25.08.26
部活動で相次ぐ暴力やハラスメント、問題の背景

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「部活動で相次ぐ暴力やハラスメント、問題の背景」
吉田:名古屋市内の私立高校の男子ソフトテニス部に所属する生徒が今年5月、顧問から繰り返し減量を迫られたとの被害をうけ、適応障害の診断を受けたことが先週、共同通信の取材でわかりました。広島の広陵高校が暴力問題で甲子園を途中辞退した一件も記憶に新しいなか、なぜ部活動にまつわるこうしたニュースが相次ぐのでしょうか?神庭さん、まず、名古屋の高校テニス部のニュースについて詳しく教えてください。
神庭さん:この私立高校の男子ソフトテニス部はインターハイにも出場する強豪校だそうです。共同通信が独自に報じた関係者の証言によると男子生徒は今年3月から5月に顧問から日常的に「痩せろ」と言われ、減量しても「もっと痩せろ」と求められました。学校が部員を対象に実施した無記名アンケートには「顧問が部員に対して『痩せたか』と発言したのを聞いたことがある」との回答が複数あり、「顧問が『デブ』と発言した」との情報もあったということです。記事には、生徒が部活を休む状態が続いており、生徒側が学校に抗議して侮辱容疑で愛知県警に被害届を出した、とも書かれています。
ユージ:これが事実だとすれば、ひどい話だなと思いますが、学校側は何と説明していますか?
神庭さん:共同通信の取材に、校長は「学校として調査し、顧問が体重について質問した事実は確認されたが、(生徒)本人をケガから守る意図だったと判断した」と文書で回答しています。今のところ共同通信以外にこの一件を報じているメディアがなく、この記事だけでは判断できない部分も多いです。もともとの体重がどれくらいで、何キロ痩せろと言ったのか。部活の指導として適切な範囲だったのか。生徒の尊厳を傷つけるような言い方があったのかどうか。この辺りのことが分かりません。現段階で断定的、一方的なことは申し上げられないので、他社も含めた続報を待ちたいところだなと思います。
吉田:部活動をめぐる不祥事やトラブルが相次ぐ背景には何があるのでしょうか?
神庭さん:ここからは個別のトラブルを離れて、あくまで一般論として分析したいですが、日本スポーツ協会による「学生競技者の安全と心身の良好な状態を促進するプロジェクト」の調査データが非常に参考になります。2019年にコーチや指導者ら8万5,000人以上にオンラインで調査したもので、それによると、過去5年以内に周囲で「言葉による暴力」を見聞きした指導者は6割。「体罰やしごき」を見聞きした指導者は4割。「セクシャルハラスメント」を見聞きした指導者は3割に達したそうです。
ユージ:これはかなり多いですね。
神庭さん:結構、多いですよね。調査から6年経って多少は状況が改善していると信じたいですが、かなり高い数字だなと思います。しかも、県大会レベルよりもブロック大会レベル。ブロック大会レベルよりも全国大会レベル。全国大会レベルよりも国際大会レベルというふうに競技レベルが上がるにつれて、ハラスメントを見聞きする割合が増える傾向にあります。ハラスメントの背景に何があるのか?この調査では「指導者の人間性・人格」に起因するという回答が最も多く、次に「結果主義・勝利至上主義」という答えが続きました。そして、セクハラに関しては「被害を訴えにくい関係や環境」という回答が目立ちました。
ユージ:相当背景に根深いものがありそうですね。
神庭さん:そのとおりだと思います。いま言った問題は全部つながっています。全国レベルで活躍する強豪校は、必然的に「結果主義・勝利至上主義」に傾いていきます。そして、実績のあるカリスマ指導者や母校出身の元スター選手らが監督に就任するケースも少なくありません。部の方針は指導者の一存で決まり、立場の弱い部員はハラスメントがあったとしても物申しづらい雰囲気になりがちです。そこに私立高校の経営問題も絡んでいきます。スポーツの強い学校はメディアで取り上げられる機会も増えますから、学校にとっては生徒集めのための強力な広告塔になるわけです。学校内でも、その部活動や指導者の存在は聖域、タブーになり、他の教員の意見や目が届きにくくなってしまう。すべての学校がそうだと言いたいわけではなく、プチ独裁国家というかハラスメントの温床になりやすい土壌がある、ということです。
吉田:そうしたことを踏まえて部活のブラック化を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?
神庭さん:まず、特定のスポーツだけを特別扱いするのはやめた方がいいかなと思います。例えば、野球部の応援に吹奏楽部が動員されますが、逆に吹奏楽部のコンクールに野球部が応援に来るケースはあまり聞かないですよね。なかには聴きに来てくれる優しい部員もいるかもしれませんが、野球であれ、吹奏楽であれ、数学オリンピックであれ、すべての青春は平等であるべきだと僕は思います。私立の学校が商売の論理でスポーツに力を入れることは否定しないですし、実際に効果もあるのでしょうが、いまの時代、何か不祥事があればすぐ炎上します。一気に逆バネ、逆宣伝になるリスクも認識した方がいいと思います。それから、自分が受けてきた扱きや可愛がりを後輩に繰り返すことを「抑圧の移譲」と言います。そうした悪しき伝統を断ち切るためには、部活やスポーツって本来楽しいものだよね、という原点に立ち返ることが必要だなと思います。一昨年、甲子園で優勝した慶應高校は「エンジョイ・ベースボール」を掲げていましたが、「エンジョイ」の精神が常識になって欲しいです。勝利より、結果より大切なものがあると、いま一度見直されて欲しいです。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 26, 2025
『部活動で相次ぐ暴力やハラスメント、問題の背景』について。
厳しく言ってしまう気持ちもわかります。ただ、今の時代は部活動関係なく、人と話す時に体重を聞いたり、性別を聞いたりするのは良くないとされる時代です。#ワンモ
#ユジコメ②…
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 26, 2025
#ユジコメ③…
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 26, 2025