network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.10.06

防衛力の抜本的強化に向けて本格始動
null
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『防衛力の抜本的強化に向けて本格始動』


吉田:国の防衛力を抜本的に強化するため、政府の検討が本格的に始まりました。『国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議』では、省庁の縦割りを打破して、総合的な防衛体制を検討するとともに、予算や財源のあり方についても議論を進め、12月上旬をメドに提言をまとめる見通しです。


ユージ:4日に『Jアラート』が5年ぶりに発令されました。今、国の防衛力に対する関心は、ますます、高まっていると思われます。
塚越さん、まずはこの政府の会議、どういったものなのでしょうか。


塚越さん:政府は、年末にかけて『安全保障』関連の3つの文書を改定するとともに、5年以内に防衛力の抜本的な強化を目指して、防衛費を増額する方針がありまして、それに向けた会議ということになります。外交・防衛の専門家であったり、規模を拡張するので、それを維持するために経済力も必要だということで、経済・財政分野などの有識者10人が参加しています。また、岸田総理や林外務大臣、浜田防衛大臣、鈴木財務大臣といった関係閣僚も出席しています。日本の『防衛費』なんですけれども、当初予算ベースでみてみますと、直近9年間で10%ほど増加していまして、令和4年度は、5兆3600億円あまりあります。この額はですね、一般会計全体の5%になっておりまして、『公共事業費』とか『文教及び科学振興費』と同じ規模で割と大きいものなんですよね。この『防衛費』を対GDP比でみますと、現在は1%ちょっとなんですけれども、NATO加盟国は、GDP比2%まで防衛費を引き上げようと計画があって、日本もこれにあわせようということで、要するに、この5年間で1%~2%、今の5兆円にさらに5兆円を増やしててですね、防衛費を増やそうということを考えています。そのための会議だということなんですよね。


ユージ:具体的にはどんなことが話し合われたんですか?


塚越さん:いろいろあるんですけれども、やっぱり、焦点は“来年度以降の防衛費の増額”ということなんですね。やっぱり、財源をどうするか?というのが大事だと思うんですけれども、「増税だ!」という意見もあればですね、「当面は国債を発行して賄おう」という意見もあるんですね。ですが、いずれにしても、国民負担に直結する可能性はあります。あとはですね、例えば、海上保安庁などの安全保障に関連する予算とか、旧軍人遺族への恩給費など、これは今、防衛費に入っていないんですけれども、NATOの基準だとこういうものも入っていましてですね、日本も同じでこの防衛費と海上保安庁など安全保障のお金をGDPに入れると、現在でもGDP比1.24%になることがわかっているんですね。


ユージ:ほお、なるほど!


塚越さん:これにさらに、宇宙とかサイバーセキュリティ分野の研究費も防衛予算として組み込もうということも検討していまして、要するに、これまで別だった予算を防衛費に組み込んで、全体の予算を欧米基準でわかりやすくしようとか、あるいは、言ったらアレなんですけど…、大きく見せようというところもあってですね、他国への威嚇みたいな意味もあると思うんですけれども、そういった議論もあったりします。もちろん、その他にも予算を増やすにしても、どのへんの分野のどういう部品を強化するかなど、具体的な検討もされているので、これからこの会議でいろいろ議論されると思いますが、いずれにしても、現在の5兆円レベルの防衛費を5年で倍の10兆円、GDP比2%にするということを政府は考えているということなんですよね。


ユージ:なるほど!!この『防衛費の増額』について、塚越さんはどう考えてますか?


塚越さん:ウクライナ侵攻とか、中国が軍事的に台頭しているということで、世界に対立・不安が増えていますよね。国民全体としても、国防費増強をよしとする声は高まっていまして、読売新聞がつい先日行った調査でも、防衛費増額に賛成は71%、反対は21%ということで、非常に高くなっていて、ある種、「これは仕方ないだろう…」ということだと思うんですよね。ただやっぱり、増額の内容を詳しく見てみないと、「国は大切だ!」「国を守れ!」と大きな声になんとなく押し切られてしまうのはまずいですし、例えば、5兆円って非常に大きい額ですよね。5兆円あれば、育児とか教育の分野など、数十年先の日本を考える上で重要ですし、そもそも、「じゃあ、そのために消費税アップしていいのか?」とか「財源をどうすのか?」という議論も考えないといけないですよね。そう考えるとですね、国防や軍事というのは、どうしても、我々がなかなか触れてこなかったという部分もあると思うんですけれども、やっぱり、みんなが詳しくなるということですよね、それが必要になるんだろうと。そして、結論を出す時代になっているというのは、ちょっと考えないといけないなと思いますね。


ユージ:4日の『Jアラート』を受けて、自民党内で“反撃能力を求める声”というのが高まっているそうなんですけど、これについてはどう思われますか?


塚越さん:これも難しい問題なんですが、日本はこれまで『専守防衛』ということで、攻撃されたら守るという方針なんです。が、例えば、ミサイルを打てる敵基地を“反撃”という名目で、こちらから“攻撃”できるような体制を反撃能力と言いますけど、事実上、攻撃できる体制なんですね。これは、大事かもしれませんが、外国から見ると、「日本はやる気なんだな!」という戦闘ポーズに見られてしまうと…。もちろん、こういうのを盾に取ってですね、外交を有利に進めるという方法もあるんですけれども、こうしたポーズを取ること自体が、危機感を相手国に煽ることになって、『軍拡競争』になる可能性もあるので、防衛費の増強それ自体は否定しないんですけれども、やる分、それだけ外交も必要なので、外交しないのに防衛費だけ増やしちゃうとですね、思わぬところで失敗しちゃうかなと思います。歴史的にみても、軍事は儲かるという部分があるので、政治的、経済的にいろんな人が関わってくるので、やっぱり、我々国民が知識を持つということが一番大事なんじゃないかなというのは一番強く思いますね。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top