25.07.02
『ニュースを避ける傾向』がある人は18%。理由は『気持ちが暗くなる』が最多

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
【『ニュースを避ける傾向』がある人は18%。理由は『気持ちが暗くなる』が最多】
吉田:スマートニュース メディア研究所が行った調査で、意識的にニュースを避けることがあるかどうか聞いたところ、「頻繁にある」「時々ある」と答えた人が18%いたことが分かりました。理由としては「暗い気持ちになる」が目立った、ということです。塚越さん、こちらの調査結果について、詳しく教えてください。
塚越さん:この調査は、スマートニュース メディア研究所が今年1月から3月に、18歳から79歳の男女計2,117人から調査したものです。いろんな項目がありますが、「あえてニュースを避けることがありますか?」という問いには、「頻繁にある」と「時々ある」が合わせて18.1%。また、「たまにある」が30.8%だったので、これを合わせると半数近い人がニュースを避けることがあると回答しています。その理由については、多いのが「気持ちが暗くなる」「気分が悪くなる」というもので、およそ6割の人が回答しています。他にも「関心の持てないニュースまで知りたくない」や「センセーショナルな見出しが多過ぎる」という回答が続きます。年代別だと、ニュースを避ける傾向が一番高いのは30代でした。また、避けたいジャンルについては、「ない」がおよそ半数で一番多かったのですが、その他だと芸能ゴシップが21.7%、次に戦争紛争が18.9%です。私が思うに、感情が強く動くものに対する忌避感があるのかなと読み取ります。ちなみに、このスマートニュース メディア研究所の調査は2年ごとに行っており、2023年の調査では設問がやや異なるので単純な比較はできませんが、「ニュースを避ける」と答えた層は8%でした。2025年は18%になっているので、質問の違いを考慮しても、人々のニュース回避意識が強まっている兆候として読むことができます。実際、ロイターがグローバルな調査をしているのですが、世界的にみてもここ数年でニュース回避の傾向が増加傾向にあることが分かっています。
吉田:暗いニュースをチェックし続けてしまう傾向は「ドゥームスクローリング」と呼ばれていて、こちらも問題になっている、ということですね?
塚越さん:そうですね。嫌なニュースを避ける傾向がある一方で、スマホで暗いニュースや情報ばかり追い続ける「ドゥームスクローリング」と呼ばれる現象も注目されています。この言葉は2018年頃に海外で生まれた言葉で、「doom(破滅、悲運)」と「scrolling(スクロール)」をかけ合わせた言葉です。暗い情報なのに、スマホでスクロールしちゃう、つまりずっと見続けてしまうという現象です。特にコロナ禍で広がった言葉で、精神面へのダメージが指摘されています。嫌なニュースは避ける傾向にあるのに、暗い情報を追い続けてしまうのは、矛盾してますよね?実はこれ、私たちの精神的な状態に深く関わっています。不安定な社会で多くの人が不安を感じている一方で、そういう状態は嫌だと思っている。すると、心の中に不安な状態と、それは嫌だという、矛盾した状態が生まれてストレスを感じてしまう。これを心理学用語で「認知的不協和」といいます。人は認知的不協和になると、これを解消したくなるんですね。解決策は、2つあります。1つ目は、ニュースをみない。ニュースを避けがちになるということです。2つ目は、逆に過激だったり不安になるニュースをみることで、「やっぱり世の中は、不安定だ」ということを知る、暗いニュースをみて正当化する。実際にそうなんだ、ということで心を落ち着かせようとするということです。ニュースを避ける傾向も、暗い情報をみるのも、根っこは同じです。不安な状態にあって、何とかしたいという認知的不協和の解消でということです。一方で、ニュースをみなくなると、社会に参加しなくなることが問題になります。他方で、たくさん不安なニュースをたくさんみる方向で不協和を正そうとすると、やっぱりメンタルへのダメージが強くなってしまいます。さらに、不安が増していって心を正当化しようとして、極端な情報、偏った情報、陰謀論のようなものにハマってしまう指摘もあります。見すぎるのも問題なのかなと思います。最近は、SNS上で大きな災害が来る、といった予言を見た方もいると思います。こういったことも話になっていて、これも今言った話から認知的不協和の解消から読み解けることができるかなと思います。個人的には、予言は当たらなくても言及されず、当たったものだけが言及されるといったことを頭に入れておいていただきたいなと思います。
ユージ:スクリーンタイム「ニュースを避ける傾向」と「ドゥームスクローリング」、塚越さんは、どうご覧になりましたか?
塚越さん:「フィルターバブル」といって、欲しい情報がたくさん見えちゃうので過激に見ちゃう、それで疲れて見ない。両方問題があると言いましたよね。問題なのは、スマホで何でも見えちゃうので、SNSの使用時間を決めておくといいと思います。iPhoneだとスクリーンタイムという機能があって、例えばXのアプリは30分に制限することができます。ある程度、距離を取っておくことが大事です。「バランス」が大事なので、対面で人と話す時間をみたり、スマホで情報を見たりして、楽しく明るい情報にも接するという意識も大切にしていただければと思います。
ユージ:本当にそう思っていて、ちょっと暗いニュースをクリックするとアルゴリズム的に自分のオススメに出てくるので暗いニュースが多くなっていきます。
塚越さん:どんどん暗くなるんですよね。
ユージ:アルゴリズムで出しているとどこにも書いていないので、どうしても開いたニュースが「暗いニュースばっかりだな」となるのですが、いま塚越さんが話したように定期的に明るい話題も自分で探りにいくと、それがアルゴリズムに反映されて、適宜明るい話題も自分のスマホの中に入っていきます。
塚越さん:どうしてもニュースだけだと、暗い内容が多いですが、世の中には面白いニュースもあります。まさにこの番組なんて、暗いニュースから真面目な話もしますから、ユージさんは面白い話を振りまいてくれているのでね。それを大切にしている方もいますから、バランスのいい番組ということでよろしくお願いいたします。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) July 2, 2025
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