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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.08.23

原発再稼働の是非について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

BuzzFeed Japan 編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『原発再稼働の是非について』


吉田:今月17日、中部電力が10月の家庭向け電気料金を値上げする見通しとなり、燃料費の上昇分を料金に上乗せできる『燃料費調整制度』の上限に達することがわかりました。既に中部電力を除く大手電力9社は上限に達しており、これで10社全てが上限に達します。
神庭さん、まず『燃料費調整制度』について、簡単に教えてください。


神庭さん:火力発電に必要な原油や液化天然ガス(LNG)、石炭の輸入価格の変動に応じて、毎月の電気料金を調整する制度のことなんです。燃料価格が高騰してしまったり、為替レートが円安に振れて調達コストが膨らんだりしてしまったりということは、電力会社の経営努力だけではどうにもならないということで、電力会社が頑張って効率化できる部分と、どうにもならない外部要因をわけて、外部要因に関しては、私たち消費者に転嫁できるようにして電力会社の経営を安定させようという狙いがあるんですね。


ユージ:中部電力も含めて10社が「上限に達する」と言ってますけど、この上限とはどういうことですか?


神庭さん:そもそもの制度として、電力会社に弾力的な電気料金の値付けを認めるという制度なんですけれども、電気料金アップを無制限に認めてしまうと消費者の生活が圧迫されてしまいます。そこで、電力会社は基準となる燃料価格の1.5倍までは価格を転嫁できるんですけれども、その上限を超えてしまった場合は、自腹を切る、身銭を切ることになっているんですね。「電力10社が上限に達した」というのは、1.5倍を超えて電力会社が損をかぶらないといけなくなってしまったということを意味しています。


吉田:燃料価格の高騰の背景にあるのは、やはりロシアによるウクライナ侵攻ですか?


神庭さん:それも引き金としては1つ大きいと思うんですけれども、天然ガスや石炭の価格がそれによって高騰して、今年の4~6月期には、電力10社のうち東京電力、東北電力など7社が最終赤字に陥ってしまったんですね。もう少し詳しく話すと、電気料金のプランは大きくわけて2つありまして、1つは国が認可する『規制料金』、もう1つは電力会社が自由に決められる『自由料金』というのがあります。『規制料金』の方は、燃料費調整制度の『上限1.5倍ルール』がありますから簡単に値上げできないんですけれども、『自由料金』の方で値上げの動きが相次いでいるんですね。『自由料金』というのは、もともとは電力自由化によって、「電気とガスのセット売りとか、いろいろお得になりますよ~」という触れ込みで広がってきたわけなんですけれども、ここへきて“規制料金よりも自由料金の方が割高になってしまう”という逆転現象が起こっています。恩恵が薄らいでしまったことで、「一体、何のための自由化だったの?」という疑問の声もでているんですね。


ユージ:こういった状況の中で出てくるのが、『原発再稼働の議論』ということなんですけれども、これは賛否わかれるところだと思いますがどう考えるべきだと思いますか?


神庭さん:もちろん賛否わかれると思いますけれども、電力需給のひっ迫とかですね、燃料高がこれだけ深刻化している中で、キンキンにクーラーのきいた部屋で「やれSDGsだ」とか、「火力発電所を止めろ」というふうに論じるのは、ちょっと欺瞞があるんじゃないかなと思う部分もあります。「CO2削減のために火力を減らせ」とか、「原発は動かすな!」とか、「でも、電気料金は上げないで~」とか、これら全部の要求を満たすのは、はっきり言って“無理ゲー”なんですね。なので、“何かを諦めなければいけない”と…。EUの欧州議会は先月、“原発をグリーンなエネルギーとして認定”しました。僕自身は、福島の原発事故を見ていますし、原発をグリーンとか、持続可能と言い切ってしまうことには抵抗があるんですけれど、この辺りは皆さんそれぞれご意見があるかと思います。「何を諦めて、何を諦めるべきではないのか?」ということについて遅すぎるくらいですけれども、今からでもですね、国民的な議論を深めていく必要があるのかなと思いますね。


吉田:電力のひっ迫の危機は、今後、どうなっていくでしょうか?


神庭さん:電力危機は今後もしばらく続く、それどころか、ますます深刻化すると考えた方がいいと思います。もともとですね、『脱炭素シフト』によってエネルギー資源が高騰するのは『グリーンフレーション』と言って長期的なトレンドだったんですね。ロシアのウクライナ侵攻が起きる前から、昨年からすでに始まっていました。そして、さらにそれが深刻化しているという状況で、3月には『電力需給ひっ迫警報』もありましたし、6月にも『電力需給ひっ迫注意報』と『節電要請』もありましたよね。立て続けに電力不安が起こっている状況で、この冬も相当に需給が厳しくなると予測されています。綱渡りで何とか乗り切っているような状況で、よく「持続可能!持続可能!!」と言われますけど、全然、持続可能じゃない状況に陥っちゃっているわけですよね。なので、何ができるかというと、1つには、地域間で電力を融通しやすくするための送電網を強化するとか、あと、3月・6月の電力危機では『揚水発電』が大活躍しましたから、そういったものの設備を増強する。あるいは、ピーク時の不足電力を補うために大量の電気を蓄えられる『蓄電池技術』に投資する。など、こういったやるべきことは山ほどあります。例えば他にもですね、アンモニアは燃やしても温室効果ガスが出ないんですね。アンモニアを石炭火力に混ぜることでCO2を減らすことができると言われていて、日本ではその研究がすごく進んでいるんです。なので、「火力=オワコン」と切り捨てる前にですね、『カーボンフリー火力』と言うんですかね、そういった可能性も含めて再検討することが大切じゃないかなというふうに思います。


ユージ:電力を補うためにその幅を広げておきたいですよね。例えば、原発を再稼働するにあたったとしても、原発がもしダメになったときに頼れるモノとかっていうのを常に進めていく必要があって、逃げ道というよりは選択肢を広げるというのは必要なのかなと思います。なのでそういう研究は続けてほしいですよね。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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