25.06.24
日米首脳会談の成果と、今後のトランプ関税について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「日米首脳会談の成果と、今後のトランプ関税について」
吉田:石破総理とアメリカのトランプ大統領は16日、カナダでのG7サミットに合わせて会談しました。神庭さん、今回の首脳会談では、どんな成果があったのでしょうか?
神庭さん:肝心の関税に関しては、ほとんど成果ゼロでした。決まったのは、さらに協議を続けるということくらいです。そもそも会談の時間はたった30分で、突っ込んだやり取りをするにも限界があります。しかも、イラン情勢の緊迫もあって、トランプ氏は当初の予定を切り上げてG7を途中退席しました。「心ここにあらずだったのでは」と指摘する専門家もいます。石破氏は「ギリギリまで合意の可能性を探ってきたが、双方の認識が一致しない点が残っている」という言い方をしているいます。
ユージ:日米で一致しない点というのは何ですか?
神庭さん:一番大きいのは自動車関税の扱いだと思います。おさらいすると、トランプ関税にはすべての国に一律で課す10%の相互関税があり、これは4月段階ですでに発動しています。そこにプラスして国ごとに課す上乗せの税率があり、日本の場合は14%です。今は90日の凍結期間ですが、もしフルで発動した場合は合計24%ということになります。それとは別枠で品目ごとの関税として、自動車25%、鉄鋼・アルミ50%を課しています。自動車は日本の基幹産業なので、日本としては自動車25%は絶対にのめません。できれば撤廃、最低でも引き下げはしたいところですね。一方で、アメリカは、日本向けの上乗せ14%の部分だけを協議の対象にすると言っています。自動車関税の扱いで大きな溝があります。アメリカは関税以外でも、あの手この手で揺さぶりをかけてきています。
吉田:その「揺さぶり」というのは、どんなことでしょうか?
神庭さん:ズバリ、安保・防衛です。フィナンシャル・タイムズの報道によると、アメリカは日本の防衛費をGDPの3.5%まで引き上げることを要求しています。これに日本が反発して、2プラス2(日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会)の開催を見送ったということです。今年度の防衛関連予算の対GDP費が1.8%なので、ほぼ倍に増やせという話です。もともとアメリカは3%と主張していましたが、いきなり0.5%も盛ってきたので、日本側が何やねん!となるのも当然です。アメリカからしたら「俺たちは世界の警察をやめる。自分の国は自分で守れ」ということです。中東でかかりきりになったらたら、ますますそうなりかねません。国際情勢が非常にきな臭くなっているので、アメリカに言われるまでもなく防衛費は増やすべきだと私は思いますが、そこには税負担も伴うわけで、決して簡単な話ではないかなと思います。
ユージ:今回はたったの30分でしたが、今後の関税交渉について、日本はどうやって向き合うべきだと思いますか?
神庭さん:大きく2つあります。1つは「ゆっくり急ぐ」ことです。これはもともと、赤沢亮正経済再生担当大臣が言っていた言葉です。日本としてはそこまで焦る理由がありません。一方トランプ氏は、来年の中間選挙を意識せざるを得ません。できるだけ早く関税交渉をまとめ、そこで得た財源で減税などの景気浮揚策を打ちたいと思います。アメリカの国内もガタガタし始めています。米国際貿易裁判所は先月、トランプ関税を「違法で無効」だとして差し止めを命じました。トランプ政権は控訴しており、最高裁までもつれそうですが、もし無効だと確定したらすべてが根底からくつがえります。トランプ氏の支持率は下落傾向です。高い関税で輸入物価が上がり始めれば、アメリカ国民も「思ってたのと違う!」となりますよね。ますます支持率が落ちるかもしれません。ということは、時間は日本に味方している。焦らず、腰を据えて交渉すべきじゃないかなと思います。
吉田:2つ目の対策は何でしょうか?
神庭さん:「上手に恩を売れ」ということです。必要以上に急ぐ必要はありませんが、交渉である以上、落としどころは考えないといけません。ただ、お金を貢げばいいというものではなく、トランプ氏が喜び、かつ日本にとっても一定の合理性があるような「お土産」を用意する必要があります。関税なしで輸入する「ミニマム・アクセス米」の枠を広げて、カリフォルニア米の輸入を増やせば、コメ不足のいま日本の消費者にもメリットがあります。日本の「技術」を武器にするのも一つの手です。例えば、船をつくる力が落ちているアメリカに日本の造船技術を供与するといったことも考えられます。
ユージ:他には、どんな手が考えられますか?
神庭さん:いま中国はレアアースを人質にとって各国への輸出を絞っており、アメリカは困り果てています。評論家の白川司さんがダイヤモンド・オンラインに寄稿した記事【まさか日本が鍵なんて、中国「レアアース禁輸」で窮地のアメリカが欲しがる「技術」とは?】によれば、日本は2010年の尖閣問題の際に中国から同様にレアアース禁輸をくらいました。その時に、既存製品からレアアースを取り出すリサイクル技術や、代替素材の研究開発を強化することで、なんとか乗り切りました。レアアース関連で日本がアメリカ協力を約束すれば、これも交渉カードの1つにはなるかもしれません。トランプ氏も日本との交渉の中で、日本はタフだと言っています。リップサービスかもしれませんが、そう言っているので石破氏も頑張っていると思います。ですので、ここから先も石破氏、赤沢氏が国益を損なうことがないように知恵を絞って粘り強く交渉していただきたいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 24, 2025
『日米首脳会談の成果と今後のトランプ関税』について。
個人的に気になるポイントは、生活にも大きく影響してくるのでやはり関税についてです。今回、トランプ大統領から急な追加関税の発表があり、かなり話題になりました。#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 24, 2025
トランプ大統領としては、アメリカに利益をもたらすための政策ということですが、実際は利益になっていないのではないか?とアメリカ国内でも批判があるようです。神庭さんの見解は、来年には中間選挙を控えているので焦っているのではないかということでした。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 24, 2025
日本側としては交渉を焦る必要はなく、冷静に判断をするために1歩下がった状態で対応をしていけば良いのかなと思います。日本にとってより良い着地点を見つけてほしいですし、関税がさらにプラスされないような方向に持っていっていただきたいなと思います。#ワンモ