25.08.12
減反から増産へ、コメ政策の課題

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンドライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「減反から増産へ、コメ政策の課題」
吉田:石破総理は5日、コメの安定供給に関する関係閣僚会議で「生産量に不足があったことを真摯に受け止め、増産に舵を切る」と語り、事実上の減反から政策を転換する考えを示しました。神庭さん、まず今回の関係閣僚会議の内容から教えて下さい。
神庭さん:今回の会議では、コメ高騰の要因について、こう分析しました。「高温障害等で玄米から白米に精米する際の歩留まりが悪化したのに、玄米ベースで数値を見てコメが足りていると判断してしまった」「インバウンド需要を読み誤った」「流通実態の把握に消極的で、マーケットへの情報発信が不十分だった」「備蓄米の放出が遅れた」こういった要因を指摘したうえで、今後の対策として「耕作放棄地を活用しつつ、増産に舵を切る」「農地を集約して生産性を向上させる」「増産の出口として輸出を抜本的に拡大する」といった方針を打ち出しました。石破総理は、「『コメを作るな』ではなく、生産性向上に取り組む農業者が、増産に前向きに取り組める支援に転換する」と話しています。
ユージ:今回のコメ政策の転換について、神庭さんはどう見ていますか?
神庭さん:言ってることは間違ってないですが、政策の誤りを認めるのになぜこんなに時間がかかってしまったのかなと思います。高温障害による歩留まりの悪化や外国人観光客の消費増も、昨年8月の放送で既にお伝えしています。コメの需給をタイトにして、価格を維持するために事実上の減反政策をとっているのが根本原因で、これを改めない限り、いくら備蓄米を出しても対症療法にしかならないよ、という話もこれまで繰り返し、繰り返しさせていただいておりました。今になって「すみません、間違ってました」というのは、遅きに失したと言わざるを得ないかなと思います。農政のエキスパートである農水省が間違えるはずがないという無謬主義、おごりがあったのではないかと思います。
吉田:改めて、コメ政策をどんな風に改革していくべきでしょうか?
神庭さん:減反から増産へ、保護主義的な「守りの農政」から「攻めの農政」へ転換していかないといけません。政府は2018年に減反政策を廃止したのですが、飼料米やコメ以外の作物に転作した農家に補助金を出す生産調整=事実上の減反政策が続いてきました。これをさっさとやめて、輸出を増やすということです。日本のコメは品質が高くておいしいですし、和食ブームで海外での需要もあります。平時はバンバン輸出して、コメ不足の際に国内に振り向けられるようにすれば、備蓄代わりにもなります。
ユージ:輸出を増やして、食料安全保障の面で大丈夫でしょうか?
神庭さん:そこを心配される方もいると思いますが、全然問題ないです。カロリーベースの食料自給率は、国内で生産した食べ物のカロリーを国内で消費したカロリーで割って、100をかけることで求められるのですが、コメの輸出が増えると分母が減るので、自動的に自給率はアップします。食料自給率には金額ベースの算出方法もありますので、私はカロリーベースの自給率だけをことさら重視する立場ではないですが、農水省が自給率、自給率と言っていますから、真っ先にやるべきはコメの輸出を増やすことなのかなと思います。逆になぜ、今までやってこなかったのか不思議なくらいです。
吉田:他にはどんな改革を進めるべきですか?
神庭さん:増産するためには、農地を集約して大規模化する必要があります。日本のコメ農家は高齢化が進んでいて、零細農家や兼業農家が多いです。作付面積も小さく、生産コストが高くなりがちです。農家の方々が持続的にお米をつくり続けられるような仕組みは不可欠だと思いますが、すべての農家に一律でお金をバラまくようなやり方はいけないと思います。大規模化して効率良く経営する農家に重点的にインセンティブを出すなど、的を絞った支援が求められていますよね。あとはコメの品種についても、考えていかないといけないです。
ユージ:品種というと、どういうことでしょうか?
神庭さん:猛暑による高温障害で歩留まりが下がっているという話をしましたが、高温に強いコメも開発されています。例えば、秋田県の「サキホコレ」、新潟県の「新之助」、佐賀県の「さがびより」といった品種がそうです。今後も暑い夏が続く可能性がある以上、猛暑でも品質を維持できるコメを増やして、リスクヘッジを図る必要があります。他にも「乾田直播」といって、田んぼに水を張らずに稲を育てる方法が広がり始めています。このやり方だとコストを抑えながら、生産量を大幅に増やせます。こうやってイノベーションの力を借りながら、コメを増産していく。とはいえ、いますぐ生産量を増やせるわけではないので、「つなぎ」として輸入米も活用する。関税のかからないミニマムアクセス米の枠を拡大するとか、コメの関税率を引き下げることも考えるべきでしょうね。
吉田:これから増産していくというコメ改革は、うまくいくでしょうか?
神庭さん:うまくいかせないといけないと思いますが、メディアでは小泉コメ劇場が、メディアでは小泉コメ劇場がもてはやされ、実際に備蓄米の放出では成果もあげていますし、私も小泉さんの突破力・改革力には期待していますが、コメ農家や流通業者は、小泉劇場の盛り上げ役でもなければ敵役でもないわけです。そこは冷静に考えて、コメ政策を政争の具や改革のオモチャにすることなく、地に足のついた着実な議論を積み上げていっていただきたいですし、国民にとっての良いコメ政策、農家にとっての良いコメ政策というのを実現していただきたいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 12, 2025
『減反から増産へ、コメ政策の課題』について。…
#ユジコメ②…
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#ユジコメ③
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今回、増産をするという方向になったことで、来年以降、お米がどういった形で市場に出回っていくのか、供給が足りるのか、逆にお米の値段が下がりすぎてしまわないか、その辺も含めて注目していきたいと思いました。#ワンモ