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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.08.09

核兵器のない世界について
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

BuzzFeed Japan 編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『核兵器のない世界について』


吉田:岸田総理は1日、『核拡散防止条約 再検討会議』での演説を終え、来年5月に広島で開く『G7広島サミット』につなげるため、今回の『NPT会議』でぜひ具体的な成果を出すためにしっかり努力していきたいと語りました。『核兵器のない世界』実現を目指し、最終文書採択への意欲を示したかたちです。唯一の戦争被爆国として、核保有国と非保有国の対立を緩和し、妥結へと促すことができるかどうかが焦点となっています。
神庭さん、まず、今世界の核兵器の状況はどうなっているのでしょうか?


神庭さん:一時に比べると大きく減っているんですね。『長崎大学核兵器廃絶研究センター』によると、世界の核弾頭は推定1万2720発。アメリカが5425発、ロシアが5975発ということで、全体の9割を占めています。ピークの1987年には、全体で7万発近くありましたが、当時に比べると2割ほどまで減少した計算になりますね。前年との比較でも410発減っています。


吉田:減っている背景には、どういった理由があるのでしょうか?


神庭さん:東西冷戦の終結で雪解けが進んだことや、世界各国の長年の核軍縮の努力によるところが大きいんですね。例えば、1970年に発効した『核拡散防止条約(NPT)』は、米、露、英、仏、中の5か国を『核兵器国』と定めて、それ以外の国への核兵器の拡散を防止する内容になっています。締約国が誠実に核軍縮交渉することを義務として規定しているんですね。インド、パキスタン、イスラエルは、核を持っているのにNPTに参加していないであるとか、北朝鮮は、脱退したと主張して核実験を繰り返したりですね、いろいろと課題も多いんですけれども、190ヶ国以上が参加していて、果たしてきた役割は大きいんじゃないかなと思います。


ユージ:とは言っても、一部の国が持っていれば、核の脅威はなくならないですよね。核兵器を完全になくすことは難しいですか?


神庭さん:なかなか難しい部分があって、近年は核の削減幅が小さくなってきていて、廃絶に向けた動きが足踏み状態になっているんですね。昨年1月に、核兵器の開発とか実験、製造、保有、使用、威嚇など、全てを禁じる『核兵器禁止条約』というものが発効されました。『核兵器禁止条約』が2017年に国連で採択された際は、122の国と地域が賛成していて、今年6月の段階で62ヶ国が批准しているんですけれども、実は、日本は批准していないんですね。外務省は、「核兵器を直ちに違法化する条約に参加すれば、米国による核抑止力の正当性を損ない、国民の生命・財産を危険に晒すことを容認することになりかねない」というふうに説明しているんです。バイデン大統領も岸田総理も共に『核なき世界』を掲げているんですけれども、現在の世界情勢とか安全保障の環境を考えると、なかなかそれは飲めないということなんじゃないでしょうかね。


ユージ::岸田総理は、『核兵器のない世界』の実現を目指すわけですが、今後はどんな議論になっていくのでしょうか?


神庭さん:プーチン大統領が先日、NPTの再検討会議にあわせて、「核戦争に勝者はいない。決して戦ってはならない」という声明を発表したんですね。ネットスラングに「おまいう(=お前が言うな)」という言葉があるんですけれども、あれだけ核をチラつかせてウクライナを脅し上げておいて、「どの口が言うのかな?」という思いは正直してしまいました。現在350の核弾頭を保有する中国も、台湾に対する圧力を強めていますよね。アメリカの国防総省は、中国が2030年までに1000発以上まで増やすつもりではないかと分析しているんです。冷戦終結を受けて減ってきた核が、今、世界の緊張の高まりと共に、新冷戦の始まりで再び増えていかないかというのが非常に気がかりなポイントです。中国も含めた、新たな核軍縮の枠組みを立ち上げる必要があるんじゃないかなと思いますね。


吉田:日本は被爆国として、どういった姿勢で発信していくべきなのでしょうか?


神庭さん:先日の広島の『平和記念式典』で、湯崎知事があいさつした内容がまさに全世界に伝えるべき内容だったと思ったので読み上げさせてもらいます。

「人間の合理性には限界があるという保守的な見方をすれば、この歴史の事実を直視し、これからもこの人間の性から逃れられないことを前提としなければなりません。
しかしながら、力には力で対抗するしかない、という現実主義者は、なぜか核兵器について、肝心なところは、指導者は合理的な判断のもと「使わないだろう」というフィクションたる抑止論に依拠しています。
本当は、核兵器が存在する限り、人類を滅亡させる力を使ってしまう指導者が出てきかねないという現実を直視すべきです」

という言葉だったんですよね。本当にプーチン大統領に聞かせたい言葉だなと思うんですけれども、唯一の戦争被爆国として『核なき世界』という究極の理想を目指す姿勢はとても大切だと思いますが、一方で、今の日本の平和というものがアメリカの核の傘の下で守られているという“矛盾”からも目を背けるべきではないんだろうなというふうに思っていまして、日本は核を『持たず』『つくらず』『持ち込ませず』の非核三原則を国是としているんですけれども、実際は、『持ち込ませず』の部分に関してはかなりあやふやで、「実際は、非核2.5原則じゃないか!」という意見もあるわけなんですよね。ただ、台湾情勢が緊迫する中でですね、今後、この『持ち込ませず』の部分に再び焦点が当たってくる可能性もあるんですよね。そんな切迫した事態になった時に、“理想と現実の矛盾”、そのギャップから目を背けるのではなく、“逃げずに真正面から議論する”という必要があるんじゃないかなと思います。


ユージ:本当にそうですよね。核について話し合う場というのが少なくなっているんですけど、改めて、子どもたちも含めて、どういうことが起こったかという歴史とかも含めて話し合っていく必要というのはありそうですね。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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