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24.12.10

闇バイト対策として仮装身分捜査を検討へ。その実効性と課題
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「闇バイト対策として仮装身分捜査を検討へ。その実効性と課題」

吉田:闇バイトによる強盗事件などが相次いでいることを受け、警察庁が「仮装身分捜査」の導入を検討しています。神庭さん、「仮装身分捜査」初めて聞きました。どんなふうに捜査することを想定しているのでしょうか?


神庭さん:捜査員が“架空の身分証明書”を使って闇バイトの応募者になりすまし、犯行グループに接触。内側から情報を収集する捜査手法です。一連の闇バイト強盗事件では、指示役がSNSで実行犯を募り、シグナルやテレグラムなどの匿名性の高いチャットツールで犯行のやりとりをしているとみられています。そして、実行犯に身分証明書を送らせて“個人情報”を人質にとったうえで、「裏切って警察にタレ込んだら分かっているな」とか「家族を襲うぞ」と脅して犯行に駆り立てています。そこで、応募者のフリをして情報を聞き出して指示役や、あわよくば首謀者らの情報を引き出そうということです。


ユージ:要は、おとり捜査ですよね?と僕ら素人は思っちゃいます。


神庭さん:「おとり捜査」というのは、警察官や警察協力者が“おとり”として対象者に犯罪を実行するように働きかけ、実際に犯行に及んだところで逮捕することを「おとり捜査」といいます。国家が犯罪を誘発するのはいかがなものか?憲法が保障する法律の適正手続に違反するのではないか?という指摘もあり、日本の警察はおとり捜査の対象を薬物事案や銃器の取引などに限定しています。2004年の最高裁決定によると、「おとり捜査」が許容される条件は、1つ目が直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査。2つ目が、通常の捜査方法のみでは犯罪の摘発が困難であること。3つ目は、「機会があれば犯罪を行う意思がある」と疑われる者を対象に行うということです。こういう時だけ、任意捜査として認められます。


吉田:ということは、今回検討されている「仮装身分捜査」と、「おとり捜査」は、違うということでしょうか?


神庭さん:そうです。微妙に違います。自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会の会長を務める高市早苗さんが、Xで投稿したところによると、おとり捜査が「身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するように働き掛けるものであるのに対して、仮装身分活動については【必ずしも犯罪実行の働き掛けを伴わない】」ということです。闇バイトの指示役は、もともと犯罪する気満々で募集をかけているわけで、捜査員の応募を受けて初めて犯罪を起こそうと考えるわけではありません。そういう意味でも、おとり捜査とは少し違うのかなという気はします。ただ運用次第では、潜入捜査、おとり捜査に近いものになっていく可能性もあります。


ユージ:「仮装身分捜査」の場合は、捜査員が偽の身分証を作ることになりますよね。これは「偽造」的なことにならないのですか?


神庭さん:これは、偽の身分証を作ると、普通は「公文書偽造」などの罪に問われますが、刑法は「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」と定められています。したがって「仮装身分捜査」のようなケースでは、違法性阻却といって違法にならないよということです。ちなみにアメリカ、ドイツ、フランスなど日本以外のG7各国では、捜査員が架空の身分や偽名を使うことが認められているそうです。


吉田:この「仮装身分捜査」、うまくいきそうですか?


神庭さん:一定の効果はあると思います。まず、闇バイトの指示役を「こいつは警察か?あるいは協力者か?」と疑心暗鬼にさせて揺さぶることができます。これだけでも犯罪グループの動きが鈍りますし、犯罪抑止につながります。加えて、内側からの情報収集がうまくいって、指示役や首謀者を摘発することができれば最高です。課題としては、公権力が暴走して犯罪をつくり出すという最悪ケースが起きないように、対象とする犯罪や運用に関しては法律やガイドラインなどで縛りをかけるべきかなと思います。当面は迅速な闇バイト対応が必要なので、今すぐということでなくてもいいので、中長期の課題としてルールを制限をした方がいいかなと思います。犯罪組織に捜査員や協力者であることが、バレてしまった時に、どうやって報復から身を守るかについても綿密にシミュレーションしておく必要があるかなと思います。


ユージ:そこも心配ですよね。仮装身分捜査について、神庭さんはどう思いますか?


神庭さん:週刊文春が「闇バイト潜入取材記」を出していて、これが非常に興味深い内容です。さすがに犯罪に着手するところまではいきませんが、ギリギリのところまで迫って情報を引き出しています。「タタキ(強盗)をやるにしても、人殺しまではやりたくない」という文春記者に対して、闇バイトのリクルーターは「正直、殺すか、暴行で終わるかは、そこの家主さん次第なので。別に、皆さん最初から殺すつもりはないですからね。止むを得ない場合ですよ」と背筋の凍るようなことを言っています。世界に冠たる治安を誇る日本の警察が、文春記者よりも腰の引けた対応しかできない。これは非常に歯がゆいことです。一刻も早く仮装身分捜査を導入し、闇バイトを一網打尽にして欲しいなと思います。一方で「通信傍受を強化しろ」という意見もありますが、アプリの暗号化の仕様などから実効性が疑問視されています。プライバシー侵害の懸念もあり、こちらは慎重に判断して欲しいなと思います。


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