25.08.20
今年4月~6月のGDP、予想を上回るプラス成長…その理由と今後の見通しは?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「今年4月~6月のGDP、予想を上回るプラス成長…その理由と今後の見通しは?」
吉田:内閣府が15日に発表した、今年4月~6月期のGDP=国内総生産の速報値は、物価の変動を除いた実質の伸び率が前の3か月と比べてプラス0.3%となりました。これが1年間続いた場合の年率に換算すると、プラス1.0%です。市場の予想を上回るプラス成長になった、ということです。塚越さん、今期のGDPについて、詳しく教えてください。
塚越さん:改めてGDPとは、国内で生産した物やサービスの付加価値の合計額で、これが一般的に国の経済力を示しています。この変化率が経済成長率と呼ばれて、景気を読むバロメーターにもなっています。今回の4月〜6月期は物価変動を除いた実質の伸び率がプラス0.3%になったということで、アメリカの関税の影響が限定的だったということが大きな理由と言われています。ただし、これは自動車メーカーが「身銭を切った」からと言えます。どういうことかと言うと、4月から25%の関税がかかったのですが、6月の時点で日本のメーカーは車の輸出価格を2割ほど下げて、台数が減らないようにしました。つまり、価格を下げてその分を売ったということです。なので、価格を下げた分の負担を自分たちでかぶったということです。売れたは売れたのですが本来なら得られるはずの利益がかなり下がってしまったということです。統計上は、利益が減ってもすぐにGDPの数字が下がるわけでもないのでプラスにはなっています。ただ、利益でいうと厳しいという点は注意が必要です。他の要因だと、GDPの半分以上を占める「個人消費」は、5四半期(1年3ヶ月)連続でプラスになりましたが、伸び率は0.2%程度です。全体としてはプラスにはなったけど、自動車の件も含めると素直には喜べないという感じですね。
吉田:トランプ関税の影響、今回は限定的でしたが、次の四半期=7月~9月期のGDPは関税の影響があらわれてくると、みられていますよね?
塚越さん:そうですね。やはり問題は7月以降ですね。関税がはじまったのは4月ですが、影響が出る企業は3月までにできることをしていたので、3ヶ月位はある程度耐えられたかもしれない。ただ、やっぱりここからが厳しいですよね。実際、読売新聞が主要な民間調査機関に予測を聞いたところ、7月〜9月期の実質GDPの成長率は、10社のうち8社がマイナスと予測していて、平均すると年率0.7%減少するとみています。日経新聞も民間のエコノミストに見通しを聞くと、だいたいみんなマイナス成長になるという予測が出ていて、特に輸出と設備投資が落ち込むと予想されます。例えば、自動車メーカーですが、これまで先行きが不透明だったので自腹で価格を下げて関税分を負担していたわけですが、これも限界にきています。現状では、2025年度の関税による営業利益の損失分は自動車大手7社合計で2兆6,000億円を超えるとみられています。ものすごく利益が減ります。実際、東証上場企業の4〜6月期最終利益はマイナス23.4%と、5年ぶりの減益です。色々な要因がありますが、関税コストが数字に出てきているといえます。そんな中、日米の関税が15%で「確定」したので、そろそろ関税分を価格転嫁=値上げする方向に動くとみられます。そうすると、どうしても販売数は減るので、GDPにも影響するだろうということです。なので、今後は15%の関税を前提に、その上で、どうやってアメリカで自動車を売るか、戦略を立てる段階に入ったかなと思います。また自動車産業以外でも、電機や機械産業はこれまで10%程度だった関税が、結局15%に上がるので影響が出ますし一部では0%だったところが15%になる分野もあります。自動車は25%から15%に下がるわけですが、他の業界では、むしろ上がるのでそこを含めて考えないといけないのが、今後の課題かなと思います。
ユージ:4月~6月期のGDP。塚越さんは、どうご覧になりましたか?
塚越さん:大きいところでは関税だったのですが、国内の消費はあまり伸びていません。国内消費も盛り上げないといけないですが、なかなか難しいですよね。これから考えられるのは、大きな戦略です。アメリカ以外の販路・拡大を考える必要があります。例えば、中国が2年前に日本の海産物(ホタテ等)の輸入を禁止した際に、業界は中国以外の販路を拡大した結果、中国依存を脱することができました。中国だけでなく、アメリカもリスク要因のある国に分類されちゃっています。リスクのある大国になっていて、なかなか厳しいところなのでビジネスマンとしては、東南アジアとか色んなところに販路を拡大して全方位で色々なことを考えていって次の時期もみていかないといけないのかなと思います。
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