22.07.27
どうなる今年度の最低賃金、議論が大詰め

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
どうなる今年度の最低賃金、議論が大詰め
吉田:2022年度の「最低賃金」の引き上げについて、厚生労働省の審議会で大詰めの議論が行われています。おととい、引き上げ幅の目安が示されるとみられていましたが、まとまらず、結論を持ち越しました。引き上げ幅の目安が示されるのは、きょう以降になる見通しです。塚越さん、そもそも「最低賃金」とは何なのか、改めて教えてください。
塚越さん:雇用主が労働者に支払わなければならない最低限の時給です。毎年、夏に労働者の代表と雇用主の代表、そして中立的な立場の公益委員で構成する審議会で話し合い、最低賃金の目安を提示。これを参考に都道府県ごとに審議会が具体的な額を決めて、10月ごろから適用します。最低賃金は都道府県ごとや、産業別に設定され、昨年の全国平均は時給930円です。地域の労働者の生計費、暮らし向きや企業の支払い能力等を勘案して決定されます。東京ですと1040円と一番高かったりして、場所によっては違いはありますが全国ですと930円です。重要なのは、特に働きたいという人の方が企業が求める人数より多い「買い手市場」、つまり企業の立場が強く、労働者の立場が弱い場合に、最低賃金を決めることは労働者を守る意味でも重要だということです。現在のところ、賃金を引き上げることについては労使ともに基本的に合意しています。実際、昨年度は引き上げ額が全国平均で28円と過去最大となるなど、最近は大幅な引き上げとなる年が多くなっています。国民の実質賃金が下がっている中で、政府も全国加重平均で時給1000円を達成するという目標を掲げています。ただし、おとといの議論では決着がつかず、金額については持ち越しとなりました。
吉田:最低賃金の引き上げ幅の目安が引き上げられると、それにあわせて、労働者の賃金は上がるものなのでしょうか?
塚越さん:朝日新聞が紹介している、東大教授で労働経済学が専門の川口大司氏の研究によれば、最低賃金より15%程度高い賃金で働く人には波及効果があり、賃金が上がりますが、それ以上の賃金の人には有意な結果は得られなかったです。とはいえ、格差是正という意味では効果があるとも言えます。
ユージ:物価高に歯止めがかからず、賃上げが必要な状況ですが、最低賃金、大幅に引き上げてはいけないのでしょうか?
塚越さん:大幅に最低賃金を上げれば、企業はそれに耐えられず人手を減らす、つまり、雇用の喪失を招く恐れがあるので、闇雲に最低賃金を上げればいいというわけではないです。実際、先程の川口教授が2002年?2017年まで調べたところ、最低賃金が10%上がると、賃金が高くない中卒や高卒で働く19~24歳の男性の就業率が9ポイント減りました。つまり、仕事がなくなってしまうということです。こうしたことを回避するためには、政府による中小企業支援や、また職を失った人へ新しい職へのトレーニング機会を増やすといった対応も必要です。他にも、例えばフランスでは平均賃金が上がると最低賃金も自動的に上がるという仕組みがあります。正規と非正規の労働格差が指摘される中で、こうした政策も取り入れるかどうかは別に参考になります。
ユージ:今年度の最低賃金をめぐる議論。大詰めを迎えていますが、塚越さんはどのような点に注目されていますか?
塚越さん:おとといの審議会では決着がつかなかったのは、昨年度の引き上げ額である28円を上回るかどうかについてと、最近の物価上昇をどう評価するかについての議論が続いている状態です。格差是正や人々の労働意欲向上の意味でも、最低賃金引き上げは重要になってくると思います。日本商工会議所の調査でも、中小企業でも最低賃金を引き上げるべきと言っている企業が41.7%と、昨年より13.6ポイント上昇しています。中小企業の方からしても、賃金上昇はやむを得ないというところです。特に最近の物価上昇を踏まえれば当然といえば当然だと思います。いずれにせよ、政府のなんらかのテコ入れを含めて、賃金を上げることで好循環を作ることが必要ですが、ベースでいうと最終的には日本全体の生産性を上げて、国力をアップすることが重要なのでこれ以外の産業政策も含めて色々考えていく必要があると思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ワンモ #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 27, 2022
今朝は「どうなる?今年度の最低賃金、議論が大詰め」についてお話ししました。2022年度の最低賃金、これがいくらになるのかこれからわかってくると思うのですが、ちなみに気になって僕が初めてアルバイトをした時、15歳の時を調べてみました。(続く)
#ワンモ #ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 27, 2022
今から20年前。埼玉県の学校に通っていたので、埼玉県のコンビニで働いていたときの最低賃金が678円でした。そこから頑張って昇給すると時給がプラス10円。当時はめちゃくちゃ嬉しかったですね。そして、今の埼玉県の最低賃金は956円。当時の僕から考えたら、(続く)
#ワンモ #ユジコメ ③ どんなに頑張っても10円しか上がらなかったわけですから今の金額はあこがれですね。もちろん時代が変わって物価の上昇とかもありますが、最低賃金の見直しが進んでいるなと思います。ただ企業にとっては人件費の負担増加になるので上手くバランスが取れたらいいなと思いました。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 27, 2022