22.10.05
総合経済対策の柱の1つ“構造的な賃上げ”とは何なのか?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
総合経済対策の柱の1つ“構造的な賃上げ”とは何なのか?
吉田:岸田総理は先週金曜、総合経済対策の策定を関係閣僚に指示しました。この総合経済対策は、3つの柱、「物価高・円安への対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」について、具体策を検討するということです。塚越さん、総合経済対策の柱の1つ「構造的な賃上げ」、こちらは何なのでしょうか?
塚越さん:岸田総理は、おととい・月曜に行われた臨時国会の所信表明演説で、年功序列の強い給与体系の見直しや、成長分野で働くための「リスキング」=学び直しの支援体制の整備を目指すとし、そのための方針を来年6月までに発表すると述べました。給与体系の見直しについて、具体的には、日本企業の多くに見られる「メンバーシップ型雇用」と言われる雇用のあり方を、欧米に多い「ジョブ型雇用」にするということです。まず、日本に多い「メンバーシップ型雇用」の特徴は、能力よりも経歴や勤続年数を重視する年功序列による給料制度と、それによって転職が少なく人材の流動性が低いことが挙げられます。さらに、「総合職」といった専門性に特化せず、いろんな仕事をさせることや、新卒一括採用といった特徴もあります。社員を一から育てていくことで、ずっと会社で働いてくれるメリットはありますが、新しい技術が必要になる時など、外部から人を呼びづらく、市場のニーズと企業内の人材にミスマッチが生じやすいのがデメリットです。昭和の時代には合っていても、世界中で変化の激しい時代では、メンバーシップ型雇用のデメリットが目立ってきています。
吉田:この「メンバーシップ型」の雇用を、「ジョブ型」の雇用へと転換しようと政府は考えているんですね。この「ジョブ型」の雇用は、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?
塚越さん:欧米に多い「ジョブ型雇用」の特徴は、給料は勤続年数などではなく、能力やスキル重視で払われるため、スキルがある人は給料が高くなります。また、日本のような新卒一括採用ではなく経験者重視で人材を採用するので、人材の流動性も高くなります。ジョブ型雇用は、変化の激しい時代にあって、スキルをもっている人材を集めやすいというメリットがあります。岸田総理も、高い賃金を払えば高いスキルをもった人が集まり、それによって労働生産性が上がり、さらに賃金が上がるこのサイクルを目指しています。ジョブ型雇用を採用すると、例えば採用の段階で職務内容が明確になっていたり、また、社員であれば、ある程度、自分の仕事内容や量を決めていくことになります。また、能力に応じて昇進も早くなります。ジョブ型雇用を採用している企業も増えてきており、日立製作所は2021年春に管理職にジョブ型雇用を採用し、今年の7月には国内の一般社員約2万人に拡大しました。三菱ケミカルは去年4月に全社員にジョブ型雇用を導入しました。今後もこうした変化は増えていくと予想されます。一方で、ジョブ型雇用には、労働者間で格差を生じやすいというデメリットがあります。
ユージ:「ジョブ型」の雇用が主流になったら、賃金は上がるのでしょうか?
塚越さん:日本の労働生産性は低く、構造的な問題があるのは誰の目にも明らかなので、労働環境や雇用環境を変えるのは重要だと思います。ただ、ジョブ型雇用にすると年功序列が事実上なくなるといった変化が出るので、必然的に賃金が「上がる人」と「上がらない」、場合によって下がる人が出ます。ジョブ型はスキル勝負なので、よく言えば能力に応じて賃金が上がりますが、悪く言えば、スキルがない労働者は給料が下がったり最悪失業してしまうなど、労働者間の格差が進むので、対策が必要です。そこで岸田総理は先日の国会の所信表明演説で、成長分野で働くためのリスキリング(学び直し)支援に5年で1兆円投じると述べました。つまり、失業者へのスキル獲得支援など、転職に失敗してしまったり失業しても、再び労働市場に戻って高い賃金を得る仕組みを構築するということです。こうしたボトムアップの支援がなければ、結局はお金持ちやスキルのある人だけが生き残る社会になります。なので、そうなっていないかどうかをチェックしつつ、社会全体で競争力のある労働環境を作っていくことが必要です。改革は必要だと思いますが、それによって競争が加速し、支援はあっても格差は進行するので、まわりの人間を大切に、仲間を作って生きていく力の涵養も必要だと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 5, 2022
『総合経済対策の柱の1つ“構造的な賃上げ”とは何なのか?』について
メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用という2つの雇用があって、メンバーシップ型雇用というのは年功序列による給与制度で、#ワンモ
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 5, 2022
これは今、日本では割と多くの会社で採用されている方法なんですけど、一方でジョブ型雇用は、これはスキル重視で、スキルがある人は給料が高くなるというものなんですね。#ワンモ
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 5, 2022
例えば、野球なんかはジョブ型雇用ですよね。年齢とかではなく、能力に応じて年俸が違う。普通の一般の企業でジョブ型雇用にしていくと、僕が思うには、会社全体の支払う額は一旦、減るのかなと思います。#ワンモ
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) October 5, 2022
新しく入った若い子に関しては、まだ能力値をこれから測るっていう意味で一旦、高いお金はもらえないと思います。でも、そうなると給料を上げようと1人1人のモチベーションが変わってくるのでジョブ型雇用のいいところはそこだと僕は思っています。#ワンモ