22.07.25
先週、閣議決定された「安倍晋三元総理の国葬」について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【先週、閣議決定された「安倍晋三元総理の国葬」について】
吉田:政府は先週金曜日の閣議で、安倍晋三元首相の国葬を、9月27日に日本武道館で実施すると決定しました。一方、官邸前では、国葬に反対するデモが行われました。国葬については賛否が分かれていますが、神庭さん、まずは現時点で決まっていること教えてください。
神庭さん:葬儀委員長は岸田総理が務めます。国葬なので費用は全額、国費から賄います。財源は予備費を充てることが想定されています。形式としては無宗教形式で、9月27日は火曜日ですが、学校や官公庁はお休みせずに普通に開けるということです。総理経験者の国葬は1967年の吉田茂元総理以来、55年ぶりで戦後2人目となります。
根拠法としては内閣府設置法という法律、これは内閣が儀式を実施できるという書簡を定めた法律なんですが、これが根拠だということなんですが、国葬について詳細に定めた法律ではないので根拠として弱いのではないかという声もあるようです。
ユージ:国葬については、賛否の声が上がっていましたが、国葬にする理由を政府はどう説明しているんですか?
神庭さん:安倍元総理が憲政史上最長の通算8年8ヶ月にわたって総理を務められたこと・国内外から幅広く哀悼の意が寄せられていることなどを挙げています。岸田総理は、国葬に関して「安倍元総理を追悼するとともに、我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります」と話しています。そういった表向きの理由とは別に、政策的に中道リベラル寄りで党内基盤が脆弱な岸田さんにとって、安倍さんの国葬を打ち出すことで、保守層にも支持を広げたい狙いがあるのではないか?という見方もあります。
吉田:そういったなか閣議決定された国葬ですが、改めて、国葬とはどういうものなのか教えてください。
神庭さん:国が主催する葬儀のことです。明治以降、皇族や岩倉具視、伊藤博文、山縣有朋といった維新の元勲・総理経験者、東郷平八郎、山本五十六といった戦争の英雄たちもその対象になってきました。戦前の1926年に国葬令という勅令ができたんですが、戦後、日本国憲法の施行とともに1947年に失効しています。つまり、先ほど紹介した1967年の吉田茂の国葬も明文化された根拠法のない状態で行われているんですね。総理経験者の葬儀についてまとめた朝日新聞の記事によると、沖縄返還を成し遂げノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作は、政府と自民党・国民有志による「国民葬」という形で、約2千万円が国費から投じられました。安倍さんのお祖父さんの岸信介氏は内閣と自民党の合同葬で、国費負担は約4500万円。名宰相と言われた田中角栄の場合は自民党と田中家の合同葬で国費負担なし。2000年以降に亡くなられた小渕さん、橋本さん、宮沢さん、中曽根さんは、いずれも内閣と自民党の合同葬で、7千万円以上が国庫から支出されています。
ユージ:そういった国葬が今回行われることになったわけですが、神庭さんが気になっている点、なにかありますか?
神庭さん:国葬には海外首脳も来日して、そこで「弔問外交」が繰り広げられることになります。心配なのは、海外首脳陣らの要人警護です。安倍さんの警備で大失態を招いただけに、絶対に失敗は許されません。全世界の信頼を失うことになります。あとはロシアの動向ですね。プーチン大統領と安倍さんは「ウラジーミル」「シンゾー」と呼び合う仲でした。安倍さんが亡くなった際も、プーチン氏は「傑出した政治家」と弔電を送っています。なので一時はプーチン来日、国葬参列もありえるのかという声も出ていました。ですが、産経新聞や報道によると、「仮に参列を希望しても拒否する見通し」とのことです。制裁でプーチン氏を含めロシア人700人以上を事実上の入国禁止としているので、国葬とはいえ解除するのは矛盾するという判断のようです。
ユージ:国葬に関しては賛否が分かれていますが、これについて何か思うところがありますか?
神庭さん:与党は国葬推進で、野党だと立憲・共産・社民は反対しています。維新と国民は賛成しつつも丁寧な説明を求める立場です。国民全体をみても「国を挙げて悼むべきだ」「国葬が当然だ」という人もいれば、「個人で静かに追悼したい」という人、「悼む気持ちはあるが公費を使うのはどうなのか?」という人まで、様々な価値観を持っている人がいると思います。
ユージ:神庭さんはどう思われますか?
神庭さん:意見が割れているなかでも、できる限り多くの人が納得できる形が望ましいと思います。法治国家ですから、大事なのはデュープロセスといって、法律の適正な手続きをきちんと担保することなんですね。国葬について明文化された根拠法がないのは不健全なので、この際、国葬について基準を定めた法律をつくったらどうかなと思います。公費を投じる以上、これから亡くなる総理経験者全員を国葬扱いにするとしたら異論も大きいと思うので、どういう基準で絞り込みをかけるかということについてきちんと法律を作ったほうが良いと思います。閣議決定は内閣の決定ですが、きちんと法律に基づいて立法措置を講じることが大切ではないかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 25, 2022
テーマは、先週閣議決定された「安倍晋三元総理の国葬」について
警備の問題や国民のお金が使われることなど、さまざまな理由から賛否の声があります。
僕は、いろんな意見があって良いと思っています。ただ、国葬の定義についても考えました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 25, 2022
近年行われていなかったこともあり、はじめて「国葬」という言葉を耳にした、という方もいるかもしれません。
そこで、この度改めて、国葬の定義をはっきりとさせるには良い機会なのではないでしょうか。
もちろん今回のような悲しいことは絶対に起きてほしくありません。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 25, 2022
しかし今後、国葬が行われるようなことがあった時には、何をもって、どんな理由で国葬とするのか。
その時国民のお金が使われる以上は、国民が納得できる基準を改めて設ける必要があるのではないか、というのが僕の意見です。#ワンモ