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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.08.18

米露首脳会談と「ネオ帝国主義」の時代
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【米露首脳会談と「ネオ帝国主義」の時代】

吉田:アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は15日、アラスカの米軍基地で会談し、共同で会見しました。最大の焦点だったウクライナ停戦の合意には至りませんでしたが、両国の思惑や米露首脳会談から見える「ネオ帝国主義」時代の到来について神庭さんに解説してもらいます。まずは、注目されていた今回の米露首脳会談、何が決まったのでしょうか?


神庭さん:結論から言うと、ウクライナ停戦に関しては何も決まりませんでした。米露首脳会談は2021年6月以来、4年ぶりです。3時間弱にわたって行われました。終了後の記者会見でトランプ氏は「非常に生産的だった」と胸を張り、プーチン氏は「建設的な雰囲気で有意義な交渉だった」と語ったのですが、目に見える具体的な成果には結びつきませんでした。プーチン氏が「次はモスクワで」と英語で呼びかけ、トランプ氏が「もしかしたら実現するかも」と応じる一幕もありました。


ユージ:そもそも、アメリカとロシアは、それぞれどんな思惑で会談に臨んだのでしょうか?


神庭さん:トランプ氏はウクライナ停戦というレガシーを実現して歴史に名を残したい。選挙戦のさなかから、自分が大統領になったら24時間で戦争を終わらせると息巻いてきました。ノルウェーの財務大臣にいきなり電話をかけて「ノーベル平和賞がほしい」と圧をかけたというニュースもあるくらいです。ノーベル賞への欲望を隠してもいません。ノーベル賞は他薦が原則ですが、自分から立候補する人がいるんだとビックリしました。加えて、エプスタイン問題の影響もあるのではないかと私は思っています。


吉田:エプスタイン問題、改めて教えてください。


神庭さん:簡単におさらいしておくと、少女買春で起訴された大富豪のジェフリー・エプスタインの顧客リストに、政財界のセレブの名前があって、エプスタインの獄中死にはディープステート(闇の政府)が関わっているという陰謀論があります。トランプ氏はこの話をかなり煽っていて「当選したらリストを公開する」と言っていたのに、いまだに公開されていないうえ、先月には「エプスタイン文書にトランプ氏の名前があった」とするウォール・ストリート・ジャーナルの報道も出ました。岩盤支持層のMAGA派が割れて、支持率が低下しはじめています。ここでウクライナ停戦という華々しい成果を挙げて、国内スキャンダルから目を逸らしたい、という目論見もあるんじゃないでしょうか。


ユージ:ロシア側の思惑は?


神庭さん:ウクライナの領土を獲得したいのはもちろんあります。国際的な孤立状態を脱したいという狙いで、ロシアはウクライナ侵攻後に欧米から経済制裁を受けていて、プーチン氏に対しては国際刑事裁判所の逮捕状まで出されています。プーチン氏にとって今回の米露首脳会談は、国際社会に存在感を示す格好のひのき舞台。西側の大国アメリカが赤じゅうたんで出迎え、「ビースト」と呼ばれる大統領専用車に乗せて接待までしてくれる。大層、ご満悦だったのではないでしょうか。共同記者会見でもプーチン氏が8分半しゃべり倒して饒舌だった一方で、トランプ氏は3分半と言葉少なく、表情も険しかった。1回戦に関していうと、プーチン氏の方に軍配が上がったように見えます。


吉田:神庭さんは、今回の米露首脳会談をどう見られていますか?


神庭さん:侵攻された当事国であるウクライナをそっちのけにして、米露の2大国が「手打ち」の交渉を進めていることに強烈な違和感を覚えます。フィナンシャル・タイムズによれば、プーチン氏は停戦の条件としてウクライナがドネツク州とルハンスク州から撤退することを要求。そうすれば残りの戦線を凍結すると述べたそうです。また、ロイター通信は情報筋の話としてトランプ氏が会談終了後に、ウクライナのゼレンスキー大統領に対してこう語ったと報じています。「ドネツクのすべてをキエフが譲り渡せば、ほとんどの戦線を凍結するとプーチンが申し出た」という内容をゼレンスキー氏は当然拒否したということです。


ユージ:これから懸念されることは何でしょうか?


神庭さん:トランプ氏は「ロシアは非常に大きな力を持っているが、ウクライナはそうではない」という言い方もしています。聞きようによっては、弱小国は大国に従っとけばいいんだと聞こえてしまいますよね。この状態で米・露・ウクライナの3カ国交渉が実現したとしても、アメリカはレフェリーとして機能せず、2対1の構図になりかねないわけです。アメリカは「世界の警察」を降りたという状況であって、アメリカは中国やロシアが豊かになれば民主主義に転じると考えていましたが、現実にはアメリカの方がロシア化、中国化して強権国に近づいてきています。国際社会は弱肉強食の「ネオ帝国主義」の時代に突入したと言えるんじゃないかなと思います。歴史を振り返ると、1938年のミュンヘン会談では、イギリスとフランスがナチス・ドイツに対してチェコスロバキアのズデーテン地方の割譲を認めた結果、ナチスの増長と第二次世界対戦を招いてしまいました。今回もロシアに対して安易な宥和政策をとれば、必ず同じ結果を招くと思います。中国は「侵攻してもおとがめなし」と学習し、台湾有事のリスクも当然跳ね上がってくると思います。そう考えると、今回の米露首脳会談は日本にとってもまったく対岸の火事ではないですし、国際秩序がグラグラになる前に「歴史に学んでください」と言いたいです。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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