経営者の側からすると、そのぶん余計に人を雇わないといけない。職場によっては人手不足に悩まされることもあるかもしれません。また、保険料は労使折半ですから、その分の人件費も増えることになりますね。


吉田:よく『106万円の壁』って聞きますけれども、他にも『壁』あるんですよね?なんか『壁』が多すぎるイメージがあるんですけど…。


神庭さん:いやぁ、『壁』が多いんですよね。パートで働く主婦(主夫)の場合、社会保障や税制面などで全部で6つくらいの『壁』があるんですけれども、そのうち今回の対象拡大に関係してくるのは2つで、1つ目が社会保険の加入対象になる人が出始める収入『106万円の壁』。そして、2つ目がすべての人がパートナーの扶養から外れて、社会保険に加入して保険料を払わないといけなくなる『130万円の壁』なんです。『130万円の壁』に引っかからないように意識して収入をセーブしてきた人がですね、今回の対象拡大で『106万円の壁』にぶつかって手取りが減ってしまう場合があるんです。例えば、パート主婦の年収が105万円だったら手取りは約104万円でほぼほぼまるっともらえるんですけれども、それが1万円超えて106万円になると社会保険料が15万円かかってきて、手取りは約89万円まで減ってしまうんですよね。


ユージ:これちょっとリアルというか…、具体的に聞くとね……。かなり減っちゃいますよね。


神庭さん:そうなんですよね。質素に切り詰めて暮らしながら、せめてもの生活の足しに…というふうにパートで働いている方からすると、15万円というのは決して小さくない額です。『106万円の壁』という言葉で検索すると、真っ先に『損しない働き方』という言葉が出てくるくらいみなさん強い関心を持っていると思います。実際、“働き損になってしまう収入がいくらなのか?”ということですけれども、『FNNプライムオンライン』の記事に、<「年収106万の壁」10月から対象拡大 知らないと“働き損”も>という記事が出ていまして、ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんが詳細に試算しているのでぜひ読んでいただきたいんですけれども、年収125万円まで頑張って働くと、105万円の場合の手取りとほぼ同じ収入が得られ社会保障も充実する。また、現状で129万円にセーブしている人は、153万円まで増やすとほぼ同額になるということなんですよね。逆にいうと、『106万円~124万円』と『130万円~152万円』のゾーンは手取り面だけで見ると『働き損』になってしまう可能性があるということなんです。


ユージ:いやぁ、これ結構、細かいので、1回聞いただけだと、ん?となる人が多いと思うんですけど、これはもう死活問題ですから、もっと単純に気持ちよく働けるようにならないものですかね?


神庭さん:ほんと、そこですよね!まずは、今回の対象拡大で、“自分が当てはまるのかどうか?”当てはまるとして、“自分はどういう働き方をしたいのか?”というのを勤め先の企業とかパートナーさんとよく話し合っていただきたいなと思います。「じゃあ従業員100人以下の企業に移ればいいじゃないか!」と、それで壁を逃れようというのも1つのやり方かもしれないですけれども、再来年2024年の10月には、『51人以上の企業』にも拡大されるんですね。『壁』から逃げても、どんどん『壁』は追いかけてくると…。であれば、働き損にならない年収まで頑張って、収入を増やすことを考えてもいいかもしれません。国としてはやっぱり、「なるべくたくさん働いて、社会保険料も払ってくださいね」というのが本音なんだと思います。だとしたら、非合理的な『壁』を5つも6つもつくるのではなくて、パートやアルバイトの方が気持ちよく働けるような、シンプルでわかりやすい制度にしていただきたいなと思いますね。



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