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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.08.16

日本の食料安全保障
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

BuzzFeed Japan 編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『日本の食料安全保障』


吉田:岸田総理の内閣改造で、農林水産大臣となった野村哲郎氏は就任記者会見で『食料安全保障』の強化に向けた予算確保について、「絶対にやらなければならない。日本の生産基盤は弱体化する」などと語りました。
神庭さん、まず、『食料安全保障』というのは、どういった考え方なのでしょうか?


神庭さん:“飢えずに済むだけの十分な食料をどうやって安定的に供給するのか”ということですね。『世界規模での話』と『日本国内の話』と両面に分けられると思います。まず、世界の食料安全保障で言うと、『ユニセフ』によるとですね、昨年は世界人口の30%弱にあたる約23億人が中度または重度の食料不安に陥ったそうです。新型コロナの影響もあって、コロナ前から3億5000万人も増えてしまったんですよね。日本に関して言いますと、今日の食べ物にもこと欠くという状況ではないですが、インフレで食料品の価格が高騰することで国民生活が圧迫されることが懸念されています。


吉田:『食料危機』は、世界的に言われていることのようですけれども、背景には何があるのでしょうか?


神庭さん:複合的な要因がありまして、『干ばつ』『洪水』『山火事』といった異常気象であったり、『蝗害(バッタの大量発生)』といった悪影響は前々から指摘されてきました。そこに追い討ちをかけるかたちでコロナが発生して、供給制約で流通が滞る一方で、経済再開に伴ってエネルギーとか原材料は高騰してしまったと…。『IMF』によると世界の食料価格は昨年、23%上昇したということです。生産コストが増えるだけじゃなくて、輸送費とか包装費もアップしてますから、当然、店頭に並ぶ食品の価格も上がってます。ここまでは昨年までの話です。今年に入ってからはですね、ご存じの通り、ロシアの『ウクライナ侵攻』がありました。小麦やトウモロコシなど穀物の価格が高騰していて、ロシアとウクライナは穀倉地帯ですから、世界の小麦の輸出量の3割、トウモロコシの2割を占めてきたんですね。先月、国連とかトルコの仲介でロシアとウクライナの間で合意が結ばれまして、ウクライナから黒海経由での穀物輸出が再開されたことで、小麦とかトウモロコシの相場も落ち着きを取り戻してはきたんですけれども、今後も戦況次第ではどういうふうになっていくのか、予断を許さない部分がありますよね。


ユージ:他にも懸念点はあるんでしょうか?


神庭さん:『肥料価格の高騰』も非常に気がかりですね。日本は肥料の原料のほぼすべてを海外からの輸入に頼っているんですね。『JA全農』は5月に肥料価格の値上げを発表しました。前期比で輸入の尿素を94%、塩化カリウムで80%というふうに大幅に引き上げたんですね。JAは、“『ベラルーシに対する経済制裁』『中国の輸出規制』『ロシアのウクライナ侵攻』により世界有数の肥料輸出国からの輸出が停滞したこと”を理由にあげています。


ユージ:お話うかがっていると、やっぱり、危機感が募ってくるなという感じもするんですけれども、日本が取れる対応、日本はどういう対応をすべきでしょうか?


神庭さん:『日経新聞』によるとですね、日本は肥料の原料となるリン酸の9割を中国から、塩化カリウムの3割弱をロシアとベラルーシから輸入しているということなんですよね。『食』という最重要の課題に関して、こうした非自由主義の国々に、ある種、首根っこを押さえられている状態は、非常に危うさがあると思います。2010年のレアアース危機では、中国に戦略物資を人質にとられてしまって、にっちもさっちもいかなくなったわけですよね。なので、“中国やロシアがくしゃみをしたら、日本が風邪で寝込んでしまう”という事態にならないように、食料安全保障の観点から供給ルートの多様化が必要かなと思います。


ユージ:あと気になるのは、『日本の食料自給率』について、度々、お話になるんですけれども、日本の食料自給率が低いといって懸念する方も多いようですね。


神庭さん:そうですね、よく言われることなんですが、一口に『食料自給率』といっても、尺度はいろいろありまして、『カロリーベース』で見ると38%で“低い”となるんですけれども、『生産額ベース』で見ると実は63%あるんですよね、そうすると“意外と高い”という見方にもなってくると思います。生産額が高いということは、日本の農家が付加価値の高い農産品を生み出せているということなんですけれども、農水省が予算欲しさにある種、「低い、低い!」と煽っているという面もあるので、そこは注意深く見たほうがいいと思うんですが、政府は2030年までにカロリーベースで45%、生産額ベースで75%まで引き上げることを目指しています。ただ、自給率アップは長年叫ばれながらですね、まったく改善されてませんので、ここは抜本的な対応が必要じゃないかなと思いますね。インドやマレーシアではですね、他国への食料の輸出制限を打ち出してまして、今後もこうした『囲い込み』とか『ブロック化』の動きは広がっていきそうです。自給率アップは、もちろん頑張るべきなんですが、日本単独でカロリーベースで100%を目指すのは、正直、無理があるとも思うんですね。日本単独だと38%なんですけれども、アメリカからの輸入分も合わせると6割に達すると指摘する人もいます。とはいえですね、『食の同盟国』というのがアメリカだけだと依存度が高まって、モノが言えなくなってしまう懸念もありますから、複数の友好国とか農業国と危機の際でも食料を融通してもらえるような交渉を進めて、全部足して、トータルで100%になるというような『日本ブロック』を形成していけると良いんじゃないかなと思います。より根本的にはですね、食べられるのに捨てられている『食品ロス』が年間522万トンもあったりするんですよね。食料危機が叫ばれる一方で、大量の食品が捨てられているというのは、矛盾以外の何ものでもないですから、こうした問題にも並行して取り組んでいく必要があるのかなと思います。


ユージ:本当にそうだと思います!



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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